昨夜の女子フィギュアの国際選手権は皆さんがご覧になったと思います。はっきりしたことは、今や円熟さえ感じさせるキムヨナに対抗できるのは浅田真央だけであるということです。
 審査員の前をゴーッという音と風を吹きかけながら通り過ぎながら、尚かつ「表情でも演技をしている」(今朝のTVの解説者)キムヨナを凌駕するには、トリプルアクセスの精度を増し、不得意なジャンプの修正が必要ですが、技術的には可能だと思っています。両者が技術の頂点でバンクーバーオリンピックで激突した時、勝負を決めるのは総合力、表現力、芸術性という技術ではなく、複数の美質や技術が組み合わさった高次の価値となることは間違いありません。
 バイオでも、生命現象の様々な物資的な側面を計測するオミックス解析が技術の頂点を迎えつつある現在、それらのデータを統合化し、生物学・医学的な意味のある情報に変換する「統合オミックス」こそが、重要となってきました。
 現在、品川のコクヨホールで、BTJプロフェッショナルセミナー「統合オミックス」を開催中です。お蔭様で会場満員、本当に満員です。年度末のお忙しいところ、誠にありがとうございました。
 何故「満員なのか」。うぬぼれですが、多分、ミレニアム計画以来膨大な投資が行われてきた、オミックス研究が曲がり角に来たことを皆さんが感じていることが、今回のテーマ「統合オミックス」に感応したのだと確信しております。
 オミックスの基盤研究が進展した結果、続々と誕生しつつある膨大なオミックス情報を活用することが現実課題となってきたのです。しかし、実際どうやって活用し、データに埋もれることなく、解析器機の開発企業だけが儲かることもなく、国民の健康や福祉、そしてバイオ産業の発展に貢献できるようになるのか?
 まだ答えがない、状況だからです。
 実際、DNAシーケンサーの技術突破を考えると、第三世代が来年、第四世代が、その二年後、さらにどんどん高性能の解析器機が投入されることが見えています。また、質量分析器に関しても、同様な解析精度の向上と解析コストの低減が見えています。
 「器機をリプレイスしながら、最先端のオミックス研究を、全国各地の大学や研究機関で続けることができるのか?」(東京大学先端科学技術研究所油谷教授)という危機感が、会場では共有されています。
 従来の研究開発が囲い込みの研究ならば、今後の統合オミックスはオープン・イノベーションの研究です。「オミックス情報を公開し、さらにはサンプルへのアクセスも可能に、多数の研究者が研究に参加できるようにして、オミックスデータにさらに付加価値を付与するような研究開発体制が必要となる」と油谷教授の指摘は的を射ていると思います。
 「統合オミックス」研究には、研究システムの変化も必要です。プライオリティと知財の権利化と生データの公開とバイオバンクの整備という、相矛盾した関係を整理しなくてはなりません。研究者だけでなく、研究を支援する仕組みの開発も不可欠です。
 09年度予算の補正予算は、選挙が無ければどうやら5月に成立する模様です。景気浮揚のために30兆円投入するならば、次世代の研究開発システムの構築にも資金を投入しなくてはなりません。今、投入できれば、世界の知恵が日本に集まる可能性も生まれます。
 この寒さも木曜日には日本から去る見通しです。いよいよ春が来ます。
 今週もお元気で。春をご堪能願います。