写真:ドイツCarl Zeiss MicroImaging社のUlrich Simon最高経営責任者、単なる顕微鏡メーカーからバイオと情報技術、ナノテクノロジーの技術革新を取り込み、医療、予防分野への多角化を着実に進めていた。
 現在、池之端の科学技術振興機構のビルで会議をやっています。
 午前中は恵比寿のウェスチンホテルで、ドイツ・チュービンゲン州の光・バイオ先端技術セミナーに参加し、今後の医療機器の方向性を議論しました。全く打ち合わせ無しでしたが、独Carl Zeiss MicroImaging社のUlrich Simon経営最高責任者の講演と私の講演はそれぞれドイツと日本の例でしたが、今後の医療機器の開発の重要目標がまったく寸分も変わらず同じ内容で、パネル終了後、二人で顔を見合わせて「お互い同じだったね」と苦笑い。
 両者が指摘したのは、1)バイオと情報技術、ナノテクノロジーの融合が起こる、2)2050年には地球の人口は倍増し、発展途上国も高齢化する。人口増と高齢化で医療機器の需要は高まる、中でも再生医療は根本的な治療が可能であり極めて重要だ、3)技術突破によってコスト削減と同時に、医療の質の向上も要求されている、4)高度な先端診断技術に加えて、30分以内に簡便に答えを出すことができる医療機器(POC)のニーズも膨らむ、5)治療やリハビリから、予防、健康増進などに必要な医療機器の市場は拡大する、などの5点でした。
 ドイツのチュービンゲン州は伝統的なガラス工芸技術を基盤に光学技術を発展、さらに分子医学の技術突破と融合することで、光学と先端医療のクラスター形成に走っています。日本もチュービンゲン州と同等以上の基盤があるはずですが、バラバラであり、大きな構想で中核3技術を融合する旗振り役がいないことが、本当にもったいない。機会喪失であります。
 本日はこれから審査会のようなことをやらなくてはならないので、短くレポートいたします。
 厚労省がやっと新薬臨床試験のためのファーマコゲノミクスの指針(Q&Aという形式ですがこれは製薬企業には立派な指針)を、08年9月30日に公開しました。やっとこれで我が国にも個の医療の本格的な時代がやってきました。GCP準拠して、患者さんのゲノム情報やDNAをどう扱うかを明示しました。
 対応する米食品医薬品局の指針に比べて5年遅れです。
 内容は、製薬工業協会が公表している自主指針を追認したものです。可能な限り具体的になど、表現をもっと曖昧にし、臨床研究をカバーする3省庁ゲノム倫理指針との整合性を付け加えるなど、指針の切れ味は鈍っております。
 しかし、ともあれ、これで新薬の臨床開発を、我が国でも統一的な基準の下で進めることができるようになりました。大学や病院の治験審査委員会の審査もこれで、円滑に進むようになると見込まれます。 
http://www.jpma.or.jp/about/basis/guide/phamageno.html 
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2005/6362/
 但し、勿論問題もあります。
 今回の厚労省の実質的なファーマコゲノミクスの指針では、まず患者が希望すれば、臨床上の意味も確定していない遺伝変異の情報を原則開示することを求めたこと、これでは患者に懸念だけ生じさせる可能性があります、たとえ遺伝コンサルティングを提供できたとしても、臨床的な意味が確定していない情報をどうやって患者に伝えるのか、判断ができません。ちなみに米国では、臨床的な意味が確定していない遺伝情報は、患者さんに戻すことは禁じられていると聞きました。もし、臨床的な意味が確定している遺伝型に関する情報を患者さんに戻す場合でも、エラー管理がかならずしも十分ではない大学ではなく、品質管理がなされている臨床検査センターでわざわざもう一度測定することが求められています。
 第二の問題は、製薬企業のみ、解析する遺伝子を特定しない包括同意を認めたことにより、3省庁ゲノム倫理指針と整合性を失ったことです。そもそも、厚労省の指針の方が、ファーマコゲノミクスの研究の進展のためには妥当です。本来なら3省庁ゲノム倫理指針を改定すべきものだと考えます。3省庁ゲノム倫理指針の適応を回避するために、少し無理をいたしました。その結果、ほとんど臨床研究上意味の無い、連結不可能匿名化によるDNAバンキングと解析する遺伝子を特定しない包括的な遺伝解析を盛り込んだのですが、これは本来、GCP基準の下で行う臨床試験とはまったく違う研究です。むしろこれは臨床研究であり、臨床試験で行う指針に本質的な混乱と矛盾を孕ませてしまったことになります。
 まさに、禍根を残したというべきです。製薬企業は正面から3省庁ゲノム倫理指針の改定を、この指針に矛盾を感じている医療関係者と共に、主張すべきだったと思います。1年半後に3省庁ゲノム倫理指針の改定時期が来るはずです。今からでも遅くはありません。もっと、本質的に研究を進めるように基盤整備を進めるべきです。
 さて最後に、BioJapan2008の見所情報です。10月17日午後3時より4時まで、「Personalized Medicine ジェノタイピング」(B-12)で個の医療を議論いたします。どうぞ奮ってご参加願います。下記のサイトより事前登録願います。もうすぐ残席がすくなくなります。
https://biojapan2008.com/public/application/add/37?lang=jp 
 会場でお会いいたしましょう。
 ps
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http://expo.nikkeibp.co.jp/biojapan/matching/index.html