昨夜から東京は豪雨です。
 2010年4月27日の事業仕分けでも、厚労省の独立行政法人医薬基盤研究所には、豪雨となりました。昨年度から新規募集を中止していた創薬ベンチャー支援事業は廃止と仕分けされました。今や世界の新薬の過半が大企業ではなくベンチャー企業から創出されている現実に対して、我が国は大胆にもまたしても逆行する戦略を選択してしまいました。誠に愚かです。
http://www.shiwake.go.jp/data/shiwake/result/B-13.pdf
 確かにこれは投資案件ですから、見掛け上損金が大きく膨らむことは避けられません。
しかも、投資に対するリターンは10年以上先であり、成功確率も低い。52億円の投資に対して、平成42年に190億円以上の投資回収が見込めると、弁明してもむなしく響くばかり。そんなものに、国が資金を投入することはないという仕分け人の説明は誠に明快ですが、一方で我が国にベンチャー企業創業を支援するシステムを設けなくては、我が国が先細りとなってしまうこともまた明快な事実です。この二律背反をどうやって統合的に裁くか?これから国の知性が問われることになります。
 何回もこのメールでも指摘していますが、事業仕分けのような国の事業の部分的最適化を何回も繰り返しても、国全体の最適化を成し遂げることはできません。今回の仕分けでも、ベンチャー支援の重要性は仕分け人からも指摘されており、国として別途総合的に取り組むという判断も下されています。事業を縮減したり、廃止をして資金を浮かすだけでなく、この判断を実行することの方が重要です。
 やはり国が資金をベンチャーに供給することに加えて、減税や投資家の損金繰越など、民間に死蔵されている資金をリスクマネー供給につなげる改革が必要です。また、企業の会計処理で、ベンチャー投資資金や赤字のベンチャー企業を買収が、損金勘定を膨らまし、企業の投資意欲を萎えさせている現状を打破する規制緩和が必要となります。
 産業革新機構の投資がなかなか進まず、しかも収益性を重視するあまり、ベンチャー投資が進まない現状を見ると、国によるリスクマネーの供給には大きな限界があるとしか思えません。今までもJRの民営化で獲得した資金を投入した官製ベンチャーキャピタル(基盤センターなど)の投資がほとんど回収できなかった歴史もあります。やはりベンチャー企業に対するリスクマネーの供給は、金融庁の規制緩和による民間資金の流動化が主力にならざるを得ないのです。是非とも、現政権はこの道筋を過たずに進めていただきたいと、心から願っています。
 さて個の医療です。
 どうやら5人以上の日本人の全ゲノムシーケンスが年内にも発表される勢いです。個の医療もSNPsの解析から全ゲノムシーケンスの時代に急速に突入しつつあります。何が今までのSNPs解析から得られず、次世代シーケンスによって何が得られるのか?
 その鍵はLoss of Inheritanceという言葉です。兄弟などで明らかに発症率が高い遺伝性と考えられる疾患の原因遺伝子が、現在のSNPs解析ではなかなか究明できないジレンマを表現しています。新規に発生したSNPsや複数の起源に由来したSNPsの解析にはまだまだ限界があります。こうした限界を、全ゲノムシーケンスが打開しつつあるのが、現状です。勿論、次世代シーケンスの精度はまだ不足。一体どこまで可能で、いつ個の医療の実現のために使えるようになるのか?6月11日のセミナーで皆さんと議論したいと思います。
 日本人の全ゲノム―シーケンスの最新情報も議論いたします。どうぞ下記より詳細にアクセスの上、お申込みをお急ぎ願います。月曜日から募集を開始いたしました。一人でも多くの方と今なお急速に続く、次世代シーケンサーの技術革新の方向性を共有したいと考えています。どうぞよろしく願います。
http://bio.nikkeibp.co.jp/bio/seminar/100611/
 皆さん、お元気で。