もう夏休みの雰囲気が漂っておりますが、是非とも下記の技術突破をご参照願います。今、丁度、iPS細胞など幹細胞臨床指針の議論をしたばかりですが、こうした指針の改定は本当に大変で、多くの関係者や専門家とのコンセンサス形成で時間がとられてしまうと、技術突破に追いつかない状況が現れる矛盾に満ちています。
 今回の技術突破は、3つの転写調節因子(Gata4、Mef2c、Tbx5)を線維芽細胞に打ちこみ、心筋細胞に分化させた、直接細胞分化法の開発です。従来、すい臓細胞などでも直接細胞分化法が試されていましたが、まだまだ分化効率が低く、実用には程遠いものでありました。今回の成果はまだマウスですが、かなり実用化に近い手ごたえを感じるものです。慶應義塾大学第二内科の家田真樹助教が留学中の米国Gladstone研究所で完成させました。同氏らはiCM細胞と呼んでおります。
 まだ、DDSを改良する必要がありますが、心筋梗塞後に線維化した心臓に、3転写調
節因子を打ちこんで、心筋に再生する手法は医学的にも極めて可能性が高いと考えて
います。
http://www.gladstone.ucsf.edu/gladstone/site/publicaffairs/content/1/698
 8月末にもパブコメされる予定のヒト幹細胞臨床指針には当然のことながら、こうしたiCM細胞の技術突破は対象外ということになります。
 私の思い込みかも知れませんが、社会の技術革新に対するコンセンサス形成の速度が、その国の国際競争力に影響する時代がもうすぐ迫っているのではないでしょうか?メディアも、教育も、そして政治もこの津波に対応する準備をしなくてはなりません。
 現在、開発中のコンセンサスエンジンには、こうした思いも込められています。
 当面は医師限定ですが、7月21日からこのバーチャルな議論を公開します。公開後1週間は質問も受け付けておりますので、医師の方はどうぞ下記よりご登録願います。「コンセンサスエンジン消化器がん」というのが、現在開発中のメディアの正式名称です。既に多数の方がご登録いただいております。皆さんもどうぞ、お申し込み願います(現在は医師限定です、申し訳ない)。
https://bioce.nikkeibp.co.jp/consensusengine/
 もう一つご案内です。
 とうとうGE社が、ヒトES細胞の実用化に参入いたしました。幹細胞の創薬や安全性研究への応用が、実用段階に到達しつつあるのです。この機会をとらえ、BTJプロフェッショナル・セミナーを開催いたします。今回はES細胞/iPS細胞のin vitroでの産業利用に関して、大学、企業、政府、そして規制当局からキーマンを集めて、白熱の討論をいたします。どうぞ下記より奮ってお申し込み願います。皆さんの参加と発言を、心から期待しています。
http://bio.nikkeibp.co.jp/bio/seminar/100914/
 そろそろ秋の気配を感じますが、これから残暑が厳しくなります。
 どうぞご自愛願います。良き夏休みを。