昨夜のオーストラリア戦は、監督がインタビューでは「やりたいことができた」と言っておりましたが、その顔は蒼白。ロッカールームでは「負けた」と言ったという噂まで報道されています。完敗だったと思います。オーストラリアが完全に引いて守ることは予想されたこと、これを崩すことができなかたのだから完敗です。
 とにかく無駄な横パスと、パスの精度の低さには落胆しました。あれがやりたいことであるならば、躊躇わず監督は交代しなくてはなりません。
 さて、個の医療です。
 個の医療の進展にも強力なリーダシップが不可欠です。先週、ちらりとお話をしましたが、米国のオバマ新大統領が個の医療のサポーターとして急浮上して来ました。今朝、報道しましたが、いよいよメタボロームによる臨床的に意義があるバイオマーカーが発見されるなど、ゲノム、トランスクリプトーム、プロテオームに加えて第4のオミックスからも実用的な成果が誕生しつつある今、政策的に個の医療の実現・普及を推進するオバマ大統領の出現は大きな意味を持ちます。
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2005/9718/
 先週金曜日に上院で、経済梃子入れ法案が可決されました。総額80兆円に迫るプランです。この中で低所得者向けの医療制度の拡充を取り上げていることは重要です。サブプライム・ショック後の雇用対策に、環境分野での新規産業創出を狙ったグリーンニューディール政策がオバマプランとして注目を浴びていますが、オバマ大統領の次の狙いは米国医療改革にあるのです。伝統的な民主党の政策にも合致しています。
 5000万人にも及ぶといわれる米国の無医療保険者の救済を企画していますが、それを実現するために同時に医療の合理化も迫る二正面作戦です。まずオバマ大統領は、情報技術による医療情報の統合し、重複医療や無駄な医療の排除を行う腹積もり。そしてオバマ大統領が期待する医療改革の目玉が、他ならぬ個の医療の実現です。医薬品の副作用を排して、最も適切な医療を適切な患者に届けることを可能とする、個の医療こそ、オバマ大統領が目指す米国版国民皆保険制度の技術的な背骨であるといえるでしょう。
 こうした整合性ある二正面作戦が可能なのが、米国の大統領制の良いところでもあります。わが国のばらまきや一方的な締め付け政策とはここが違います。各省庁の上に存在する大統領を欠く、わが国では、各省庁各部局の思惑で整合性のある二正面作戦をとれない大きな欠陥を政府が持っています。法案を国会が通しても、官僚が動かないというとんでもない情況です。
 おまけにわが国では景気対策として、09年4月にも補正予算が新年度冒頭に予定されており、そのがために”新麻生プラン”なる政策のようなものの策定に官僚が動いていますが、自民党政権が示した3大力点は、1)低炭素革命、2)健康長寿、3)底力でした。流行のキーワードの浅薄な解釈に過ぎず、官僚に馬鹿にされてもしかたがない。特に3)の底力に関しては、皆さんも何のこっちゃ分からないでしょう。
 さて肝心のオバマ大統領がどう個の医療を応援しているのか、です。
 実も先月まで私も知りませんでした。我が国ではほとんど報道されていませんが、06年と07年の2度にわたり、当時上院議員であったオバマ大統領は、“ゲノム及び個の医療法案”(S.3822、S.976)を議会に提出していたのです。
 この法案は米国の保健福祉省長官に対して、患者の臨床情報とDNAを収集した国立バイオバンクシステムの創設や個の医療を実現するための省庁横断的な組織の創設を求めています。
 実はわが国の医学部の教育でもおざなりにされており、個の医療を実現しようにも医者がメンデルの法則も良く理解していない情況がありますが、オバマ上院議員(当時)は、法案で遺伝学やゲノム薬理学を医療関係者に教育するシステムや、遺伝子診断キットの開発に対するインセンティブに至るまで、とにかくきめ細かくヒトゲノム解読の成果を個の医療として還元するための方策をまとめ、米国の保険福祉省長官に実行を迫りました。しかも、法案では予算の裏付けも与えました。
 バイオバンク創設のためには、初年度に7億5000万ドル、その後5年間もほぼ同額の資金を投入することを法案に盛り込みました。我が国のオーダーメイド実現化計画が、第一期と第二期の10年間で投入する総額350億円を凌駕する投資でした。
 米国は大統領制度ですから、法案が議会で可決され、大統領が執行を認め、サインをすれば官僚は動きます。日本のように法律が換骨奪胎された上、執行でもサボタージュされるというおよそ法治国家ではない国家とは米国は違います。
 残念なことに、上院では新参者に過ぎなかったオバマ氏の法案はいずれも議会を通過できませんでした。しかし、今やオバマ氏は米国の最高権力者に上り詰めたのです。少なくとも彼の意思を直接国民に語り、米国社会を大きく動かすことができるリーダーになったのです。
 バイオ技術革新の成熟と強力なリーダーシップの出現で、米国で個の医療が加速されることは間違いないでしょう。わが国でも予算と補正予算が議会を通過したら、衆議院選挙を一刻も早く行うべきという思いは募るばかりです。
 今週もどうぞお元気で。