低気圧による豪雨の上を飛び越して、現在、沖縄に滞在しております。
 快晴。躊躇いつつも、夏服を着てきて良かった。もう上着を脱いで歩いています。北海道との気温差が25℃以上もあるのではないでしょうか?
 国土は狭いが、南北に長いため、気候風土に多様性が豊かなのが日本の魅力です。皆さんもぜひお住まいの地域の良さを発掘し、発展して下さい。
 リーマンショック以後、グローバリズム(米国主義)の権化であった米General Electronics社が、今年の8月に、全世界に画一的な基準や商品を押し付けることを止め、世界各国で自主的にその地域にあった製品を開発し、販売する戦略に転換したことを知りました。
 世界は多様性があってこそ、安定し、繁栄する。
 個の医療も、今までのように患者、男性、年齢45、そして不整脈ならこの薬という画一的な医療から、患者や皆さんの個性を理解した多様な医療に向かう大きなトレンドであると理解願います。
 さて個の医療ですが、今回もインフルエンザワクチンのお話をいたします。多様性を認めつつも、緊急時にはある程度画一的な対応をする方がより大勢の患者や国民を救うことになるからです。この判断は難しいですが、命の問題ですから、慎重にしかし、一度決めたら果断に実行しなくてはなりません。
 前回のメールと今週月曜日のBTJ/HEADLINE/NEWSでは、厚労省が専門家会議の「13歳以上はワクチン1回接種」という結論を変更して、20歳から50歳の健康な医療関係者を除き「原則2回接種」にした結果、ただでさえ供給量が少ない新型インフルエンザワクチンを、今までの経験から極めてリスクが高い10歳以下の小児に接種するタイミングが遅れる懸念があり、日本ウイルス学会や日本小児科学会が接種の前倒しを厚生労働大臣に要望書を提出したことをお伝えしました。その結果、厚労省は地方自治体に11月6日、小児のワクチン接種を前倒しするよう要請いたしましたが、肝心の2回接種の原則を変更していないため、ワクチンが不足、この要請にこたえることが事実上不可能であることを指摘いたしました。この指示は、実現不可能なことを指示し、現場に混乱を招いただけです。新型インフルエンザワクチンの供給を確保してから、指示すべきでした。
 では沖縄ではどうなっているのか?
 11月10日、沖縄県は基礎疾患のある患者(10歳以下の小児より優先されています)の予約を中止せざるを得ませんでした。医療従事者分の余りを加えても2万7066人分しか確保できず、予約受付で7000人も上回る3万4000人の申し込みがあったためです。沖縄県は基礎疾患のある患者用として国に3万3989人分の新型インフルエンザワクチンを要求していましたが、供給されたワクチンは1万人分不足していました。12月7日には残りの患者にも接種できる見通しですが、これでは10歳以下の小児(新型インフルエンザで重症化するリスクが高い)に接種できる順番は12月中旬にならざるを得ません。
 現在、新型インフルエンザの死亡数は57人。重症化し入院する過半は10歳以下の小児であります。この極めて今回の新型インフルエンザに特徴的なリスクをもっと重要視すべきであると考えます。
 助かりたいのは誰でも同じでしょうが、わが国の未来を担う1000万人の子供たちのリスクの方が私は重要だと思います。そして政治家こそが、こうした厳しい判断を下し、国民に納得させる役割なのです。
 新型インフルエンザワクチンの国内外の臨床試験の成績でも、1回投与で有効な免疫が得られることを示すデータがあるのは、11歳以上の人達は、過去に新型インフルエンザと抗原性が交叉するウイルスに感染していた可能性があり、1回の接種がブースト(つまり通常のワクチンでは2回目の接種)として機能している可能性があるのではないでしょうか。少なくともウイルス感染症の専門家ではこうした見方が一般的です。
 いずれにせよ。国産ワクチンの臨床試験データ(2回投与目)のデータがもうすぐ発表されます。それを見て、今度は妥当な結論を導き、しかも迅速に新型ワクチンの再配分が行われることを期待しています。
 さて、12月21日午後、奇しくも輸入新型ワクチンの認可が議論される時に、東京品川で「iPS細胞の再生医療と創薬への応用」をテーマにセミナーを開催いたします。
 ちょうど5分前にお申し込みサイトをオープンしました。満員が予想されます。どうぞ下記よりお早めにお申し込み願います。
http://bio.nikkeibp.co.jp/bio/seminar/091221/
 今週も皆さん、お元気で。