野球もワールドシリーズとか、日本シリーズになると面白い。もう後がない勝負が緊張を生みます。確かにこれを半年も続けるのは無理かもしれません。野球ももっと試合数を減らした方が、質が高まるかも知れません。観客も選手も、それに中継枠をゴールデンから移してしまったTV局も喜ぶのではないでしょうか?
 さて個の医療です。
 本日は新型インフルエンザワクチンのお話をしたい。個の医療の対極ですが、供給が限られた時に、どの患者から投与するかという判断は類似しています。 最もリスクの高い患者にどうやってワクチンを接種するか?
 実は簡単なようで、とても困難なのです。しかも、今回、わが国の新型ワクチン接種のきわめて重要な接種回数に関して、10月16日に開かれた専門家会議(実際は懇談会)の具申内容「13歳以上は1回投与」を、厚労省の足立政務官が10月19日に別の専門家会議を招集して覆し、10月20日に20歳から50歳の健康な医療従事者を除き、原則2回投与を決めてしまった経緯があります。
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/6571/
 専門家が一回投与でよいとした判断は、国産ワクチン(北里研究所)を使った臨床試験の中間データ(1回投与の抗原抗体反応)と海外で1回投与で十分という臨床データが発表されていることが根拠となりました。
 実は、季節性のインフルエンザでは65歳以上の老人と乳児が重症化するリスクが高いのですが、新型インフルエンザウイルスの感染ではわが国で重症化し入院した例は3000例ほどありますが、その過半が10歳未満の小児であるという著しく異なる特徴が明らかになっています。10歳以上の児童は抗原性が新型インフルエンザと免疫学的に類似したインフルエンザウイルスに感染する機会があったのではないかと推定されています。つまり、今回の新型インフルエンザウイルスでは、10歳未満の小児が極めてリスクが高い集団なのです。
 最初の専門家会議の結論は、1回投与の対象者を拡大することによって、最も守らなくてはならない小児へのワクチン接種を前倒しできることも含まれていました、
 残念ながら厚労省の決定した方針では、医療従事者、妊婦、基礎疾患のある患者よりも優先度の低い10歳未満の小児にインフルエンザワクチンを接種するタイミングが遅れる可能性が出てきました。日本ウイルス学会が11月2日に緊急の要望書を厚生労働大臣に送ったのは、こうした危機感の表れです。
 国際ワクチンが今年度中に2700万人分しか提供できないという供給量の問題と二回投与という政治判断が1000万人近いハイリスクの小児に対するワクチン接種が新型インフルエンザの流行期に間に合わない可能性を生みました。これは、一回投与の対象集団の範囲を拡大するか?1月から接種可能な輸入ワクチンを使うか、の選択肢があります。しかし、できれば流行期の前に接種することを考えると、今年中に10歳以上の乳児にワクチンを接種することが望まれます。
 輸入ワクチンの特例認可は厚労省の薬事・食品衛生審議会薬事分科会で、極端な副作用がわが国の小規模臨床試験で発表されない限り、09年12月21日に決定されます。つまり、それ以降しか輸入ワクチン5000万人分を接種することはできないのです。
 民主党政権は是非とも専門家の声にもう一度耳を傾けて、1000万人の子供達を重症化のリスクから救っていただきたいと思います。新政権の柔軟性の試金石であると私は考えています。
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/6571/
 さて、12月21日午後、奇しくも輸入新型ワクチンの認可が議論される時に、東京品川で「iPS細胞の再生医療と創薬への応用」をテーマにセミナーを開催いたします。
 ちょうど5分前にお申し込みサイトをオープンしました。満員が予想されます。どうぞ下記よりお早めにお申し込み願います。
http://bio.nikkeibp.co.jp/bio/seminar/091221/
 今週も皆さん、お元気で。