どうやらチーム青森(クリスタルとも言うらしい)は、米国に逆転し、バンクーバーでの初戦を飾った模様です。良くやった。軽薄にもマリリンのファンなので手放しで喜びます。あのストーンを掴み、スタートする瞬間に、目標を射すくめるような眼差しを浴びると石になってしまいそうです。
 さて、冷静に。個の医療です。
 皆さんは唾液や血液、汗などのあらゆる体液にmiRNAという分子が含まれいると言って、信じていただけますでしょうか?
 miRNAはRNA干渉作用を担う一種の2重鎖RNA分子です。ノーベル賞も受賞し、現在、臨床試験にも入っているsiRNAは有名です。miRNAはsiRNAに類似していますが、一部2重鎖にミスマッチがあることが特徴です。このためsiRNAが厳密に標的のmRNAを分解するのに対して、miRNAは100から300種ものmRNAと結合し、一挙に遺伝子群の発現を抑制する特徴があります。
 siRNAはウイルス感染や内在性のレトロウイルスを迎撃するための防御システムでしたが。miRNAは多細胞生物全般に存在し、多細胞生物が身体を形成するための分化や発生を調節している重要分子です。miRNAも近く間違いなく、ノーベル賞を受賞するテーマであると考えます。
 動物では、細胞の中だけに存在すると考えられていたmiRNAですが、調べて見ると、あらゆる体液の中に分泌されていることが分かってきました。しかも、血流などに乗り、運ばれたmiRNAは別の細胞に取り込まれて作用することまで判明しました。まるでホルモンのように遠隔作用します。miRNAの交換や遠隔作用こそが多細胞生物のシステムを維持、機能させているもう一つのシステムである可能性が濃厚となっています。
 何しろ体液中のmiRNAは煮沸しても、酸性にしても、RNA分解酵素で処理しても、全然分解されません。非常にタフな分子であります。これも最近ですが、miRNAがエクソソームという細胞が分泌する小胞(脂質とタンパク質で構成される小胞)に包まれているために、安定化していることも解明されました。
 個の医療とmiRNAはどう関係するのか?
 実は新たな血清診断や唾液からの診断マーカーとして、miRNAが有望となってきたのです。miRNAはRNA分子ですから、PCRで増幅可能です。つまりタンパク質や他の代謝産物のマーカーと比べて、極めて高感度に、しかも安く、大量に解析できるのです。今、病院の検査部やレファレンスラボで稼働している遺伝子診断装置を僅かに改良するだけで、miRNAは測定できます。もし、唾液で診断できるならば、血液を採取する必要もありません。非身襲性の自己診断も夢ではありません。
 国立がんセンターの落谷先生の2008年頃から急速にがんのバイオマーカーとして、 miRNAが同定されてきました。がんの種類やがんの悪性度などの診断に、miRNAの診断薬の商業化が欧米で急速に始まっています。「デンマークの病院では、もう4種類の miRNAをルーチン検査としてがんの患者さんに行っている」と落谷先生。新しい個の医療を実現するマーカーとして、体液中のmiRNAは有望な注目株であります。
 今週もお元気で。