先週、都内はObama大統領が来日、都内は検問で渋滞に悩まされました。しかし、「母に鎌倉に連れてってもらったことがあり、抹茶アイスクリームが好き」という演説は、極めて共感しましたが、今後の日米関係は中国の台頭と米国の民主党政権により、複雑な様相を呈することは間違いない。民主党Clinton大統領の時には猛烈な貿易問題が生じたことを思い出していただきたい。Obama大統領も離日後、訪問した中国に日本の3倍以上滞在しています。基地移転問題は当面の大きな壁となるでしょう。何とか打開策を鳩山政権は見つけなくてはなりません。
 バレーボールは本当にもう一息でしたが、この壁は高く、尚且つ厚い。しかし、5年前の端にも棒にもかからず、ただスポンサーとTV局の支援で盛り上げていた状況とは一変しています。試合後との若手の成長が楽しみです。もう一段突き抜けて欲しいと願っています。
 同じ体育館といっても、11月11日から、都内の市ケ谷の独立行政法人国立印刷局市ヶ谷センターの体育館で、行われている行政刷新会議は、好ゲームとは言い切れないものがあります。
 圧倒的に仕分け人が押しております。まあ、何を問題にするかルールを完全に開示している訳ではないので、予算を守る方は何とも分が悪い。いわば旧政権の行政の不合理を、2010年度予算の事業仕分けという形で暴露しようという政治的なショーです。ここでの判断に関しては法的強制力が無いという点が高度な配慮です。ただし、議論を通じて、民主党の議員達が旧政権の行政の実態を学び、新しい行政機構を考えるきっかけにはなるでしょう。このショーの結果ではなく、次の行政改革を焦点としなくてはなりません。当面の目的は、新政策を行うための予算確保にならざるを得ず、取り上げたプロジェクトのほとんどが予算縮減の憂き目にあうことになっています。
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/6846/
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/6845/
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/6510/
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/6397/
 11月13日の第三ワーキンググループでも、神戸に建物はできているペタコン(次世代スーパーコンピュータ)は限りなく中止に近い予算縮減を求められ、理化学研究所の他の事業である植物科学とバイオリソースも3分1程度の予算縮減を求められました。わが国が世界をリードする放射光施設のSpring8は3分の1から2分の1の予算縮減を求められました。
 ポスドク対策など文科省の若手育成も、国の誤った政策のしわ寄せであることも考慮されつつも、過保護ではないかという意見もあり、結局、予算縮減が決定されました。縮減の割合が示されなかった分、まだましかも知れません。
 競争的資金(先端研究)に関しても、類似した名前のプログラムが多く、重複を整理すべきという指摘で、一元化してシンプルにして、予算縮減が求められました。
 11月27日まで、この作業が続きます。今後もばっさりと予算縮減が決まるでしょう。
 しかし、ペタコンとSpring8の予算縮減で、標的たんぱく質の構造解析とコンピュータによるドラッグデザインによって、わが国が新薬開発力を国際的な最先端まで高める戦略が危機を迎えています。問題はいくつもありますが、この一連の流れを文科省の担当者が統合的に説明できなかったこと。また、関連する専門家も放射光とペタコンを別々に議論する縦割りにはまっていたことです。もうひとつは、蓮舫議員が「何故、世界1でなければ駄目なのか?」という質問をしたことも、慚愧に耐えない。科学の本質である、Winners's Take allと知的資本主義の先出願や先発明という根本を理解していない発言だからです。資源のないわが国こそ科学を振興して未来を先取りする知財を確保して、国際競争に臨まなくてはならない。国富は科学にかかっているのです。科学は教養のためだけではありません。実際の企業競争や貿易収支を支配しています。
 ここを理解できず、事業仕分けをしては、わが国を傾かせます。この一点だけは是非とも、勉強していただきたい。
 若干救いなのは、蓮舫さんも含め民主党の議員が何度も説明していますが、今回は科学プロジェクトのよしあしを判断する機会ではなく、制度のあり方を問う機会であるということです。
