現在、四ツ谷の土手をかすめて文部科学省に向かっているところです。知りあいが「今年の桜は艶がない」とメールして参りました。確かに、背景が曇り空のためでもあるでしょうが、お濠の土手の満開の桜も白っぽく褪せています。少しはピンクも無くては色めき立たない日本の春。こんな色あせた春では、元気が出ません。しかも、東京は雨で、寒い。まるで冬のような1週間でした。
 Jリーグも開幕しましたが、今ひとつ心が騒がない。昨晩のテレビでやっていたナイナイのフットサルの方が面白く感じてしまうのは私の堕落だけではないでしょう。いずれにせよ欧州チャンピョンズリーグに続き、南アフリカで開催されるワールドカップまで、忙しくなりそうです。しかも、全仏オープンが5月23日から始まります。早く暖かくなって、心の準備をしなくてはなりません。
 
 さて、民主党の支持率が急低下したというのに、自民党まで空前絶後の"代返事件"や離党騒ぎで支持率が頭を垂れています。私たちが夢見た、2大政党制の誕生までは、やはりもう一度、主義主張に基ずいた政界の整理再編成が不可欠なのかも知れません。しかし、この混乱が長引かない方が良いことは言うまでもありません。
 世界は今、先進国の老齢化と中進国の発展によって、政治勢力の世界地図が塗り替えられようとしています。単純な覇権争いではありませんが、私たちがあまりお付き合いのない地域や文化と、どう協調して共に発展しているか、知恵の絞りどころなのです。また、産業は製造業資本主義から知識資本主義へと急展開しつつあり、製造業資本主義に固執するあまりの旧態依然の人材育成や投資規制、官庁の諸規制など国の在り方として世界から脱落しつつある我が国を早急に建て直さなくては、資源を欠く我が国の窮乏化は避けられません。このままでは、皆さんも、私もろくな老後が待っていない。そして、私たちの子供たちの未来も本当に危ういところに来ているのです。
 民主党にしろ、自民党にしろ、そしてみんなの党などの第3勢力にせよ、離合集散は止むえないにせよ、我が国が一つの国家として、世界の変化に責任を持って対応する政府を常に、国民のために存在させなくてはなりません。
 さてバイオです。
 未来は若者によってのみ拓かれる。ケンタッキーフライドチキンのカーネルサンダースは、還暦を過ぎて起業しましたが、彼の精神は若者だったのでしょう。しかし、元気な爺さん、婆さんばかりでは、早晩日本が息詰まることは間違いありません。
 最近、一番問題だと思っているのは、我が国の若者の元気がないこと。もっと言えば、我が国を発展させるべき、大学院生の知力と気力が低迷していることです。しかし、これを若者のせいばかりにする訳には参りません。あなたも私も悪い。そして一番悪いのは、大学の教官と大学の事務官、さらには大学政策を担当してきた文科省や政治家達でもあります。
 最大の問題は、我が国の大学院教育が世界の変化に対応せず、ひたすら小さな領域を深堀りを続け、しかも、縦掘りばかりが上手な後継者を育てることに終始していたことです。つまり大学院の教育レベルや教育技術が世界から大きく遅れてしまったということです。縦掘りを貫徹して、地球の裏側まで突き抜けるような創造性があればまだましですが、硬い岩盤にぶつかり、5センチ10センチ進むことで喜びを感じる研究者やそれを補うために巧みな言い訳をする技術のみ発展させても、我が国の科学は国際的に孤立するばかりです。
 社会を変える創造的な若者を育成する大学院にしなくては価値がない。文科省もポスドク1万人計画という最大の愚策と悲劇を招いた結果、少しは学んだようです。本日、これから文科省で初めて会合が開催される実践型研究リーダー養成事業は、こうした日本の大学院教育に風穴を開けようという試みです。やっと社会や企業と大学が対話や人材交流を行い、自らの教育内容を変えようという流れが始まりました。
 皆さんもどうぞこれをご支援願います。実はこのプログラム、旧科技庁の筋が推進しているものです。文部省と科技庁が合併の初めて良い成果かも知れません。少し情けない気持ちもしますが、いずれにせよ本日の一歩は歴史的には大きな一歩になるように、願っております。
 皆さん、お花見で風邪をひかぬよう。 今週もお元気で。