東京は桜が散りかけですが、また寒さがぶり返しており、散るのか、散らないのか、桜も戸惑っているようです。
 昨夜の欧州チャンピョンズリーグでは、本田選手を擁するチェスカモスクワが、ホームでもアウェイとまったく同じ0:1で敗退しました。誠に残念ですが、セリエAの覇者、インテルとは地力が違います。本田一人ではなんともできないのがサッカーです。しかし、バルセロナのメッシは、同日行われたアーセナル戦で、一人で4得点し、4:1で勝利しました。主力選手を欠いたとはいえ、名門アーセナルをたった一人で破ったのには恐れ入りました。油がのった天才が、もう10人の天才のサポートを得て、やりたい放題。本田選手もこんなチームでピッチに立たせたいのですが、バルセロナだったら控えでしょうね。現実は厳しい。
 さて、個の医療です。
 本日午後1時から東京の学士会館で未病社会の診断技術研究会の発足を記念して、シンポジウムが開催されます。今年1月に設立されたこの研究会は、松原謙一大阪大学名誉教授、DNAチップ研究所社長を会長に、 宮地勇人東海大学教授、久原哲九州大学教授、木山亮一産総研主席研究員を副会長に選出しています。いずれもオミックス研究をリードしてきた研究者達です。
 オミックス研究によって、個の医療が実現しつつあります。ゲノムの多様性や遺伝子発現や遺伝子の翻訳(たんぱく質)などの多様性を手掛かりに、医薬品の副作用を生じる患者さんや治療効果がある患者さんを選別する診断薬開発の道筋は見えて参りました。既に我が国でもUGT1A1の遺伝変異やサイトケラチン19の遺伝子発現を目安に、より患者さんの状態に基づき適切な医薬や治療を選択する技術の実用化が始まりました。問題は以前にこのメールでも指摘しましたが、これだけ患者さんのためになり、しかも副作用や無駄な医療を排除でき、医療経済学的にもメリットがある技術に対して、診療報酬に2万円の壁が存在することです。
 こうした機械的な対応は、実は診療報酬を算定している厚労省や中医協が判断を放棄している、もしくは判断できないことを告白しているに過ぎません。開発した企業も学会や患者団体の支援だけでなく、医療経済的なデータを揃えて、正当な診療報酬を勝ち取る努力をしなくてはなりません。いい加減に厚労省や医療関係者も既得権を守ることに汲々としているだけでは、社会から仕分けされると思います。行政刷新会議の下に4月5日設置された「ライフイノベーションWG」が医療の規制改革を検討します。6月までに内容を詰める予定ですが、是非とも個の医療を実現するために、技術革新に関して診断薬に対しても正当な評価と柔軟な診療報酬改定を行う規制緩和を実現していただきたいと考えます。技術革新を阻む日本の医療の壁を打破しなくては、結局は医療費は高くつくという現実を見つめるべきだと確信しています。
 個の医療の実用化が始まった今、本日のシンポジウムでは次のオミックスや個の医療の目標が語られます。それは未病状態の診断マーカー探索です。これによって、病気になる前の患者さんの状態を診断し、適切な予防法の選択につなげようというものです。
 まさに個の予防です。勿論、まだまだ技術的な課題は山積ですが、我が国の健康保険制度では予防は保険適用外です。つまり、自由な企業活動が出来る可能性があり、きちっとした科学的根拠を確保できれば、馬鹿げた2万円の壁のような厚労省の非論理的な壁に煩わされることがないのが魅力です。コホート研究による評価と、明快で限界やリスクまで伝える消費者への説明、診断法の精度管理などの自主規制などの条件が整えば、私はどんどん事業化を行うべきであると思います。
 勿論、今巷に氾濫している遺伝子ダイエットのような充分に科学的に評価されていない商品をお勧めするものではありません。こうした商品を淘汰し、賢い消費者によるセルフケアを推進する技術革新を目指すべきであると思います。
 本当にそんなことが可能なのか? こればかりはやって見るまで分かりません。誠実に科学研究を進めていただきたいと願うばかりです。こうした努力の先に光があるはずです。
 どうぞ皆さん、お元気で。