22日は東北大学付属病院で、厚労科学研究費に導入された利益相反について皆さんと議論しました。産学連携で大学のシーズを患者さんのもとに届けるためには、正々堂々とした企業との共同研究が不可欠です。
 大学人にとっては未曾有の事態ではありますが、提携先企業との経済的な関係(奨学寄附も含め)をきっちと大学当局に公表し、著しい利害相反関係にないことを示した上で、どんどん共同研究や臨床研究を行うべきだと思います。
 会場からは「奨学寄付金などは事務を通じて受け入れているのに、再び利益相反の申告書に記入しなくてはならないのか」といった不満の声も上がりました。企業なら当たり前である、会計情報の電子化が大学では相当遅れているようです。これは大学の事務員を確保するための政策的な思惑か?と深読みすることも可能ですが、今や独立大学法人となったのですから、企業で合理化がまず進んだ、経理部門の電子化を急がなくてはなりません。
 そうでないと、近い将来、国立大学の教授は申請書類の山に埋もれることになります。時間が無いとぶつぶつ言う前に、非効率的な大学の環境を改めなくてはなりません。
 本日は時間切れで、肝心の個の医療に言及できませんでしたが、個の医療の本質は今までの基礎医学研究とは異なり、マウスの研究では意味がない。従って臨床研究、尚かつ、商品化を目指すために企業との共同研究は不可欠です。
 つまり、利益相反のマネージメントは個の医療の発展の土台となると、指摘したいのです。厚労省の厚労科学研究費は利益相反マネージメント体制の無い大学や病院では受け取ることが、2010年4月から出来なくなりますので、体制整備を是非ともお急ぎいただきたい。
 NEDOやJSTなど医療関連の臨床開発に資金を支出している機関、加えて文部科学章の科研費にも、利益相反マネージメント体制無き機関には配布しない原則を確立すべきです。欧米では当たり前のことが何故できないのか?
 それともスキャンダルを待っているのか?いずれにせよ、犠牲者となるのは皆さん、研究者なのです。どうぞ声を上げて、大学や病院当局を動かしていただきたいと切に希望しています。
 今年の個の医療メールはこれで最後です。
 UGT1A1の遺伝子型によるイリノテカン(抗がん剤)の副作用予測の診断薬がとうとうわが国でも実用化した、個の医療元年が今年でした。この流れを来年もどうぞ皆さんの力で拡大するよう、後奮闘願います。
 どうぞ皆さん、良い年をお迎え下さい。