我が国最大のバイオ展示会・シンポジウム、そしてオープンイノベーションの場であるバイオジャパン2009の来場者向けサイトが公式オープンいたしました。セミナーの申し込みはまだですが、展示会場の無料申し込みやビジネスマッチングのデータベース利用登録(無料)が可能です。どうぞ下記よりお申し込み願います。
http://expo.nikkeibp.co.jp/biojapan/
 現在、神奈川県庁でバイオベンチャーの審査を行っています。
 サブプライムバブルによる一時的な資金供給縮小で、塗炭の苦しみにあえぐ、バイオベンチャーにとって、地方自治体の支援は極めて重要です。小さな金額かも知れませんが、非常事態を乗り越え、次世代の芽を保全するためには、極めて貴重です。一生懸命、お話をうかがって正しい判断をしなくてはなりません。
 さて、先週は2度も京都を往復してしまいました。
 第38回国際生理学会大会(IUPS2009)の取材のためです。京都国際会議場に国内外から4000人もの一線の研究者が集まっていました。ポスター会場はまるで人種の坩堝のように若手の研究者が集っております。今まで発展途上国と誤解していた各国でも猛烈に生命科学研究が浸透していることを実感します。角を曲がるとノーベル賞研究者とぶつかりそうになる位、当たり前のように先端の研究者も参加しておりました。
 ノーベル賞というと新聞はやたら大袈裟に取り上げます。まるで珍獣扱いですが、科学の道を楽しみ、その成果が評価された幸運な科学者、つまり皆さんのような科学者と、ちょっとの才能と大きな幸運さの差のみがあるだけだと私は思っています。実際、若手のポスター発表で熱心に議論している姿を見ていると、本当に科学が好きなんだ、ということを実感させます。まさに好きこそものの上手なれです。
 こうした姿を見ると、余りノーベル賞学者に行政的な責務を、我が国のように期待したり、負わせることは必ずしも正しくないと思います。勿論、一部のノーベル賞学者には、行政能力も卓越している方がいることも事実ですが、こうしたことは例外的な人事と解釈すべきです。
 今回の学会で実感しましたが、ノーベル賞受賞者の第一の責務は、科学を愛する姿を示し、その楽しさを若手に伝えることですね。
http://www.iups2009.com/jp/index.html
 この学会のレポートはBTJで行いますが、もっとも衝撃を受けたことの一つお伝えいたします。
 核内受容体として有名なエストロゲン受容体には実は、細胞膜上にも存在する形態があることが分かり、神経の伸展や維持などに貢献しているいました。核内受容体としてしか作用しないと思っていたエストロゲン受容体が、実は細胞膜でGたんぱく質共役受容体として、細胞内のシグナル伝達にも貢献していたのです。従来、エストロゲンには早い作用と遅い作用の二種類があることが分かっていたのですが、前者が膜型の受容体、そして後者が細胞質内でエストロゲンと結合し、核内に移行して遺伝子発現を誘導する従来の核内受容体が担っていることが明らかとなったのです。
 コンフォーカル顕微鏡などによって、エストロゲン受容体の膜上での分布などが発見されたことが、こうした発見を導きました。
 こうして見ると、今までの生物学の教科書では画然と分けていた、核内受容体とGたんぱく質共役型膜受容体は結局は作用の様態において余り区別できないことが明らかとなったのです。
 「他のステロイドなどの核内受容体にも、膜型の受容体がある」と、米Rockefeller 大学神経分泌学のBruce S. McEwen教授は断言しておりました。今後、核内受容体の膜型受容体の作用は医薬開発の重要な標的となると思います。少なくともステロイドや抗エストロゲン製剤、糖尿病薬(PPAγ、PPAαの作動薬)などの作用機構の見直しが必要だと思います。膜型受容体に薬理作用が無いか?副作用に関連しないか?
 是非とも、こうした医薬品を販売、そして開発している皆さん、研究願います。どうやらここに新たな技術突破がある予感がいたします。
 さて、自民、民主両党のマニフェスト案(公職選挙法により正式なマニフェストは公示後配布)が公表されました。既に日経バイオテクオンラインで詳細に報道しておりますので、どうぞご覧願います。政権交代があってもびっくりしないために準備です。
http://biotech.nikkeibp.co.jp/bionewsn/
 しかし、民主党の科学技術政策の全貌は公開情報だけでは良く分からない。いろいろ取材すると本当はまだきっちっと決まっていない、むしろ周知を求めている段階のような感触を得ています。「初等中等教育の話ばかりで、大学や大学院に関する記述は民主党の政策インデックスにはほとんどない」とこぼす文部科学省の関係者もいるほどです。ひっとしたら、官僚というフィルターを通さずに、国の政策決定に影響を与えることができる未曾有のチャンス(混乱というべきかも知れません)が到来しているのだと思います。どうぞ皆さんも、今回の選挙を機会に多いに我が国で生命科学やバイオ産業をどう発展させるべきか、議論すべきだと思います。
 今年は冷夏だといわれていますが、油断はなりません。
 今週もどうぞお元気で。