これで本当に最後のお願いです。締め切りは6月18日正午。
6月19日午後、品川で開催するBTJプロフェッショナルセミナーは、今後のバイオ研究者や創薬研究者、環境エネルギー関連の研究者など、およそバイオと名付く研究の強力な武器となる、次世代シーケンサーを取り上げます。
 スポンサーのご厚意により、助手、大学院生、学生は無料招待枠を設定しました。有料、無料募集とも会場の制約で、もうすぐ締め切りとなります。どうぞ下記より、アクセスの上、お早めにお申し込み願います。
http://bio.nikkeibp.co.jp/bio/seminar/090619/index.html
 今、関空から戻ってきたところです。
 「風水が良いから気に入っている」
 関空の橋のたもとにある高層ビルに、中国の国有企業、中智の日本支社があります。中国に設立された外資系企業への人材供給を一手に担う国有企業は、やがて人事管理、人事評価、プロジェクトマネージメント、人材研修など、人事から経営コンサルまで事業を急速に多角化しています。この4月にはとうとう中国での医薬品開発の支援や医薬販売の支援を行うアウトソーシング事業も、日本で立ち上げたほどです。
 製造業の拠点だと思われていた中国が、圧倒的な中国の人材とその頭脳の開発に乗り出してきました。やがてIT技術と融合し、インドのバイオインフォマティックス企業のように、データマネージメントと総合的な医薬臨床開発支援のソリューションを提供するまでに成長することも近いという予感を得ました。
 インドでも、中国でも医療と医薬は間違いない成長市場であります。
 こうした中進国がデータに基づいて、医療や医薬開発を行うことを認識しているのに対して、わが国の現状は誠に寂しい状況です。
 わが国の医療の最大の問題は、どんな病気にかかった患者が何人いるのか?どのような治療が行われて、その結果、病気はどう回復したのか?こういう基礎的な医療データや医療のパフォーマンス(医学的にも、経済的にも)を示すデータが公開されていないということです。
 「わが国は世界に冠たる国民皆保険の国で、世界に誇る長寿国だ」と、医療関係者は胸を張りますが、実は各医療機関が医療費を請求するレセプトデータが、公開(勿論、個人情報の秘匿が前提です)されていないため、本当に医療のおかげで、長寿になっているのか、検証のしようがありません。多分、検証すれば、医療よりも、衛生、栄養、教育、環境の方が、長寿への貢献度は高いと思います。
 つまり個の医療にいたる以前の、エビデンス(科学的な臨床効果の実証データ)に基づいた医療(EBM)にも、わが国の医療システムは到達していない状況です。このために、厚労行政は確とした医療データに基づかない判断を繰り返さざるを得ず、わが国の医療は常に、目に見える形でどこかが破綻(産婦人科医の逮捕など)して初めて制度の手直しが、パッチワークのように行われているのです。これでは、医療そのものの全体の最適化ができる訳はない。
 この状態では、消費税や保険料アップを原資に、医療費を増加しようにも、どんな効果が期待できるのかを、国民に示すことが困難であり、到底国民的な合意を形成することも難しいし、更にいえば、仮にGDP当たり10%(現在、7.8%)まで、医療費を増加したとしても、それが効率よく適切に使われているのか、チェックする手段も無いということです。
 国民を目隠しして、お財布から医療費をもっと出しなさいと言っているのに等しいのです。医療改革のためには、まず医療基礎データの公開が絶対必要なのです。
 但し、明るい兆しもあります。
 2011年に総ての医療機関がレセプト請求をインターネットで行うことが義務付けられます。これによって医療情報が電子化し、データベースとして活用できる技術的な基盤が形成されます。
 実は、レセプト病(本当の病名とは異なる保険請求のための病名)など、レセプトデータの質に問題がありましたが、これもDPC(包括医療、海外ではDRG)が1998年11月から段階的に普及してきたために、医療行為の記述のコード化・標準化が進み、解決しつつあります。既に、わが国の病床の半分以上が、疾病は限定されますが、DPCを実施しており、下地は出来つつあります。
 勿論、問題はレセプトデータを国民医療の適切化に利用する国民的合意が形成されていないことです。あなたの医療費が公開されるといったセンセーショナルな議論ではなく、個人情報の秘匿をきちっと行った上で、国民の健康のために、私たちの医療データを公的財産としてどう活用するか?冷静にしかも、迅速に合意を形成しなくてはなりません。
 データに基づいた医療の実現の向こうに、個の医療の実現が見えはじめたところです。
 今週もお元気で。