写真:何とポスター会場はアリーナだった。かつて福岡ドームが展示会場だったことがありますが。いずれにしろ巨大化した分子生物学会と生化学学会の合同年会。知的興奮ではなく、くたくたになります。
 現在、神戸の日本分子生物学会と日本生化学会の合同大会BMB2008の会場で、人目を避けて原稿を書いております。顔見知りばかりなので、パネルの陰でもなければ、挨拶ばかりで原稿に集中できません。
 それにしても巨大学会です。1万1000人以上が参加、ポスター展示も4日間で6000以上に上るのと思います。こうなると学会というよりも、運動会に近い。1日が終わると頭より脚が疲れます。しかし、若手の発表は面白い。元気をいただきました。ありがとうございました。彼や彼女らが間違いなく、日本のバイオを進めます。夢を持った彼・彼女らががっかりしないように、バイオ研究者のキャリアパスを確立しなくてはなりません。
 学会初日の注目発表は下記の通りです。どうぞご覧願います。
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2005/8228/
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2005/8213/
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2005/8212/
 さて、個の医療です。我が国でも医薬品の副作用に的を絞った、トキシコゲノミックスの臨床研究が08年9月から始まりました。
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2005/8225/
 自治医大附属病院のアレルギーリウマチ科、産婦人科、泌尿器科、歯科口腔外科と臨床薬理学教室の協力で現在、患者登録が進められています。インフォームドコンセントを取り、薬剤の投薬前1ヶ月と投薬直後・一週間以内、投薬後1ヶ月の3回採血をします。また、投薬による副作用が生じた場合は、来院した時に採血し、副作用が収まったら採血する計画です。3年間に350例以上の症例を集めます。
 これによって、薬剤投与前後の生化学的なマーカーの変化と、末梢リンパ球の遺伝子発現の変化を解析します。対象となる薬剤は、メトトレキサート、ブシラミン、フルノミド、バイオ医薬の「エンブレル」(エタネルセプト)、塩酸リトドリン、リュープロレリン、フルタミド、ピカルタミド、イトラコナゾールの9種類です。
 これらの薬剤が引き起こす可能性のある、腎臓障害、肝臓障害、間質性肺炎などの発症と関連する末梢リンパ球の遺伝子発現マーカーを探索します。副作用を示す急性マーカーだけでなく、副作用の発生を予測できるマーカー見つけることができれば大成功でしょう。
 今回の研究のポイントは、肝臓、腎臓、肺などの副作用を発現する組織を直接調べるのではなく、末梢血のリンパ球で副作用の遺伝子発現マーカーを発見できるかどうかです。もし成功すれば、DNAチップの限界だった、疾患組織のバイオプシーをしなくてはならないという限界を打破できる可能性があるためです。今後の展開が楽しみです。
 今週もどうぞお元気で。