フィギュアスケートのグランプリファイナル、ご覧になった方もきっと大勢いらっしゃると思います。思わずキムヨナ選手の転倒を祈っていた私が呪わしいですが、浅田選手は薄氷をわたり勝利を獲得しました。芸術点はキムヨナ選手が圧倒しており、トリプルアクセル2回と、キムヨナ選手の2回のミスが無ければ勝利は間違いなく、手からこぼれ落ちていたはずです。それにしても、身体を使った表現力の凄さは筆舌に尽くせぬものです。
 現場のレポーター達が「ゴーッという音を立てるほどの猛烈なスピードでキムヨナ選手が演技している」と驚嘆していましたが、あのスピードとあの柔らかさを両立させるところに、彼女の芸術性があると思いました。
 さて、バイオでもスピードとしなやかさが重要です。
 先週、国会で厚生労働省の国立高度医療センター(ナショナルセンター)を、2010年4月から、非公務員型の独立行政法人とする法案が可決されました。国立大学が独立行政法人となって、6年目の改革です。これでほぼ、国の官庁に所属している研究機能を持つ機関はナショナルセキュリティの関連を除き、独立行政法人化したことになります。
 今回、対象となった機関は、国立がんセンター、国立循環器病センター、国立精神・神経センター、国立国際医療センター、国立成育医療センター、国立長寿医療センターの6拠点。厚労省は先行して国立健康栄養研究所、医薬基盤研究所などを独立行政法人化しています。
 基本的には行政改革の一環で、数1000人の国家公務員を見かけ上削減できます。さらに今回の独立行政法人化により厚労省は、運営の自由度を与えて、創造的な研究を推進することができるメリットを上げています。
 国立大学法人ですら、実質的には文科省に急所(例えば退職金の引当金を交付金とすることによって、実質的に教官の定員にキャップをかけるなど)を押さえており、事務官を派遣しているため、自由度は思ったほどではなく、代わって容赦の無い運営費交付金の毎年の1%削減が課せられました。勿論、自ら助ける者を助けるべきだと私も思いますが、本当にこんなことになると大学人が自覚して、先手を打って大学経営改革を進めたとは思えない情況です。
 ナショナルセンターは、元々、国家的な要請に基づく疾病研究などを担う研究機関でもあり、国立大学法人よりも国家の意思を受ける機関であります。きっと大学よりも制約が強くなると思いますが、是非とも先手を打って、わが国の国民の健康と福祉に必要な科学研究を提案、国家の意思をより科学的、そして合理的に導く必要があると思っています。そうじゃなければ、今まで以上に研究テーマの制約が濃く、実質的に資金や自由度を減らしてしまう可能性濃厚です。
 是非とも国民の医学・医療を支える研究医療機関であることを、国民にもアッピールを受け、支持を集める体制も構築願いたいと思います。独立行政法人に成る結果、スポンサーが厚労省から、国民に代わるということが最も必要な意識改革であると思います。
 それにしても、当初、国立感染症研究所や国立医薬品食品衛生研究所まで、独立法人化すると議論が暴走しましたが、この2つの国民の安全と健康を護る研究機関だけは、決して独立行政法人化してはなりません。国民のセキュリティ確保は外交とともに中央政府の最低限の責任です。厳しくチェックはしなくてはなりませんが、ここには喜んで国税を投入すべきだと思います。
 
 東京は急速に冷え込み、神宮の銀杏並木もあっという間に坊主です。
 皆さんもどうぞご自愛願います。