現在、品川のグランドホールで、BTJプロフェッショナルセミナーを開催中です。新しいビル群の中のホールで、設備は素晴らしいが、たどり着くのに相当苦労いたしました。主催者も迷うぐらいですから、参加者にもご迷惑をおかけしたのではないかと恐縮しております。
 近畿大学薬学総合研究所の早川所長が全世界の再生医療をオーバービューし、我が国の再生医療は欧米に決して遅れていないことを強調した。厚労省研究開発振興課が世界の再生医療の3分の1は日本からと標榜していることも付け加えました。本当にそうなら、薬事承認から14ヶ月も保険収載に時間がかかることを理解できませんが、厚労省も規制と振興の双頭の鷲でありますから、こうした分裂も起こりうる妙な組織であります。但し、この双頭の鷲は前例に弱いので、もし、ジャパン・ティッシュ・エンジニアリングの世界初の薬事承認を受けた自家培養皮膚「ジェイス」が09年1月に保険適用となれば、間違いなく後に続く再生医療に道を開くことになります。
 「再生医療の本格化のためには、大企業の参入が必要だ。イノベーションは、ベンチャーがやり、販売は大企業という組み合わせも良い」と早川所長は指摘しました。
 確かに、日本から撤退したステムセルサイエンスや破産したビーシーエスなど再生医療のベンチャー企業は現在苦境に陥っています。細胞をGMP基準で製造し、臨床試験を行うためには、相当な資金が必要であります。また、治験前の確認申請など、従来にない再生医療の規制の枠組みの整備を待つ時間も必要であり、財務基盤の弱いベンチャーには厳しい状況です。
 ジャパン・ティッシュ・エンジニアリングもベンチャーでありながら、親会社の二デックがしっかりと、資金的にも人材的にも支えていたという事実を忘れてはなりません。早川所長の言う、ベンチャーと大企業の組み合わせともいえるのです。ジャパン・ティッシュ・エンジニアリングは、自社で培養皮膚を販売する計画ですが、軟骨や角膜など次の再生医療のパイプラインでは、他社との連携で販売する可能性も否定しておりません。同社の成功が、再生医療に大手企業の参入の入り口となる可能性もあるのです。
 08年11月14日に米Pfizer社が英国と米国に再生医療部門を立ち上げました。幹細胞の研究者、John McNeish氏を引き抜き、幹細胞研究に殺到したのです。
http://www.pfizer-regenerativemedicine.com/index.html
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2005/7674/
 今後、再生医療ベンチャーの買収や戦略的な統合がPfizer社を中核として進むと考えます。抗体医薬とsiRNA(アプタマーに賭けましたが、あえなく敗退)で出遅れた同社が、社運を賭けて再生医療に進出してきました。
 我が国でもそろろそ大手製薬企業が、再生医療に参入することを真剣に議論する時が来たのではないでしょうか?
 
 本日のセミナーにも結構、大手製薬企業が参加しています。是非とも、我が国のベンチャーや研究者と手を携えて、一歩前に進みましょう。うまく行けば、世界の再生医療の3分の1は日本からという、厚労省の慎み深い望みも適うかも知れません。
 今週もどうぞお元気で。
             
PS
 糖鎖研究の進展も我が国で世界と競争力のある大切な技術です。
 12月3日から4日、品川で開催される糖鎖科学フォーラムも注目に値します。
 どうぞ下記より、お申し込み願います。先手必勝です。
http://biotech.nikkeibp.co.jp/bionewsn/detail.jsp?id=20057536