写真:ちょっと御茶ノ水博士のイメージを抱かせるNovartis社の研究開発のトップ、Paul Herrlingコーポレートリサーチ長。私は毎年、BioCampでインタビューし、ビッグファーマの研究戦略の変遷を把握する。「お前のインタビューではなく、ディベートだ」とHerrling氏は文句を言っていますが。
 香港のサイエンスパークのど派手なビルで開催されているInternational BioCamp2008も3日目に入りました。
 昨日、京都大学山中伸弥教授のライバルでもある、疾患iPS細胞作製や遺伝子治療と幹細胞技術を組み合わせ遺伝子病のモデルの治療実験に成功した米Harvad大学George Daley准教授と中国Beijing Genomics InstituteのHuanming Yan所長など最先端のバイオ研究の講義に続き、本日はNovartis社の研究開発のトップ、Paul Herrlingコーポレートリサーチ長がシンガポールの熱帯病医学研究所(NITD)のビジネスモデルを開陳、薬剤耐性結核菌の治療薬の新しい開発方法を発表しました。
 2週間前のデータまで惜しげもなく公表し、学生に発展途上国のアンメットニーズの治療薬をどうやって開発すべきかを示しました。「科学的には猛烈に面白いが、これをどう事業化するか、大いなる挑戦だ」と同氏は学生を刺激しています。
 NITDはシンガポール政府とNovartis社の合弁事業で、米Gates財団や英Wellcome Trustなどからも資金を確保し、デング熱、結核、マラリアに対する低分子治療薬を開発しています。同時にこうした疾患の流行地帯の研究者を招き、教育も行っています。
 「ビッグファーマの開発した医薬品の恩恵にあずかれるのは地球上の20%の人口に過ぎない。『医薬品へのアクセス確保』は常に、医薬品企業に対する批判として存在しており、企業としても何とか解決を図らなくてはならない問題だ。NITDはその一つの解答となる試みだ」とHerrling氏は語りました。
 同氏のインタビューは近く、日経バイオテクオンラインで報道しますので、ご期待願います。
      Biotechnology Japan Webmaster 宮田 満