バルセロナがインテルに欧州チャンピョンズリーグの準決勝第一線で破れたのにはびっくりしました。1:3の完敗です。今度はバルセロナのホームゲームです。アウェイの得点は2倍にカウントされますが、微妙な状況となってきました。インテルに移籍したモウリニョ監督の手腕かと唸る寸前に、アイスランドの噴火によって、スペインからミラノまでバスでバルセロナの選手が移動したことに思いいたりました。天才メッシも火山には勝てない。勝負の公平を期するために、もう一発火山の噴火を期待したいところでしょうが、これだけは絶対にご勘弁ですね。
 池之端側の扉から東大病院の旧東病棟に侵入しました。国立大学法人化したために、東大のセキュリティ管理はまるでヒステリックなまでに高まり、神経内科の辻教授の秘書の方にお迎えいただかなくては建物に入れません。建物自体は古色蒼然としており、漂うホルマリンの臭いもセピア色?。しかし、面白いのはこの古びた建物の照明に人感センサーが施されており、廊下を進むたびにちょっと前が明るくなることです。最初はびっくりしますが、静まりかえった長い廊下を渡って行くには、満月のお供のようで心強い。名物の幽霊も当然遠慮するはずです。
 本日、新緑の東大にうかがったのは、6月11日午後の次世代シーケンスセミナー(近く募集開始)の打合せです。日本人の全ゲノム解析も今年の初めから始まっています。「もうGWASはやっていない。疾患関連変異の探索には全ゲノムシーケンスが不可欠」と辻教授は語っておりました。極めて急速にシーケンス技術は進展しております。「医療にゲノムを導入する時代」(辻教授)がやって来ました。最新情報の発表もあります。どうぞ皆さん、時間だけはご確保願います。場所は品川のコクヨホールです。
 さて個の医療です。こちらの方の展開も早い。
 昨年の10月28日のメールで、厚労省の肝炎研究班がGWASで今や標準治療となったペグインターフェロンとリバビリンの併用療法で効果がないC型肝炎患者はインターロイキン28B(IL28B)の遺伝子や遺伝子の近傍に変異を持っていることを明らかにしたと伝えました。オッズ比は約30で、この遺伝変異を持つ患者さんはほとんどこの標準療法が効かない。しかもそうした患者は日本人のC型肝炎患者の35%も存在するのです。同研究班の細胞レベルの実験では、発見した遺伝変異を導入するとIL28Bの生産・分泌が低下していました。効果のない患者を鑑別する方法が開発できるだけでなく、IL28Bを現在の標準治療に追加した3剤併用療法がC型肝炎撲滅を期待できる新療法となる可能性を論じました。
http://blog.nikkeibp.co.jp/bio/miyata/2009/10/204321.html#more
 今朝届いたプレスリリースで、IL28Bの変異(T/T)を持つ患者に対して、標準治療にGI-5005という組み換えワクチンを上乗せして治療効果を得たと、米GlobeImmune社が2010年4月19日発表していました。昨年10月にIL28B変異と標準治療無効との関係性が発表されていますので、約半年で標準治療無効患者に対する新しい治療法の臨床データが発表されたことになります。凄く早い。勿論、同社は運が良くて、標準治療に上乗せしたGI-5005のフェーズII臨床試験を行っている最中に、IL28B変異がNature誌に発表され、対象患者の遺伝型を後ろ向きに解析して、データを整理したに過ぎないのですが。但し、同様なことは世界中の製薬企業やバイオベンチャーがやっているはず。GI-5005 が先行した理由を解明しなくてはなりません。
 GI-5005は酵母を宿主に、C型肝炎ウイルスの非構造タンパク質N53とコア抗原の融合たんぱく質遺伝子を導入、発現したC型ワクチン。殺菌した組み換え酵母をそのまま皮下注射する死菌製剤であることが特徴です。最近のToll様受容体(自然免疫の受容体)の研究により、酵母などの細胞壁やDNA、RNA、核たんぱく質などが天然のアジュバントとなり、免疫反応を活性化させることが分かっています。同社の大胆な組み換え酵母丸ごとワクチンが意外にも合理的であると判明しています。
http://www.globeimmune.com/index.php?load=content&page_id=46
 数多あるC型肝炎のプロテアーゼ阻害剤など低分子の抗ウイルス剤でなく、GI-5005 がC型肝炎の標準治療無効例の治療薬開発でまず勝ち名乗りを上げたのは、C型肝炎由来の組み換え抗原ではなく、酵母の夾雑物が自然免疫系を活性化、結果的にIL28B 変異患者で生産が低下していたIL28Bの生産を誘導した可能性があると見ています。大胆な製剤設計が予想外の効能を示したという訳です。詳細はBTJのHOT NEWSで報道いたしますので、ご期待願います。
 今週もお元気で。