先週のBioJapan2009には皆さんご参加いただき大変ありがとうございました。ほとんどすべての展示会が前年比3割以上落ち込んでいますが、BioJapan2009は前年を上回る成績を残しました。皆さんのおかげです。
 今回はオープンイノベーションに真剣の取り組みました。
 今や社内だけの頭脳では世界の大競争にはとても太刀打ちできません。
 世界第二位の科学研究費を投入しているわが国の大学やそこから派生したバイオベンチャーと密接な連携なしには、わが国の企業は世界と競争することは不可能です。こうした認識が高まり、武田薬品を先頭にわが国の製薬企業大手やビッグファーマがアライアンスブースを出展、本気でライセンス担当者を常駐させて、3日間、皆さんと面談を繰り広げました。きっとこうした努力が大手企業とベンチャー企業のアライアンスにつながり、バイオ産業の発展につながると思います。米Acucela社の窪田最高経営責任者が、BioJapan2009で「大手企業との提携はベンチャー企業の技術や製品に対する信用を増大する」と指摘しています。
 わが国の企業がわが国のベンチャー企業を正当に評価することから、ベンチャー企業の成長が始まります。その意味で武田薬品が早期に提携し、2009年9月17日に東証マザーズで見事上場を果たしたキャンバスは理想的な成長曲線を辿ったといえるでしょう。引き合いが多くて値段がなかなか付かなかったことも、武田との契約が期待を膨らましたといえるでしょう。
 BioJapan2009のマッチングソフトには831件のプロファイルを登録した企業と1500人以上の参加者が蓄積されました。こうしたマッチング機能を通じて、第二、第三のキャンバスが生まれることを期待しています。
 来年のBioJapan2010は2010年9月29日から10月1日まで、パシフィコ横浜で開催いたします。皆さん、ぜひとも時間を空けて置いてください。
 一回り成長した皆さんやバイオベンチャーとお会いすることを楽しみにしております。
 さて、BioJapan2009で鈴木寛文部科学副大臣をお招きしたサプライズ企画に満員の聴衆が集まりました。新政権が一体何をするのか、皆さん興味深深だったのではないでしょうか?1時間半のセッションで、鈴木寛副大臣は極めて、明確に生命科学やバイオを新政権が振興しようという意思があることを述べていただきました。
 また、総合科学技術会議などの運営に、科学技術プロジェクトのプロを参画(いない場合は育てる)べきであり、現在の科学技術政策を評価する手法開発や研究に別枠で予算を投じるべきであるという意見も卓見だったと思います。
 ただし、ひとつ気になったのが、従来の縦割りの統治機構をコミュニティベースに変えるという大きな変革を行う決意はよくわかりましたが、では肝心のそのコミュニティとは何か?また、官庁の縦割りと異なる統治単位となるコミュニティをどう育てるかについては明確な展望がないように思えました。自然発生的なコミュニティを待つのか?組合など既存の組織を拡充していくのか?新政権の基盤を固めるのに極めて重要な手を早急に打たなくては、砂上の楼閣を築く結果となります。いずれ官僚制度に取り込まれるおそれもあるでしょう。
 中央官庁の縦割りから地方の業界団体まで、利権構造をどう崩し、民衆の力を取り込むための統治単位を作るのか?知恵を早急に出さなくてはなりません。インターネットのおかげで縦割りの情報独占が崩れる可能性があり、あとは資金と人材の流れの独占を変える必要があります。
 官公庁の縦割りに対抗するために、現場のニーズを打ち出しているのは誠に正しいと思いますが、こうしたインタレストグループの育成と横の連絡、さらには政府との情報共有を進めなくてはなりません。
 鈴木寛副大臣が各省庁の3役に手紙やファックスで意見をどんどんくださいと表明しました。今や政権中枢は情報に飢えている感じです。膨大の情報収集システムを持つ、官僚と対抗するためにはやむを得ないのでしょうが、こうした手段だけでは極めて貧弱で場当たり的な情報しか集まらないでしょう。
 ひょっとしたら、小沢さんが民主党の方で、インタレストグループの育成を行っているのかも知れませんが、集票組織と統治単位が重なり、なおかつこうしたインタレストグループから、政府に情報を吸い上げる仕組みを作らなくてはならないでしょう。
 さらにもう二つ重要なことは、政権中枢に手紙やファックスだけでなく、インターネットも情報収集に使い、そして民の声には絶対返事を書くこと、もうひとつは政府の官僚が持つ情報の公開を義務つけること、加えて政策や統治に必要な統計を拡充することが重要です。
 がん患者が何人いるかどうか?また、どんな治療法が施されているか?統計の無い国が、適切な医療政策を行い、それを評価できるとはとても思えません。長期の官僚支配によって、行政評価を客観的に行うための統計は意図的か、意図的でないかはともかく、ほとんど公表されていないか?無いのです。政府の活動や国民の実態を示す統計の拡充と公開はまず急ぐべき施策であると思います。
 こうした努力により、新政権はわが国の実態をリアルに把握できるのです。それからマニュフェストの更新をしてみてはいかがでしょうか?政権の外から知らされていた情報だけで練り上げたマニュフェストを大胆に実情に沿って変更する勇気も必要です。明治維新の時でも、尊皇攘夷から開国に180度舵を切り列強の侵略を排することができました。新政権もそれぐらいの柔軟さを示すべきではないでしょうか?
 いずれにせよ、出来立ての政権ですから、粘り強く成長を期待したいと思いますが、どうぞ皆さんも新政権に声を届けて下さい。間違いなく、新政権はやる気と危機感に満ちています。皆さんの声も以前よりは通り易いかも知れません。
 今週もどうぞお元気で。