東京は異常に車が空いています。普通ならば15分かかるところが7分で到着する感じです。ガソリン代高騰の時も異常に車の混雑は緩和いたしましたが、サブプライムバブルの不況感が東京を覆っているのようです。今月に入って、売上げが3分の2に減ったとタクシーの運転手さんもぼやいていました。
 アンメットニーズを満たす医療技術革新も、経済性の天井が見えてきました。
 何事も無い袖は振れないのですね。個の医療はただでさえ個別化のコストが嵩むため、医療経済的な分析、つまり個の医療によって医療負担そのものがそんなに増えずに、患者さんの生活の質が上がることを証明することが不可欠となると思います。
 あれだけ画期的な新薬だと喧伝されたがんの標的薬を、医療経済的には価値が少ないとばっさり、昨年、医療給付から切り捨てた英国NICEの判断の影響はかなりの重みを持っています。
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2005/5155/
 09年1月からジャパン・ティッシュ・エンジニアリング発売した、自家培養皮膚「ジェイス」は個の医療そのものだが、同社の発表によって医療経済的な天井が設定されていることが明らかとなりました。まだ個の医療の実用化が始まったばかりのわが国でもはや、経済性のガラスの天井が見えてきました。
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2005/8783/
 
 厚労省の保険局医療課長と保険局歯科医療管理官の連盟で08年12月26日に発出された通知「『特定保険医療材料の材料価格算定に関する留意事項について』と『診療報酬の算定方法の制定等に伴う実施上の留意事項について』の一部改正について」がガラスの天井を設定したものです。この通知によって、自家培養皮膚は1回の治療で20枚を限度として、支払われることとなってしまったのです。
 「ジェイス」の保険償還価格は、30万6000円(8cmX10cmのシート1枚)ですから、20枚で612万円が、わが国の画期的な個の医療である自家培養皮膚の上限です。技術料もこの価格に含められています。
 適用対象は、 自家植皮のための恵皮面積が確保できない重篤な広範囲熱傷で、かつ、受傷面積として深達性II度熱傷創及びIII度熱傷創の合計面積が体表面積の30%以上のという重症熱傷患者です。
 しかも通知では、わざわざ”一連につき20枚を限度として算定する”と明記しており、明らかに培養皮膚の使用制限を狙っている。厚労省は各方面に意見を聴取して使用枚数を決めたとしていますが、医療費高騰に対する抑止と技術革新の実用化をなんとかバランス(相当抑え気味ですが)させようという姿勢がにじんでおります。
 勿論、米国のように野放図に技術革新と高薬価や高治療費を認めることは、医療資源が限られている以上、これは土台無理な話です。従来の感染症は地域や国全体のリスクでしたから、国家による医療給付が馴染みましたが、個の医療はあくまでも、国民一人一人のリスクとライフスタイルの問題でもあり、総て国家による医療給付の対象になるか?私自身も正直疑問に思っております。
 個の医療と妥当な医療給付の境界設定は本当に難しい問題です。自由診療部分の上乗せと民間保険による給付なども組み合わせる自由度があってもよいのではないでしょうか。議論を深めなくてはなりません。
 今週もどうぞお元気で。