安藤美姫選手のクレオパトラは凄かったですね。
 良いか?悪趣味か?は議論沸騰なので論評を避けますが、衣装に演技が及ばなかったことは確かです。キムヨナ選手と浅田選手を欠いたため、全体に得点が低調だった大会でした。しかし、何はともあれグランプリ・ファイナルへの出場権獲得はおめでたい。これからメンタルと演技の精度を向上するためのぎりぎりの努力が、来年のバンクーバーオリンピックまで続きます。是非ともがんばっていただきたい。
 新型インフルエンザワクチンのわが国での投与問題が迷走しています。
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/6571/
 11月3日にウイルス学会が厚生労働大臣に要望書を提出、加えて日本小児科会なども要望書を送りつけたため、厚労省は「1歳から小学生低学年への小児へのワクチン接種を前倒しにするように」、地方自治体に11月6日に指示を出しました。すばやい変わり身は評価できますが、この指示を受けた多くの地方自治体では、実行不可能であると頭を抱えています。
 これでは今回の指示は厚労省のアリバイ工作と思われてもしょうがない状況です。根本的な問題は、新型ワクチンの供給量が限定されている中、厚労省が接種回数を10月20日に「20歳から50歳の健康な医療従事者を除き、原則2回接種」と決めてしまったことによって、妊婦や基礎疾患のある患者への接種で現場が手一杯となってしまったことがあります。この原則2回接種の問題を放置しておいて、1歳から小学校低学年へのワクチン接種前倒しを指示しても、現場は混乱するだけで、実行可能ではありません。
 供給量と国産臨床試験の1回投与のデータから、10月16日の専門家会議(実際は懇談会)が「13歳以上は1回接種」と具申していながら、厚労省の足立政務官が10月19日に別の専門家会議を招集して覆した経緯があります。10月16日の専門家の判断の背景には、入院患者の過半数を占め、明らかに重症化する小学校低学年以下の小児へのワクチン早期接種の意図がありました。季節性インフルエンザは65歳以上の老人と乳児で重症化しますが、新型インフルエンザはまったく従来のパターンと異なることを専門家は把握していたのです。
http://blog.nikkeibp.co.jp/bio/miyata/2009/11/204362.html
 足立政務官は医師ではありますが、今や政治家として国の舵取りを行う重責を担っています。一部の"専門家"ではなく、ウイルス学会や小児科学会などの総意に耳を傾けるべきだと重います。慎重さを優先させたい誘惑も理解できますが、原則2回接種という政治判断の結果、1000万人近い小児を重症化のリスクに曝してしまったことを無視してはいけません。
 政治はあくまでも結果責任が問われます。
 新政権だからできる果断で、科学的、そして面子にとらわれない判断を期待したいと思います。原則2回接種をできるだけ早期に13歳以上は原則1回接種に変更すべきだと考えます。
 10月20日の足立政務官の会見がウェブ上で放映されています。この中で、臨床試験のデータが揃う11月中旬で一回判断を、さらに少数の妊婦や小児を対象とした新たな臨床試験を行い最終判断をすると名言していますが、そんなに時間が果たして残されているのか?
 米国でも新型インフルエンザワクチンの接種が始まりましたが、ワクチンの流通システムの不備で、患者が長い列をなしていることがTVで放映されました。こうした緊急事態の時こそ、国家が真に国民を守ろうとしているのか?そして、国家組織がその期待にこたえることができるのか?国民は肉体感覚として実感できるのです。新政権の喫緊の課題として、実効性のある新型インフルエンザ対策を希望します。
 結局は政治的なショーであった、前政権の水際封じ込め作戦の二の舞は断固避けなくてはなりません。
 合わせて、国民の命を護るワクチン産業育成を怠ってきたわが国政府の態度も改めなくてはなりません。07年3月に厚労省は「ワクチン産業ビジョン」を作成いたしましたが、これを早急に改定、より実効性のある産業政策を打ち出すべきであります。人口が1億2000万人しかいない日本に4社の小規模なワクチン企業は必要ありません。しかし、この4社は世界と競争できるワクチン開発力を持っています。実際、英Glaxo SmithKline社やフランスsanofi aventis社が提携しているほどです。まずは、4社を統合し、国内での供給体制を整備し、東南アジアなど発展途上国にも貢献する新たな企業を創設する必要があるのではないでしょうか?可能ならわが国の製薬企業で国際化しつつある企業の参画も望みたいところです。景気対策としても、このプランは有効であると考えます。4社の経営者達も、国民を感染症から護るという皆さんの使命を認識した上で、一歩踏み出すべきであると思います。
 米国製薬工業協会の2008年のバイオ医薬調査を見ると、もはや抗体医薬を臨床開発件数でワクチンが凌駕しています。新型インフルエンザワクチンの大流行で国民のワクチンに対する理解が深まった今こそ、果断にワクチン産業を国民の安心と安全を護る国際競争力のある産業へと変貌させる好機であると確信しています。
 もう12月21日の今年最後のBTJプロフェッショナルセミナーにお申し込みいただけましたか?掉尾を飾るのは「第二段階に入ったiPS細胞を創薬や再生医療にどう役立てるか?」というテーマです。皆さんとの激論を期待しています。
http://bio.nikkeibp.co.jp/bio/seminar/091221/index.html
 今週もどうぞお元気で。