現在、庄内空港に向けて飛び立とうとしているところです。来年のバイオファイナンスギルド(バイオ関連のライセンス、投資関係者の教育プログラム)の準備と鶴岡のメタボロームキャンパスの取材です。
 埼玉で行われたサッカーワールドカップの前哨戦である日韓戦を見に行った友人達は猛烈に怒っていました。前にも書いた通り、今回のナショナルチームは期待できません。監督の選考過程も含めて、再検討しなくてはなりません。四年後のチームを議論すべきでだという気持ちは皆さん、共有していただけるのではないでしょうか?
 さて、テニスでも全仏オープンが始まりました。こちらでは日本人選手が健闘しています。怪我から復帰した錦織選手は2セットダウンから逆転勝ち、ランキング50位のしかも1m90cmを越える強打の選手を打破したのは自信になります。そして、昨夜、何よりも皆が驚いたのは、右足ふくらはぎを故障し、びっこを引いていた大会最年長選手、クルム伊達君子選手がなんと世界ランキング1位に君臨したこともあるロシアのサフィーナ(現在ランキング9位)をフルセットの末、破ったことです。
 試合中は好打が決まると「Come on!」と叫び、サフィーナにさりげなくプレッシャーをかけ続けた伊達選手が最後のショットが決まった言葉は「やった!」でした。今頃はリハビリで悲鳴を上げているでしょうが、本人も驚いたという勝利の背景には、ガラスの心臓を持つサフィーナ選手と対戦したという幸運もありました。全部で18本ものダブルフォールで自滅しました。
 さてここからやっと、個の医療です。
 実は、ゲノムの変異やエピジェネティクな変化が、人間のストレス耐性に影響するという論文が報告されています。誕生後間もなく母ネズミから隔離して飼育した仔ネズミのゲノムのエピジェネティクス・パターンがが変化したという報告もあり増す。どうやら環境要因でゲノムはころころと化学修飾され、読み取られる遺伝子群を動的に変化させているのです。サフィーナの場合、お兄さんのサフィンも試合中にキレやすいので有名でしたので、遺伝か?あるいは子供のころの生活によるエピジェネティクな変化を共有しているのかも知れません。気の毒なことに、試合巧者で相手に対するプレッシャーのかけ方が超一流の伊達選手とあたったのが不運でした。
 一卵性双生児では、体細胞で一部コピー数バリエーションなどの差が検出されてきましたが、基本的にはゲノムは共通なはずです。しかし、性格や能力、疾患罹患リスクに違いが生じるのは、間違いなくエピジェネティクスの差によるものです。最近では疾患もエピジェネティクスの変化によって、引き起こされるという例も増えてきました。従来は新生児の遺伝性疾患で父親や母親由来の遺伝子の発現抑制がエピジェネティクス異常の結果、起こらず、疾患の原因となった疾患が報告されていました。最近ではがんや生活習慣病にもエピジェネティクスの異常が関係するという研究発表も増えています。
 08年に武田薬品が遺伝子機能解析技術を発端として設立された米Millenium Pharmaceuticals社を買収しましたが、売却した投資家達がその資金で設立したのが、米Constellation Pharmaceuticals社でした。このベンチャー企業こそ、エピジェネティクス異常による疾患の治療薬を開発するために設立されたのでした。
 今やゲノムから時代はエピジェネティクス、いや正確には、ゲノムとエピゲノム(全ゲノム上のエピジェネティクスの解析)の時代となってまいりました。皆さんの研究や事業にも、この研究トレンドは大きな影響を与えると確信しています。
 エピゲノム解析の先駆者をお招きし、次世代シーケンサーの技術革新について皆さんと議論するBTJプロフェッショナルセミナーを、6月11日午後、品川で開催いたします。次世代ばかりでなく、第3世代DNAシーケンサはエピゲノム解析の効率を革命的に変化させます。
 個の医療にもはや次世代シーケンスは不可欠、実はこのセミナーでは第3世代のシーケンサーに関しても最新情報を提供いたします。米国Life Technologies社の開発担当者が来日し、来年発売を予定する新型シーケンサーの全貌も発表されます。
 どうぞ皆さん、お早めに下記よりお申し込み願います。
http://bio.nikkeibp.co.jp/bio/seminar/100611/
 皆さん、今週もどうぞお元気で。