昨日、家族連れでごった返している新幹線に飛び乗り、京都に到着しました。堀川通りで宿に向かう途中、なにやら人が集まっていました。根が野次馬、職業も野次馬ですから、宿からすぐに飛び出し、人ごみを目指す。今年から始まった「京の七夕」というイベントです。しかも、最終日。ごった返しています。
 今まで、どうせどぶ川だろうと思って覗いたこともなかった堀川は見事な親水公園でした。しかも、今晩は上流から青色LEDで光らせた直径12cmの球体が流れ落ちてきます。人工的なLEDはどうも苦手ですが、暗い浅瀬を迷いながらつるつる流れ落ちてくる、この願い星は例外的に素晴らしい。浅瀬の音と、時より人ごみの間を吹き抜ける涼風も楽しめます。
 まったく田舎者を喜ばせる技と知恵を京都は、どこまで隠し持っているのでしょうか?簡単に引っかかってしまいます。来年はもっともっと混雑するのでしょうね。
 さて、バイオです。
 先週からイスラエルのバイオの現地報告を始めました。日本の製薬企業やバイオ企業の提携先として好適な技術や製品が多数存在しています。イスラエルで実は多数の技術突破が起こっています。我が国のバイオ産業でも決して無視できない力強さです。欧米だけでなく、91年のソ連崩壊以降の移民増大で、国全体が今やベンチャーと化しているイスラエルに注目です。
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/3058/
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/3055/
 しかも、イスラエルの初代大統領Weizmann氏はロシアから英国に渡り、Manchester大学でアセトンブタノール発を開発した生化学者。今でもWeizmann研究所に保存されているWeizmann氏の研究室には古びた保温槽など微生物実験器具で満ちていました。この保温槽で培養した菌によって、アセトンブタノール発酵を実用化し、第一次世界大戦中に火薬の原料として長用されました。英国の軍隊の高い評価が、後に同氏がシオニスト運動のリーダに押し上げ、英国がユダヤ人にイスラエルの地を与えるという約束を勝ち取りました。もっとも英国はアラブ側にも同様の約束をしており、現在の紛争の火種となりました。いずれにせよ、イスラエルのバイオの歴史は長く、世界をリードするバイオ研究のエンジンの一つであることは間違いありません。
 そのイスラエルが、20世紀末に起こった冷戦の終結の果実である大量のロシアからの移民を受け入れたのです。しかもこの移民の40%が博士号やエンジニアの資格を持っていました。人口が15%も増えたのです。しかも、旧ソ連で抑圧されてきた人々が自由の空気をすったのです。ここに誕生しつつあるのは、移民故の失敗を恐れない起業家精神と最先端のバイオ技術の融合です。本当に国ごとベンチャーになりつつあります。
 しかも、賢いイスラエル政府は近く、400億円のバイオベンチャーファンドを創成し、バイオ産業の離陸をテコ入れする計画です。国家が25&を出資、運営は4つのファンドに任せます。「政府はベンチャーキャピタルの運営には素人だから、VCに任せる」と誠に明快です。イスラエルのバイオベンチャー群が死の谷をわたり、ダーウィンの海を泳ぎ切り、自国にこの先端産業を根付かせるための投資です。米国のNASDAQに上場している海外のバイオ企業ではイスラエルが既にトップであるのですが、今後、予想される商品化と国際的なバイオ産業の整理再編成の波に備えて、資本強化と企業力の強化を狙った投資であります。
 今や存在感も薄れつつある我が国の産業革新機構とは対極にあります。
 明らかな利害相反と能力不足であると思いますが、この機構を根回しした経産省の天下りが2人が主要なポストを占め、結局民間から資金が集まらないため、政府の資金に偏った政府丸抱えのファンドは、今大きく迷走しています。
 ナノキャリアとメディネットを合併させる計画など、資金を求めて、まったく相乗効果が期待できないような提案が殺到している模様ですが、技術評価やハンズオンの能力不足で、そもそも判断ができない。投資計画がどんどん遅れています。ヒアリングを受けたバイオベンチャーの企業経営者からは「収支の見通しだけで適格外とされた。リスクマネーの供給などそもそも考えてもいない」という溜息ばかりが聞こえてきます。先週、やっとバイオの知財ファンドへの出資を発表しましたが、投資金額がどう考えても少なすぎます。責任をスパッと取れない官製ファンドが陥り易い、兵力の逐次投入という愚策に終わってしまうことを懸念します。
 どうせやるなら10倍は出資しなくてはなりません。
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2007/2983/
 現在、政権内部ではベンチャー支援の施策を打たなくてはならないという意識が高まっております。そろそろ機能不全に陥った産業革新機構の仕分けを行うべき時期が来たと思います。民間の資金でも投資回収がわりと確実な、大企業の事業整理やカーブアウトなどは民間に任せ、我が国でもっとも欠落しているアーリーからミドルステージのベンチャー企業に投資するファンドに模様替えしなくてはなりません。これは官僚が投資判断できませんので、完全に運営はベンチャーキャピタリストに任せる必要があります。我が国の成長に決定的に必要な、我慢強いリスクマネーの供給を今こそ真剣に行う必要があるのです。
 そもそも産業革新機構もこうしたリスクマネーの供給を目指したはずです。海外の水道事業のソフト会社の買収に入札するようなマネーではありません。リスクマネーをどんと供給し、ハンズオンして国際競争力のあるベンチャーを育成できないのなら、無駄遣いする前に国庫に返納すべきであると考えます。一からリスクマネー供給をもう一度、国は考え直さなくてはなりません。
 さてもう一つご案内です。
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 残暑厳しき折、どうぞご自愛願います。