皆さん、お元気ですか?
 朝青龍の引退、皆さんはどうお考えでしょうか?
 私はこれで良かったと思います。日本の相撲のウィンブルドン化現象(国内選手が姿を消し、外国人ばかりが試合している現象)は、現実のものとして認めなくてはなりませんが、その国の競技を米国ばりの競技、強ければ勝ちという単純さだけの追及に終わってしまってはいけません。特に、相撲は厳然たる神事であり、我が国の伝統に組み込まれているためです。横綱は強いだけでなく、清く正しくなくてはならないのです。これを親方を含めて、今までの相撲協会が信じていないのか、きちっと弟子に教育できていないかのため、ただの肉体競技に堕してしまったのが、国民の不満の原因でした。
 競技だけとして見れば、朝青龍は愛嬌もあり、面白い客の呼べる力士でした。今回、それを敢えて切ったことで、日本の相撲の再生が始まったと思います。それでなくては、プロレスと何ら変わりがない。ましてや、文部省管轄下の団体で、もっとも収益力を誇る相撲協会の存在意義が問われます。
 正式名称がThe Championshipsと世界で一番格式を誇るテニスのウィンブルドン選手権でも、主催者は頑なにウェアの白にこだわっています。強ければ世界を制覇して良いなど、元祖ウィンブルドン現象のThe Championshipsでも、誰も思っていません。強さや速さなど物理的な価値以上の価値を、私たちも正々堂々と主張していかなくてはなりません。欧米文明以外に我が国にはそうした価値と価値を守ろうとする国民が居ることが、世界統一市場の幻想が崩れた、今の日本の成長エンジンとなると、私は確信しています。
 さてバイオです。
 大相撲ではありませんが、昨年の事業仕分けで既存の官僚勢力と新政権が、がっぷり四つに組んだ勝敗は結局どうなったのか?
 今ではTVも新聞も沈黙しておりますが、実は意外な展開に終わっております。何と日経バイオテクが集計している、我が国の政府のバイオ関連予算の総額は、09年度の予算額を16%も上回ってしまったのです。事業仕分けであれだけ、バイオ関連予算が叩かれていたのに、一体なんだったのか?まるで狐に化かされた思いです。聞き取り調査による日経バイオテクの我が国のバイオ予算総額は、在外公館も本国に打電する我が国のバイオ政策の基礎資料です。これが実態を表していることは、私も太鼓判を押します。
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/8508/
http://biotech.nikkeibp.co.jp/btjjn/index.html#btjj1001
 実際のバイオ関連政府予算は、09年度当初予算と比較して412億円(16.5%)増の2916億円。背景には、12月末に新政権が発表した経済成長戦略の重点推進課題である「グリーンイノベーション」と「健康長寿社会の実現」が、いずれもバイオテクノロジーと深く関係していることがあります。つまり、新政権になっても、バイオ無しには我が国の成長が保障されないということです。詳細は上記の記事をお読み願います。
 グリーンイノベーション関連施策のエンジンとなる農水省のバイオ関連予算は09年度と比較して2倍以上(123.2%増)に拡大し、497億2500万円にまで膨れ上がりました。また、「健康長寿社会の実現」を担う、厚生労働省のバイオ予算も、15.1%増の1511億7200万円に達しました。しかし、一方で、経済産業省と文部科学省は既存施策の減額査定が響き、予算額を減らしてしまったのです。
 政策別には、グリーンイノベーション関連が09年予算に比べ、20.5%増の3857億円。創薬・医療を含む健康長寿社会関連は同0.2%増の709億円に上りました。科学関連予算の総額は前年度比1.1%増の3兆519億円、特別会計は同0.9%減の5204億。一般会計と特別会計の合計は、0.8%増の3兆5723億円となりました。あれだけ事業仕分けで標的にされた科学技術振興費も、開けてみたら3.3%減の1兆3321億円に留まりました。文科省のホームページに大量に送られた皆さんの意見などが届いたと言えるでしょう。国民か、関係者かは詮議する必要がありますが、ともかく我が国の沈滞を打破するには、科学が不可欠であるという認識があることは、本当に喜ばしい。今のように豊かになる前に、日本のサラリーマンが営々として教育投資した伝統は生きています。こうした学問や勉学の伝統が、国際的な産業競争を支えるソフトパワーとなるのです。
 従来の予算編成では、実際には各省庁の比率はほとんど0.1%も総額では変わらず、行政の安定性、はっきり言えば既得権益を守る惰性から離れることはなかったのですが、さすがに新政権はこうした行政の硬直性を遠慮なく打破しています。これは大歓迎ですが、問題は本当に整合性がとれた形、つまり実行可能な戦略やビジョンがあって予算のメリハリを行っているのか?それともこれは時計の振子を一方に振っただけなのか?見分けることです。
 まあ、間違いなく振子を振っただけでしょうから、これから成長戦略や国際状況の変化に応じて、不断の見直しを行う必要があります。しかし、前回のような事業仕分けは本当に可能なんでしょうか?昨年の事業仕分けは、旧政権の予算を新政権が棚卸をしたために、大義名分が立ちました。しかし、議会制民主主義である政権与党が首相を出した行政組織が作った予算ですから、自ら事業仕分けすることは、自家中毒になってしまうのではないでしょうか?という疑問です。総合科学技術会議を、予算要求前に各省庁の科学予算を査定させるのも結構ですが、この自己矛盾は残ってしまいます。つまり行政組織として予算編成をやる以上、方法論的な変更は可能でしょうが?理念の変更に伴う大ナタは、政務三役と官僚組織の緊張関係を通じて実現しようとしても、最終的には省内の整理に終わってしまいます。そして事業仕分けでは、省が提出した予算を弁護する立場に政務三役は追いやられます。そして大ナタは、行政組織内にある行政刷新会議でも無理でしょう。
 むしろ、三権分立を信じるならば、国の姿を大きく変えるためには、国会での予算審議に委ねる必要があります。本来の姿に立ち戻り、国会がまず議員立法で行政や国の仕組みの大枠を変える予算を、それも執行予算の金額と執行年限を明記して、成立させなくてはならないのではないかと考えています。本来の事業仕分けは国会の予算委員会で行うべきであります。議員内閣制の矛盾を克服するために、この時は与野党を超えた言論の自由と投票の自由を確保する必要があります。
 2010年度予算も、各省庁の予算要求で紛糾しましたが、小沢幹事長が国民の声を首相に届けるという形で収めました。国会がきちっと機能しないと、我が国は属人的な権力支配体制を残す中国のような政府となってしまいます。これを防ぐ仕組みを国会の中に創り上げることは、国会改革を目指している小沢幹事長の本当の願いでもあると、私も願っております。
 どうぞお元気で。