今日ほど、地球が丸いことが憎らしかった日はありません。
 バンクーバーとの時差は-17時間。今や決勝進出に1敗しかできないカーリングの日本チームを応援しようにも、NHKは午前1時50分から生中継です。でも結局、生を見てしまったのですね。日本VSロシア、いずれも美女揃いでもあり、見逃すわけにはいきません。しかし、いきなり前半で6:0とカーリングとしては致命的な点差を付けられてしまいました。眠気も増しもう眠ろうと思ったところで、3点、そして次にも3点と一挙に追いつき、終わってみれば6:12の大差で勝利を収めました。しかし、後半に入ってもゲームは山また谷、最終の10エンド目で、ロシアに1点与えて、9:9の同点。これはカーリングでは絶対有利な後攻を取るための戦術です。しかし、午前5時過ぎ、見てる方のことも考えていただきたい。
 そして延長戦の11エンド、ロシアもブロッカーのストーンをハウスの前に並べて、最後の一投でハウスの中心に日本チームが投げ込むことを防ぐ戦術を取ります。そして最終ストーンを目黒萌絵選手が投じます。「ガードに当たるぅぅぅー」という解説者の絶叫を尻目に、多分2mmも隙間を残さずガードの間を通過、ガツンと敵のストーンをハウスの外に押しだし、劇的な勝利を飾りました。
 今回の日本チームは薄氷の勝利ばかりを続けており、強いのか、弱いのか、まったく迷惑な話ですが、分からない。それだけに応援したくなってしまう。倒錯的な感情を皆さんも楽しんでいるのではないでしょうか?現在、ドイツと対戦中で、また3点リードを許し、現在、4:3まで一点差に詰め寄っています。今度は仕事中なのに、またやきもきせざるを得ない。これによる国民総生産の落ち込みを計算すれば、仕分けで渋い政府ももっとカーリングに資金を投入すべきであるという暴論にご賛同いただく読者も決して少なくはないでしょう。
 さて、バイオです。
 はらはらどきどきと言えば、新政権が猛烈な勢いで進める国立大学や研究法人改革ではないでしょうか?これもまた山あり谷あり、最後の最後になって見ないと全貌が見えない分、しかもこのメールの読者のかなりの部分が当事者や関係者になってしまう分、深刻です。1-2年では影響は見えませんが、この改革を失敗すると10年単位で、我が国の社会の劣化を引き起こすボディブローです。真剣に考えることに加え、悪影響の早期マーカーを捉えて、随時改革を柔軟にやり遂げる仕組みが必要でしょう。
 2010年の第一弾として、厚労省の国立高度医療センター(俗称、ナショセン)が独立法人化されます。ナショセンには、国立がんセンター、国立循環器病センター、国立精神・神経センター、国立国際医療センター、国立成育医療センター、国立長寿医療センターの6つの病院とそれに併設した研究所が存在します。仙石由人行政刷新担当大臣が、ナショセンの独立法人化をリードしています。大胆な改革が行われる。少なくとも、財政投融資の利率稼ぎのためにナショセンに財務省が押しつけていた負債は、独立行政法人化にともない精算される見込みで、その意味では国立大学法人の失敗から学んでいます。
 組織改革に魂を入れるのが理事長の人事です。昨年末から今年の初めにかけて、いずれも公募しましたが、国立がんセンターの新理事長に山形大の嘉山孝正医学部長が選定された他は、5カ所は各センターの現総長をそのまま理事長とに任命する中途半端な人事となりました。最も「暫定理事長だ」とこぼす現総長によれば、今年夏にも再び5法人の理事長の公募が行われ、残りの5カ所のナショセンの人事も刷新される見込みです。まだまだ、人事は流動化するだろうと考えます。
 しかし、一番議論しなくてはならないのは、独立行政法人化できる部分と国の機能として残すべき機能の議論です。ナショセンは国民の安心と健康のために、当時の政府が国家直轄事業として展開したものです。医療技術の普及によって、歴史的な任務を終えた部分もあるでしょうが、独立法人でやるべき事、そして国家が直轄で担当する事の仕分けを明確にしなくてはなりません。
 そうでなければ、旧政権が見かけ上の国家公務員定数削減の道具として利用した、独立行政法人の矛盾を新政権も継承してしまうことになります。この際、こうした国家的詐欺を仕分けすべきであると考えます。勿論、全部、丸抱えにしろという意見には断固反対です。国家がやるべきこと、民間に移譲すべきこと、独立行政法人がやるべきこと、この3事業の仕分けこそが重要です。
 「今年の夏には研究独立法人の改革を行う。基本的には内閣府の下に集結して、運営管理するイメージもある」と、民主党の科学政策の有力議員は語っています。ナショセンの独立法人化の後は、仕分けの嵐が過ぎてほっと一息ついている大学や産総研、理研などの研究法人にも再び改革の波が押し寄せようとしています。この際、ゼロベースで国が推進すべき科学・技術研究の体制を再構築した方が、10年後には賢い選択であったと判断されると思います。生き残りだけのために、抵抗するのは時間の無駄。所属機関のためではなく、国家とか国民とかのために、研究法人が何をどうすれば良いか、真剣に考えなくてはなりません。
 カーリングは第8エンドで5:4でまだ負けていますが、このまま1点ずつ点を取り合えば、10エンド目は日本の後攻、一挙に2点入れて逆転を狙えます。なんとか頑張っていただきたい。
 今週もお元気で。