まずは、バイオキャンプジャパンの参加者募集です。
 今年の国際大会はバイオの聖地、Bostonで開催されます。バイオとビジネス、両方を学べ、しかも、多国籍の仲間と知り合える日本の大学では決して得られないチャンスです。Bostonに行く前に、国内予選を突破しなくてはなりません。簡単な英文作文で応募可能ですので、どうぞ下記よりふるって応募願います。
http://www.novartis.co.jp/campaign/camp/2009/index.html
 皆さんの挑戦をお待ちします。
 今話題の新型インフルエンザで注目がぐっと集まっている、新興・再興感染症拠点形成プログラムの評価委員会で夕方まで缶詰となっています。SARSショックで始まった研究プログラムであり、2005年度からアジア、アフリカなど新興・再興感染症の発生地帯に8カ国12箇所の研究拠点を設置、ゲノム疫学研究や診断薬やワクチン開発の基礎研究を展開しています。
 1891年に海外感染症拠点の形成を始めた大先輩であるPasteur研究所から、2008年にはとうとう連携を打診するまで、国際的な存在感が高まりました。
 2002年のSARSアウトブレイクの時には、Pasteur研究所がベトナムの拠点で検体を逸早く入手したが、我が国の研究機関は入手することに難渋し、切歯扼腕した悔しい思いを晴らすことができつつあります。
 今まで海外に感染症のモニタリング拠点を持っていなかった我が国に海外の感染症のアンテナが整備されつつあることは、大変重要な意味を持つと思います。5年間のプログラムは終了いたしますが、第二期も決まっており、文部省内の他プロジェクトとの連携と厚労省の国立感染症研究所などとの連携も深め、さらに国民を新興再興感染症から守る学問・研究の盾として発展することが期待されています。
 高度移動社会と世界統一市場に直面している我が国では、ますます新興再興感染症のリスクが増大しています。残念ながら今回の新型インフルエンザ騒動では、国民と政府関係者の知識が不足していることが露呈されました。政府が科学的な判断に基づかない感染防御の偽装に走り、国民もそれに右に倣えというのは情けない。
 この審査委員会には感染症の専門家が集まっておりますが、「誰もが今回の政府の対策は過剰であり、早急に規制を緩和すべきである」と口を揃えています。
 しかし、現状は「大阪では8割もマスクをしている。電車にもマスクをするようにという掲示がある。マスク無しには白い目で見られる」と大阪の創薬研究の重鎮も朝証言しています。「東京はマスクが少ない。私もしてきたが、今は外している」とも付け加えました。
 しかし、感染者が感染拡大阻止には効果があるマスクを、未感染者も含めほぼ全員がしている状況は異常です。WHOも米国も欧州も発症していない場合のマスク着用は勧奨していません。実際、感染阻止にはマスクはよっぽど医療向けの高価なマスクでも着用しないと不可能です。しかも、これを着用して日常生活を送ることは、私の想像外にあります。
 現在、米国で開催されている学会に姿を見せないのは、シンガポールと日本の研究者だけというメールも来ております。かくいう私も、社命でなるべく海外出張するなというお触れが出て、米国のBIO2009の取材も断念せざるをえませんでした。
 毒性は季節性インフルエンザに準ずると既に専門家は分かっているのに、何故、政府が高病原性の鳥インフルエンザ対策に練り上げた重装備の感染防止マニュアルを墨守することから、機動的に緩和に方針転換できなかったのか?もっと科学的な知識を集約して、政治的な判断を進めるスマートな政府にならなくてはなりません。
 一番重要なのは、政治的な思惑から遠く、科学に基づいた自由な主張を持つ大学の役割です。何故、大学の研究者達はもっと声を上げないのか。
 大阪大学は別に学生が感染した訳でもないのに休校中です。神戸大学も休校しています。しかし、京都府で患者が現れたら京都大学も休校して欲しいという府の要請に対して京都大学は「断固として反対し、感染者が出たらそのキャンパス毎に休校措置にする」と突っぱねました。京都大学の知的レベルが高いというよりも、実は医学部長が感染症の専門家である幸運に恵まれたためだと思います。しかし、自治体の要請に対して、各大学の総長は専門家の意見に耳を傾けて独自の判断をすべきであると思います。
 誰もがまずいと思いながら社会が、事なかれ主義のために流れ、流れている今、社会の安全弁としての大学としては、国の判断の偏りを正す京都大学のような見識こそが、求められていると思います。季節性インフルエンザ並みの防御対策へと規制緩和を行うべきです。
 私達も個人として情報を判断して、他の人と同じなら安心という態度を改めなくてはならないと思います。米国出張をやめた私の反省でもあります。
 どうぞ皆さん、お元気で。