東京はまた冷え込みました。桜が咲くまでの我慢です。チェスカモスクワに移籍した本田選手が大活躍、見事、セビージャを自らのフリーキックをゴールに叩き込み、なんと欧州チャンピョンズリーグでベスト8までチームを進めました。2人の同僚を押しのけてフリーキックを決めた本田選手の決定力こそ、我が国のナショナルチームに絶対必要なものです。
 これから広島に向かいます。第9回日本再生医療学会総会の懇親会に参加、明日は再生医療実用化を巡って取材やパネルディスカッションをいたします。だいぶ、この学会も大きく、盛んになってまいりました。昨日は、我が国の再生医療のベンチャー企業、セルシードがジャスダックNEOに上場し、さらに再生医療に脚光を浴びせました。まったく良いタイミングです。
 ただし、残念ながらこの株式上場を招いたのは、我が国の臨床試験ではなく、フランスLyonで欧州の再生医療をリードする医師が、セルシードの技術にほれ込み、臨床開発をフランスで進めたためです。おまけに、フランス政府は先進的な医療技術や医薬品の臨床試験に対して補助金を供給しており、こうした医療に技術革新を取り込むインフラを上手にセルシードが活用してことも、今回の上場成功の背景にありました。
 本当はセルシードも我が国で臨床開発を進めたかったはずです。
 明日のパネルディスカッションでは、我が国の医療や厚労省の規制過剰の状況に風穴をあけるような道を、皆さんで討議したいと熱望しています。パネリストの方々は是非とも、覚悟してご参加願います。
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/9569/
 さて、もう一つ我が国の個の医療の発展を阻んでいるのが、医療費の締め付けです。技術革新による果実(入院費や副作用にかかる医療費の削減)などを計算もせずに、従来のしがらみにとらわれて、技術革新に対する正当な対価を支払うことを怠っています。この結果、我が国ではオーファンドラッグや未承認医薬の実用化が進まないことは知っていましたが、個の医療に関しても医療経済というか、医療資源を適正に配分する仕組みがない我が国の問題点が露呈されました。
 属に言う遺伝子検査の「2万円の壁」を、4年に1度の診療報酬改定の新規診断項目収載のチャンスでも打ち破ることはできませんでした。このままでは個の医療のための診断薬を開発する企業の意欲が萎えてしまいます。勿論、より安価な診断薬開発を怠ってはなりませんが、革新的な個の医療を実現するためには、先行投資がどうしても必要です。企業の立場としては、投資の回収が期待できる加算を新薬だけでなく、診断薬にも期待するところです。
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/9470/
 残念ながら今回の診療報酬改定では、遺伝学的検査で筋ジストロフィーなど、遺伝子病の遺伝子検査が2万円の壁を突破、4万円が認められた以外は全員討ち死。個の医療の先頭を走ったUGT1A1の遺伝子多型(イリノテカンの副作用予測)とサイトケラチン(CK)19mRNA(乳がんのリンパ節転移診断)は独立した検査項目と認定されたものの2万円の壁は超えられなかった。日本病理学会がサイトケラチン(CK)19mRNAについては、4万5000円とする要望書を提出していたが、その声も届かなかった。
 現在、大腸がんの治療薬として抗EGFR抗体「アービタックス」の適用を決定する際に、がん遺伝子KRASの突然変異(薬剤無効)を検出することが添付文書に記載されているが、この検査項目もやはり2万円に留まった。現在、先進医療では8万円程度の自己負担で行っている。この検査ではどうしても診断薬企業や検査ラボは赤字を覚悟しなくてはならない。総じて言えば、各企業は個の医療を推進するために、相当な努力を支払ったためにも関わらず、努力は報われなかったことになる。今後、現在、ロシュダイアグノスティックスが販売申請中のKRAS変異検査の診療点数が注目されるが、このままではまた落胆に終わる可能性がある。
 何故、個の医療がまったく無駄な副作用による医療費を激減させることが分かっているのに、厚労省はこうした技術革新を門前払いするのか?これは官僚や診療報酬を算定する有識者が視野狭窄に陥っているためだ。本人たちは一点の曇りもなく善行を成しているつもりだが、国民医療全体から見れば技術革新を阻み、国民を副作用の危険に曝し、なおかつ医療費増加に加担していることが分かっていない。
 つまり、これはもう政治の問題であるということです。官僚がやる部分最適化が、我が国の医療という全体最適化を阻むようになったなら、制度全体を政治の力で変えていかなくてはならないのです。支持率の低迷で悩んでいる新政権が、もしこれを断行できれば、支持率は間違いなく急回復すると思います。心ある政治家のパソコンにこのメールが転送されることを期待しています。
 今週も皆さん、お元気で。