夏休み、皆さんいかがでしたか?
 私は仕事だか休みだか、渾然一体とした夏休みでありました。
 現在、福岡空港に向う飛行機の上におります。本日は富士山のほぼ真上を飛びましたが、さすがに雪は一片も残っておらず、黒々とした山容を白い雲が取り巻いていました。早朝で空腹のせいか、なんだかおいしそうなデザート(黒ゴマアイス+ホィップクリーム)に見えてしまいました。
 本当に霊峰に申し訳ない、まだまだ修行が足りないですな。
 これからJSTの先端計測機器開発事業の成果を見に行きます。DNAシーケンサーやバイオの計測機器の商品化で完全に後塵を拝した我が国が起死回生を狙って巨額な投資を行っているプロジェクトです。バイオを推進するためには、何よりも新しい計測装置が必要です。新しい計測原理や高精度の計測装置が実用化できれば、それだけ生命の理解も深まり、バイオ産業も発展いたします。
 ヒトや環境に対する理解こそが、バイオ市場拡大の根拠となります。
 10月7日から9日まで、横浜で開催するバイオジャパン2009でも、バイオに関係する先端計測機器開発がJSTによって発表されます。凄い性能の計測機械が続々誕生しています。しかし、問題はその用途開発なのです。是非とも皆さん、バイオジャパンに参集し、皆さんの知恵とJSTの先端計測機器開発の努力を融合していただきたい。本当にここは重要です。いろいろな角度から、先端計測機器の新たな使い道を拓き、我が国の計測機器のバイオ市場での逆襲を実現してください。
 既に、バイオジャパン2009のサイトは立ち上がっています。無料入場券やマッチングソフトにご登録いただけます。下記からどうぞアクセス願います。
http://expo.nikkeibp.co.jp/biojapan/
 さて、個の医療です。
 8月5日のメールでも書きましたが、個の医療のプラクティカルな最大の問題は、新薬開発と新薬の適用患者を鑑別するコンパニオン診断薬の開発を同調することにあります。
 折角、特定の患者を有効に安全に治療できる新薬の販売許可を得ても、特定の患者を鑑別診断薬が入手できなければ、無意味なためです。我が国や米国では、Abbott社やRoche社、エーザイなどの一部の例外を除けば、製薬企業は整理再編成や本業への資源集中の結果、診断薬部門を切り離してしまっています。同一社内でも、新薬開発と診断開発は事業風土や事業化のプロセスが異なり、社内の連絡は困難です。別々の企業ではましておやということです。
 しかも、新薬の臨床開発からコンパニオン診断薬の開発を協調して進めないと、患者鑑別の結果を前向きに評価することが極めて難しいのです。このため真の臨床的な意味や、遺伝型やバイオマーカーと適切な投薬量を決定することが、現状では極めて困難です。現在までの個の医療のバイオマーカーはK-rasも含めて、まだ十分臨床的な有用性の評価を前向き試験で行ったものではないのです。
 臨床試験の結果、後ろ向きに遺伝型やバイオマーカーで患者を層別化して、個の医療のコンパニオン診断薬が開発されている段階です。今後、新薬の臨床試験(これは前向きの試験です)の当初から、個の医療のためのコンパニオン診断薬をも評価するようにプロトコールを創らなくてはならないのです。
 このためにも、今後、診断薬企業と製薬企業は密接な関係を築かなくてはなりません。09年8月11日、診断薬企業の米Dako社と元祖個の医療である抗体医薬Herceptin を開発した製薬企業、米Genentech社が、コンパニオン診断薬の製造承認申請を協力して行うことを発表しました。こうした提携は個の医療の実用化の基盤を形成するものです。下記の記事にどうぞ注目願います。
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/4754/
 今後、戦略的提携や買収も含めて、診断薬企業は個の医療化する新薬開発、もっと大きく言えばポストバイオ医薬企業再編の台風の目となることは間違いありません。
 福岡到着、気温33℃。残暑極まれり、富士山に食欲を掻きたてた罰が当たりました。
 皆さんは、どうぞお元気で。