現在、ローヌ川に面したパレドコングレで開催されているBioVision2009を取材するために、フランスLyonに滞在しています。当地の気候は東京とほぼ同じで、コブシの花が灰色の産毛の生えた芽から丁度こぼれ落ちようとしています。
 2年に1回、欧州でバイオのダボス会議を目指してLyonで開催されているBioVision (今年で4回目)にも、深刻な不況の影響が押し寄せています。ただでさえ、余り広くない展示会場の展示ブースが激減しているのです。
 3月8日の大会初日の会議でも、「この不況下に資金はどの分野に投下すべきか?」といった質問で討議が始められたほどです。最も、ノーベル賞学者4人を揃えたこのセッションでは、個性的な学者を集めたセッションではありがちですが、勿論、各人各様の意見でまとまることはありませんでした。フランスのノーベル化学賞学者、Jean-Marie Lehn氏は「The Best Placeに投入すべき」と主張し、司会に何がThe Best か?と突っ込まれて、しどろもどろになる始末。但し、結局は4人とも、少なくとも40歳以下の狂おしいアイデアを持ち、全く他の人と違う若手に少なくとも一部の研究費は投入すべきというところで一致しました。つまり、未来に投資すべきだというのです。
 これはノーベル賞学者じゃなくても思いつく真理だと思いますが、実際これを実行するのは容易ではありません。我が国の事情を見る限り、若手への分配の最大の壁が、大御所自身の存在とその弟子、そして大御所がクレージーなアイデアを必ずしも理解できないという矛盾にあります。
 ノーベル賞は受賞しておりませんが、BioVisionの創始者の一人で、フランスの科学アカデミー名誉永久事務局長であるFrancois Gros氏が、このセッションで一番まともなというか、分かり易い、しかも目配りの広い発言をしていたと思います。これは同氏が永年、フランス科学界をまとめた政治的能力故であります。科学者でもきちっと人文社会的素養(教養というべきか?)と社会に対する関心を持ち、働きかける能力を備えているのです。
 先端科学と政治力的能力の両方とも卓越することがいかに難しいか、毎回、ノーベル賞受賞者によるセッションを企画しているBioVisionを取材して、痛感いたします。どうやったら、我が国でも科学科学界を牽引し、先端科学で世界をリードするプラットフォームを創りあげるリーダーを育成できるのか?我が国には大きな課題が残されています。
 さて、皆さん、先週、このメールでお知らせいたしました今年最初のBTJプロフェッショナルセミナー(3月30日午後、東京品川)の受付を開始いたします。緊急開催のため、今回は無料で参加いただけます。
http://bio.nikkeibp.co.jp/bio/seminar/090330/
 テーマは「統合オミックス」。オミックスの最前線を俯瞰し、次の課題として統合オミックスの可能性を議論します。どうやらバラバラに研究を進めているオミックスには限界が見えてきました。これを突破するには、オミックスデータを組み合わせた統合オミックスが必要であると考えます。医薬・診断薬、機能性食品・農産物、安全性試験、創薬支援などの関係者に是非ともご来場いただきたいと願っております。
 皆さんとの熱い討論を期待しております。どうぞ下記より詳細にアクセスの上、お早めにお申し込み願います。
http://bio.nikkeibp.co.jp/bio/seminar/090330/

 もう一つお知らせです。
 4月14日午後、経団連会館でこれもBTJプロフェッショナルプロフェッショナルセミナーの特別版として、インドの新薬開発のデータマネージメントセミナーを開催します。これは製薬企業と関連企業に限定して募集いたします。英AstraZeneca社が臨床試験のデータマネージメントを委託したインドCognizant Technologies社の協賛で、現地の生の情報を得られます。今や新薬の臨床試験で不可欠となったインド企業との協業を皆さんも検討する良い機会だと思います。
 参加希望の方は、btj-ad@nikkeibp.co.jpまでお申し込み願います。申し込み多数の場合は招待状の送付を持って、抽選の発表を代替させていただきますので、どうぞ予めご了解願います。
 今週はずーっと欧州におります。現地からのリポートをBiotechnology Japanに掲載いたしますので、どうぞご期待願います。皆さんもお元気で。