 仕分け人と財務省が指摘する問題は、1)重複プログラムはないか?、2)国が自らやるべきことなのか?、3)事業遂行のために、財団などに委託していないか?また、その財団には天下りがいるか?、4)そのプログラムの成果を国民に分かりやすく説明できるか--などです。
 今回はこうした新政権の問題意識に沿った答えが必要で、世界最速のコンピュータは科学的な意義があるとばかり突っぱねても、仕分け人には理解されないということです。Sprin8とペタコンがHIVの新薬や糖尿病の新薬開発の鍵を握っており、国際競争の焦点であることを分かりやすく伝えるべきでした。
 新政権の意図を弁明側の官僚も科学者も理解していなかったことがまことに残念です。仕分け人の「これだけ投資して、いくらの収入になる」という下品な質問もさばかなくてはなりません。科学の成果を金で測るのか?科学の成果を国民にどう示すのか?新政権が目指す、効率的で計量的なチェックが可能な行政システムの中に、科学振興をどう埋め込むのか?文科省だけではなく、総合科学技術会議、大学、そして学会は総力を挙げて知恵を絞らなくてはなりません。高踏的な態度はもはや許されないということが事業仕分けの最大のメッセージではないでしょうか。
 今回の事業仕分けは、できないことをする、ドンキホーテのような試みですが、2つの意味で重要なショーであると私は思っております。
 第一点は、新政権が今までの政権とは違うぞということを、官僚群や国民に示すこと。
 すでに新政権の動向を敏感に反映した経産省や財務省とは対照的に、現実の行政の惰性というか、慣性に引きずられて変わり身が遅れた、厚労省、文科省に対しては厳しいものと成らざるを得ません。現業を多く抱えている関係省庁のジレンマです。改革には大きな軋みがこうした省庁にかかってきます。いかに自分の既存の事業や権限を守るという観点ではなく、国民へのサービスの質と量を高めるか?ソリューションベースで、全省を挙げて構造改革が問われているのです。本当に新政権が政治力があれば、省庁横断の事業仕分けが進むだろうと思います。
 たとえば、文科省が申請している知的クラスター事業は、「文科省が地域科学の発展」と主張しましたが、「地域の産業振興を何故、文科省がやる必要があるのか?」という仕分け人の発言で、一掃されてしまいました。しかし、文科省と一緒に産業クラスターを展開していた、経産省は2010年度に産業クラスターの予算を申請せず、事業仕分けを免れています。
 重要な第二の点は、実際の行政上の不合理を民主党の議員が学ぶ絶好の機会であることです。野党の時代に得られる情報は極めて限定的です。今回は蓮坊さんのいっていましたが、新たな行政システムの課題を議論を通じて掴みつつあります。
 ただし大きな問題は、事業仕分けの議論をリードしているのが財務省主計であることです。財務省のリードによって事業仕分けが行われている点は認識しなくてはなりません。あたかも新政権の番頭のように財務省は発言しておりますが、今年度の予算まで査定したのは財務省そのものではないか?その反省はどこにあるのか?
 11月27日までは、財務省の手助けが必要ですからやむをえないでしょうが、最大の事業仕分けは、財務省が予算編成をおこなうことを、法律の定めのとおり、内閣が行うよう改めることです。2010年度の予算編成が一段落したら、予算編成という最大の事業仕分けのテーマにこそ、新政権は取り組まなくてはなりません。
 いずれにせよ、子育てより、科学振興は国民に理解していただくには、時間も手間もかかります。これを認識して、本気で皆さんが新政権に科学振興の重要性を訴えていかなくてはならないことは確実です。今回の事業仕分けに対しても、ぶうぶう文句を言うべきです。
 事業仕分けに関しては、原則を曲げて、匿名で皆さんのご意見を募ります。ブログまでご意見をお寄せ願います。
http://blog.nikkeibp.co.jp/bio/miyata/
 12月21日の今年最後のBTJプロフェッショナルセミナーにお申し込みいただけまし
たか?掉尾を飾るのは「第二段階に入ったiPS細胞を創薬や再生医療にどう役立てる
か?」というテーマです。皆さんとの激論を期待しています。 あっという間にもう
半分しか席が残っておりません。どうぞ皆さん、お急ぎ願います。
http://bio.nikkeibp.co.jp/bio/seminar/091221/index.html
 今週もどうぞお元気で。