いや「はやて」は早い。盛岡から東京までわずか2時間27分とは驚異的です。昔、のんびりと東北本線で盛岡までたどり着いたことを思えばまるで夢のようでした。日本トキシコロジー学会が盛岡で開催されており、昨日、折角北に来たのに灼熱であった盛岡の理不尽さを楽しみました。この学会ではiPS細胞やES細胞の安全性評価の議論が進んでいました。
 文科省は今月初め発表したiPS細胞研究のロードマップで、5年以内に臨床試験と無理矢理ぶち上げましたが、厚労省と文科省の間の連携不十分に何ら手を打たなければ土台無理ですし、今回の学会で、iPS細胞が由来した成人細胞のゲノムの記憶(エピジェネテイックスのパターン)が残っている以上、これを精密に測定したり、制御することが出来なくては、再現性のあるiPS細胞を供給することが困難で、臨床試験の意味がなく危険だとの声もあることを忘れてはなりません。
 かといって基礎研究だけに閉じこもる今までの日本の学界の蛸壺にiPS細胞研究を
安住させるのも、問題であり、悩ましいところです。
 さて、まずは宣伝です。
 もうダウンロードなさいましたか?
http://biotech.nikkeibp.co.jp/btjjn/index.html
 BTJジャーナル09年6月号には、大学の国際的なランキングを掲載しています。あなたの大学は世界第何位か?このままこの大学で学んでいていいのか?
 是非ともこのランキングをご覧いただきたい。残念ながら教授のランキングは発表されていませんので、教官の方はご安心を。下記より無料でダウンロードできます。
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 ビッグファーマ+武田薬品など我が国の製薬企業、サントリーなど有力食品企業、テルモなど有力医療機器企業など、総勢30社近い大手企業が皆さんの頭脳、シーズを求めて、10月横浜で開催されるバイオジャパン2009に集結します。決定権のあるライセンス担当者が、オープンイノベーション通りにずらりと並ぶ企業ブースに常駐、皆さんをお待ちします。昨年は850件以上の面談が成立しました。今年は皆さんと一緒にこれを倍増させたいと思います。知識資本主義の出会いの場にどうぞご参加願います。
 マッチングソフト、下記よりご登録(今年は思い切って無料)いただけます。どうぞ、あなたの未来を拓く出会いを登録して掴んでいただきたい。
https://exponet.nikkeibp.co.jp/match2009/?action_login_input=true  
 マッチングソフトの使用法は下記をご参照願います(少し重い)。
https://exponet.nikkeibp.co.jp/match2009/manual.pdf
 さて個の医療です。
 いよいよ2型糖尿病の予防バイオマーカーの誕生が近づいてまいりました。
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/3791/
 糖尿病は経済発展した国の宿病で、今では中国などアジア諸国でも大きな問題となりつつあります。おまけに、どうやらアジア人は欧米人と比べて、低カロリーで生き抜いてきた進化の歴史があり、ゲノムに2型糖尿病に罹患し易い遺伝子群を持っていることまで、最近明らかになってきました。
 糖尿病を発症してからでは、インスリンを生産するβ細胞がすい臓で減少しており(一説には70から80%も正常量よりも減らないと、血糖値の異常として観察できないとも)、血糖値異常が出てから、食事療法や運動療法、そして薬物療法で制御するのもなかなか容易ではありません。しかも、仮に血糖制御が上手く行ったとしても、高血糖状態が招く、微細な血管病変を必ずしも抑止できないのです。白内障や腎臓障害など、重篤な合併症を引き起こしてしまします。
 もし糖尿病になる前、まだすい臓のβ細胞が十分残っている状態で、糖尿病になるリスクを診断できれば、穏やかな食事制限や運動療法によって、死ぬまでに糖尿病を発症せずに、天国にいける可能性が拓けます。
 今や太りすぎ、そしてストレス過多により、糖尿病の悪夢に悩まされている私を初め、皆さんにとっても朗報です。最近では、痩せていても前糖尿病状態である場合も観察されてきましたので、やせているから前の文章を読んでも、鼻でせせら笑ったあなたの問題でもあるのです。
 2型糖尿病を発症するリスクの有力な指標はインスリン抵抗性です。インスリンを分泌しても、筋肉など全身での糖の取り込みや代謝活性が下がることを意味します。その結果、すい臓のベータ細胞は余計にインスリン生産に励むため、この状態が長く続くと、消耗して細胞死すると考えられています。
 もしインスリン抵抗性が高いなら、直ぐに食事療法で糖の摂取を制限したり、運動療法で糖代謝活性を改善するなりして、すい臓のβ細胞をいたわらなくてはなりません
β細胞を大切にすることが糖尿病の予防になるのです。
 しかし、インスリン抵抗性を測るにはグルコースクランプ法という患者に負担がかかり、しかも高額な検査が必要でした。これではしばしば測定することも不可能ですし、皆さんの糖尿病のリスクを解析するためのスクリーニングにはとても使えない手法でした。
 今回、米Metabolon社がグルコースクランプ法によるインスリン抵抗性の値と良く相関する代謝産物を血清中からメタボローム分析によって、同定することができました。40近い代謝産物がインスリン抵抗性が高まるにつれ、変動していました。同社は中でも最も相関を示した、2ヒドロキシル酪酸(2HB)をインスリン抵抗性のバイオマーカとして、商業化することを目指しています。
 前向きの大規模臨床試験で、2ヒドロキシル酪酸の値が高い人が、糖尿病になることが証明されたら、これは今までの糖尿病予防に革命的な貢献を示すことになると思います。
 世界的な笑いものになっているメタボ検診の腹囲長よりは、よっぽど確かなバイオマーカになると期待しています。個人毎に糖尿病発症を抑止する指導プログラムをやがてこうした代謝産物を指標にデザインすることもできるかも知れません。詳細は下記の記事をご覧願います。
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/3791/
 これで、安心して太れる?
 皆さん、そんな不埒なことは、決して考えてはいけません。
 今週もどうぞお元気で。