まさか、先週、雪が東京で積もるとは。
 取材に行ったことが鮮明に思い出されますが、あのアイスランドの分厚い氷河を突き破って、噴煙を上げている火山の影響も心配です。アイスランドの火山爆発で、18世紀のアイルランドの飢饉が起こったことは有名ですが、日本でも天明の飢饉があったことを忘れてはなりません。どういう具合かまだ分かりませんが、噴火の当年だけでなく、1-2年後にも寒い夏が訪れる場合もあります。ここ、数年は憂鬱な春と夏が続くのかも知れません。自然の猛威にはただ頭をすくめているだけ。人間が創った文明の微力さを痛感します。やはり地球は大切にしないと。自然の理不尽さも、科学や経済合理性万能の社会がいかに浅薄であるかを、気付かせてくれる効用もあると諦めるしかありません。欧州に滞在中の読者には、セラヴィ、インシャラー、といった言葉しか贈れないのですが、ご立腹なさらぬよう、お願いいたします。
 さて、自然の猛威は人智を超えますが、政府の蒙昧は制御可能でしょう。
 我が国の政府が第二期の事業仕分けを今月下旬から開始します。今回は研究開発やそのファンディングを行う独立行政法人が第二期第一弾として仕分けの対象となっています。肥大化と動脈硬化した研究機関や重複した研究費の提供、そして基礎研究から産業化、産業化から基礎研究への情報や人材の循環が断ち切られた我が国の研究体制など、問題山積みです。
 私が知る限り、研究法人の方でも対抗するために、グリーンイノベーションのシンポを急遽開催したり、天下りの関係者を他の団体や企業に出向させたり、理事を民間に入れ替えたり、予め国からの予算減で予算を組んだり、まあ、てんやわんやの騒ぎとなっております。糊塗なのか?整理なのか?言葉は使いようですが、いずれにせよ無駄は蓄積しております。新人諸君も含めた議員さんが今回は下調べなどにも積極的に参加、第一期の財務省主導の色合いが大分政治主導に変わりつつあります。しかし、基本的に60年以上も続いてきた政府の仕組みは、例えてみれば増改築を重ね重ねた老舗旅館のようなもの。いろんな資産が隠れていたり、わざと見えにくい隠し部屋や秘密の通路、そして封印された蔵などが存在します。たちの悪いことに、その従業員である官僚や本来なら主人であるべき政治家が、この老舗旅館の構造を必ずしも理解しておらず、全体の図面もないという状況です。良く国民が生きているのが不思議なくらいですな。
 全体最適ではなく、部分最適を真面目に官僚が繰り返した結果、出来上がったグロテスクな政府と言えるでしょう。しかも、皆さん優秀だったので、部分部分の建て付け(整合性と言い訳)は素晴らしく、もはや世界の動きについて行けない政府が崩壊することを表面張力だけで維持しているのです。
 知識資本主義、世界統一市場、少子高齢化、昨年から始まった人口減少など、本来ならば旅館の大黒柱(ビジネスモデル)を取り替えなくてはならない事態に直面しているのに、表面張力が見事で、本質的な変革ができない。こうした立派な無駄なことをそろそろ止めなくては、日本は変わりません。
 事業仕分けの本質は、予算の捻出といった重要ですが矮小なことではなく、今回の作業によって、本来の政府(行政府)の主人たる政治家達が勉強することです。新しい国家経営のモデルを打ち出すための産みの苦しみであるならば、混乱を招くだけで、お金も票もあまり稼げない第二回事業仕分けには意味があります。
 参議院選挙終了後、行政刷新会議は新しい国家のビジネスモデルを生み出すために、第三回の事業仕分けを計画しなくてはならないと思います。分かり易い重複や悪効率などの初段階を早期に終了し、本格的に行政がやるべきことと民間や新しい公益がになう事業を仕分けする、国家像の形成に向かわなくてはなりません。但し、今度は本当の智恵が問われます。
 やっと春めいてきました。気象庁は天候不順の警報を出していますが、取り敢えず、この陽気に乾杯です。今週もお元気で。