現在、東京駅にある東北新幹線の待合室で、原稿を書いています。
 本日の東京はとんでもない陽気で20℃を超していますが、これから向う仙台の最高気温7℃とは10℃以上も高いのです。多分、駅前で飲み且美味しいものを食べて、最終便で東京に戻りますが、一体どんなコートを持っていくべきか、大いに悩むところです。折角の年の瀬と正月を風邪引きでは、情けなさが募るばかり。やや厚着で汗をかきながら待合室に辿りついたところです。北に向かう皆さんの厚着に心が癒されたところです。
 昨夜の世界クラブ選手権で、ガンバ大阪が世界3位になったのは立派です。また、エクアドルのリガ・デ・キトを相手に、英国のマンチェスターユナイテッドがレッドカードでセンターバックが退場したハンデをものともせずに、強固な敵ディフェンスを、Cロナウドとルーニーに天才二人のコンビでこじ開けたのは素晴らしい力攻めでした。
 
 英国のプレミアリーグは試合後に選手への取材が禁止されているため、試合直後にロナウドとルーニーがTVに出ることはありませんが、日本では自由なため、さんまさんが二人に「その脚を3ヶ月貸して」と滑りまくるというハプニングがありました。共に23歳の天才の素顔は本当にあどけなかった。やっぱりあどけなさの残る若者こそ、世の中を変える力があると確信しました。但し、才能と献身的な努力が必要ですが、我が国のバイオでもこうしたあどけない天才が自分の将来を信じて、切磋琢磨できる環境を整えなくてはなりません。自民党の無駄排除プロジェクトでポスドク支援を無駄だと言い切った議員の頭の中身こそ問題だと思います。もっとも粘り越しの官僚達は、TVカメラの前の見え透いたパフォーマンスに臆することなく、実は予算を確保しました。まだまだ、我が国にはさむらいがおります。
 2008年のScience誌が選ぶ、Science of the Yearに山中伸弥教授のiPS細胞が選ばれたのは当然ですが、本当は昨年、もしくはもっと目利きなら06年にも与えてよい称号だと思います。Science誌もやや保守的になったと思います。ひょっとして、第一報を他の雑誌(Cell誌06年8月10日、オンラインで)に掲載されたことを、悔やんだためかも知れません。
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2003/8393/
 いずれにせよ、08年の技術突破はiPS樹立技術の改善と疾患iPS細胞研究、更には、第2世代のDNAシーケンサーの普及であったと思います。1000人ゲノム計画やガンゲノム計画、メタゲノム計画など、次世代シーケンサーが、現在のトランスクリプトームやゲノム構造解析、エピゲノームなどの研究を抜本的に変えてしまう可能性を感じています。2年後にPacific Biosciences社のシーケンサーが実用化されれば、本当に1000ドルゲノムの時代がやってきます。そうなると個の医療の開幕も加速されることは用意に創造が着くことです。また、農林水産業など今まで知財化が困難だった生物そのものの特許も、DNA配列を特許申請書に盛り込むことができるため、検証可能となります。今後、発酵産業も含めた生物利用産業の工業化が進展する可能性があります。我が国も知財関係者が知恵を絞らなくてはなりません。いつまでも種苗法で権利保護していては、先端農業に資本や人材を吸引することが難しい。今や製造業のわが国での限界が明白となった以上、新たな製造業として生物利用産業を再構築すべきであると思います。これによって、わが国の地方の雇用を何としても守りたい。
http://venturebeat.com/2008/02/10/pacific-bio-lifts-the-veil-on-its-high-speed-genome-sequencing-effort/
 日本の美しい山河はそこで生活していた人々の営営とした努力と事業によって、実は護られていたことを、もっと皆さんは気がつかなくてはなりません。山が荒れれば、洪水が農村を襲い、下流の海の漁獲量(バイオマス)も激減させるからです。山間部や農村部に雇用を創出するために、バイオテクノロジーを総動員しなくてはなりません。
 そのためにも、世界最大の組換え農産物輸入国でありながら、国民はまだGMOを一粒も食べていないという幻想を抱かせている農水省と厚労省、そして文科省の責任は極めて大きいと思います。企業も既に組換えトウモロコシ由来の澱粉を食品に使わざるを得ない状況に来ていますが、これを正直に消費者に伝えることができない。まるで、事業リスクという時限爆弾を背負ってしまいました。
 09年最大の課題の一つがこうした愚民政策の打破にあると思います。取り急ぎ、農水省と厚労省は棚曝しにしている組換えパパイヤの早期認可を認めるべきではないでしょうか。この年始年末にハワイに押し寄せる日本人の観光客は彼の地で組換えパパイヤを喜んで堪能しています。偽装は止めて、正直に参りましょう。
 私の担当としては、今年最後のBTJ/HEADLINE/NEWSとなりました。この一年間、お付き合いいただき大変ありがとうございました。皆さんの事業や研究の発展と、ますますのご発展をお祈りいたします。
 どうぞ皆さん、良い年をお迎え願います。
 来年はきっと分かれ目の年となるはずです。心身そして頭脳の鍛錬をお忘れなく。明日に備える布石をどうぞ、この年の瀬にこそ打つように心がけてください。