6月19日に開催予定のBTJプロフェッショナルセミナー、お申し込みになりましたか?申込者が殺到しております。どうぞ下記よりお早めに。今回は読者の誰もに関係する次世代DNAシーケンサーを議論します。
http://bio.nikkeibp.co.jp/bio/seminar/090619/index.html
 五月晴れ、夏の暖かさです。
 東北新幹線は強風のため、運転が遅れています。現在、日本組織培養学会の取材のため、おもちゃのまちを目指しています。多分、玩具メーカーの工業団地があるため付けられた名称だと思いますが、切符を買うのも50歳を過ぎると憚られますな。しかも、この駅を下車して患者が通う獨協医科大学も複雑な心境でしょう。
 スコットランドでは中村俊輔選手奮闘も空しく、引き分けに終わり、リーグ4連覇はかなり悲観的になってきました。ここは僥倖を待つしかありません。レンジャーズが敗退しないと、優勝の目はありません。4連覇の夢が断たれた時、次の目標をワールドカップに絞ってくれるとありがたい。
 5月13日の個の医療メールで指摘した通り、国内の新型インフルエンザ感染は第二段階に入りました。そもそも大袈裟にそれほど感染防止には意味の無い、水際封じ込み対策にあんなにパフォーマンスすることは無かったと思います。これで時間が稼げたと政府は言いますが、潜伏期のことを考えるとせいぜい1週間。むしろ、目を空港に釘付けして一般市民の啓蒙や医療供給体制の万全に手を抜きがあったとしたら問題であると思います。空港だけで封じ込められる訳がないと政府は正直に告白すべきでした。これも一種の偽装であると思います。
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2006/2146/
 無批判に防護服を着て汗だくで空港内を走り回る動画を流し続けた、メディアも勿論同罪です。
 AIDSが流行した時に、あれは同性愛者の特殊な病気という誤った認識を流布させて、血液製剤などに対する対策が後手に回ったことを、厚労省はまだ反省していないのか?それとも一種の選挙対策やヒロイズムのため、厚生労働大臣が暴走したのか?いずれにせよ、早急にパフォーマンスから実質的な感染防御策に転換すべきでしょう。
 案の定、感染力はこの新型インフルエンザウイルスは極めて強い。免疫を獲得していない集団に容易に浸透してしまいます。今朝、銀行の女性従業員が感染していることが明らかとなりましたが、空港ばかりに関心を振り向けた結果、今や全国各地に感染が広がり、感染防御対策が後手に回っています。神戸市内でマスクが品不足になったり、首都圏で医療機関が発熱患者の受診許否が起こったり、すでに綻びも見え始めています。
 ただでさえ、国民皆保険制度により、大病院志向が強い国民が、発熱を訴えて病院に殺到する事態にどう対処するのでしょうか?インターネットによる医薬品の販売を実質的に中断しようという我が国の政府では、抗ウイルス剤を効率良く配布する情報システムを流通網を欠いています。大流行時に、電話相談がパンクすることは予見可能でしょう。世界一の性能を誇る我が国の携帯電話によるインターネットサービスを活用しない手はありません。人口の20%に感染することを前提に、コストエフェクティブなシステムを構築すべきです。
 幸い致死率は季節性インフルエンザの2倍程度と低いのが唯一の救いです。若者が重症化し易いようですが、今まで流行したA型の季節性インフルエンザウイルスとの交叉免疫性が不明な段階では、老若男女が総て気をつけなくてはなりません。人ごみに出ない、帰宅したら手洗い、免疫力が落ちないように休養や栄養摂取に努めるといった王道を実直に守るしかありません。特に外出時に、手で顔や粘膜に触れないことは重要です。
 もう一つ重要な点は、現在の新型インフルエンザ感染対策があくまでも強毒性の鳥インフルエンザの発生に基づいて建てられた対策であることを認識しなくてはならないことです。H5N1の鳥インフルエンザの高病原性ウイルスは季節性のインフルエンザとは全く異なる出血熱です。致死率が56%という数字もあります。通常の季節性インフルエンザの致死率は0.1%に過ぎません。従って最大限の感染防除対策が社会にとって必要ですが、今回の新型インフルエンザウイルス(致死率0.2%)に対して、同様な対策を講ずるべきなのか、そろそろ新型インフルエンザウイルスの実態が分かってきた今、精査すべき段階に来たと思います。
 絶対の感染防除から、早期の抗ウイルス剤の処方へそろそろシフトすべきだと思います。学級閉鎖も季節性インフルエンザ並みの扱いも検討しても良いのではないでしょうか?この対策の問題は、感染者は増大するため、ウイルスの変異の機会が増えることです。我が国の国内の感染者から分離した新型インフルエンザゲノム解析はどんどん進める必要があります。変異率と毒性などの変化を逸早く捉えて、対策の指針にしなくてはなりません。
 09年4月27日以来、5月18日までに185株以上の新型インフルエンザウイルスのゲノム配列(全ゲノムとは限らない)が、GenBankで公開されています。我が国でも国立感染症研究所と製品評価技術基盤機構(旧製品評価センター)が、国内感染者から分離した新型インフルエンザゲノムの解読を行うはずです。一日も早くその結果を公開願いたい。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/genomes/FLU/SwineFlu.html
 しばらくは、ひとごみを避け、新緑などを堪能するのが賢いかもしれません。
 今週もお元気で。