昨日の全国高校サッカー選手権の決勝(広島皆実vs鹿児島城西)は近来希に見る好勝負となりました。
 10ゴール目をねじ込み、大会新記録を樹立した超高校球フォワードの大迫勇也がチームを牽引する城西に皆実がチームプレーで挑みました。結果は皆実が3:2で勝利、堅守を攻撃に素早く結びつけて競りがちました。下手なJ1の試合よりも手に汗を握りました。一人飛び抜けた才能がチームを機能させなくなる場合もあるのです。
 バイオでも、これからは天才の戦いですが、天才をサポートする天才も集めなくてはなりません。これは分子生物学だけでなく、法律や経済、経営でも世界と競争できる人材を育成しなくてはならないことを示しています。
 一人のバイオの天才を孤立させて事業は上手く成就するはずはないのです。
 結局ベンチャーといっても、その国の総合力の戦いだということです。
 大企業や官僚に才能や天才を集めて、国際競争力を得た従来のシステムが壊れたわが国では、活躍の場所を与えられず、埋もれている人材をベンチャーに開放する時が来たのです。かつてない不況を背景に起こる企業統合と人材の整理再編成が、それを否応もなく加速するでしょう。
 但し、それだけでは長期の展望はありません。
 人材採用支援企業のgusiness調査で、2010年春卒業予定の大学生を対象とした就職志望ランキングの1位は三菱UFJ銀行でした。あいかわらず大企業がずらりと上位に並んでいます。自分で起業する、もしくはベンチャーに参加するという質問すらないのかも知れませんが、わが国の若者の保守化は進行する一方だという印象が残りました。政府は大胆な若者を創り上げるために、教育と敗者復活のチャンスを醸成する社会制度を確立しなくてはなりません。年金制度や医療制度の崩壊は、老人の生活の危機ばかりでなく、若者のチャレンジ精神をも揺るがせる危険をはらんでいます。政府も私たちもしっかりしなくてはなりません。
 さて、年頭にも2009年最大の課題の一つは政府の産業特別会計の出資と民間の共同出資によるファンド・オブ・ファンド、イノベーション創造機構(仮称)の創設であると指摘しましたが、現在、紆余曲折を経ながら、経済産業省で制度設計が進められています。
 順調にいけば、2月頭にも法案が閣議決定され、現在開催中の通常国会に提出される見込みです。09年度の予算案には400億円(当初は500億円の要求でしたが、財務省の査定で100億円削減、2010年度にもう400億円の資金が確保できる見通し)が計上されました。
 問題は、この資金のどれだけの金額がバイオに投入されるのか?
 イノベーション創造機構が出資する子ファンドをどう選別するのか?
 昨今のオリックスの問題ではありませんが、利益相反をどう明確に排除するのか?
 上記の3点に関して明確な仕組みと説明を用意しなくてはなりません。
 中でも子ファンドの選定は、どうじてもハンズオン機能とバイオ投資での実績があるベンチャーキャピタルを選出することが重要となります。特に、複数の塩漬けされたバイオベンチャー企業を整理統合し、新しいビジネスモデルを創造するためには、ハンズオン機能が最も重要になることは強調しなくてはなりません。
 もしこれを欠くベンチャーキャピタルに資金を提供した場合、苦境に陥っているバイオベンチャーの再生ではなく、延命だけに資金を浪費してしまう可能性があり、この制度自体が国民からの指弾を受けるはめになることを恐れます。
 まだまだバイオは技術革新が波のように打ち寄せています。後ろ向きではなく、前向きの投資を今年できるか、我々の誠実さと智恵問われているのです。
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2005/8715/
http://blog.nikkeibp.co.jp/bio/miyata/
 それにしても米国Merck社がとうとうバイオジェネリック(バイオシミラー)に進出するニュースを読むと、世の中が激変していることを感じます。当社が会長をしていた米国製薬工業協会の反バイオシミラー・キャンペーンは何だったのでしょうか?
 近く掲載する予定の米Genentech社の研究者とのインタビューでは、質量分析機によって、抗体の糖とたんぱく質の構造解析が見事になされており、今更、糖たんぱく質はバイオシミラーにならないという考えが、もはや時代遅れとなってしまったことを実感しました。
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2005/8761/
 是非とも皆さんと共に、激変の波を先見性と行動力を持ってを乗り切りたいと思います。Biotechnology Japanをどうぞご愛顧願います。
http://biotech.nikkeibp.co.jp/BIO.jsp
 さあこれから、STAFFの賀詞交換会に向かいます。
ps
 ご意見ご感想は、ブログ「ウェブマスターの憂鬱」までお寄せ願います。
http://blog.nikkeibp.co.jp/bio/miyata/