写真:08年9月2日に東京品川で開催した、BTJプロフェッショナルセミナー第1弾「ゲノムサイエンスへの貢献とヒトゲノム医療技術への展望 Gateway開発10周年記念セミナー」の会場風景。
http://bio.nikkeibp.co.jp/bio/seminar/080902/
 まずは御礼です。
 昨日、BTJプロフェッショナルセミナー第1弾を無事終了。多数ご参加いただきありがとうございました。司会している私もびっくりしましたが、16個のDNA断片を今や第13番染色体に狙いを定めて導入することができるようになっていました。
 これによって直接遺伝子導入による分化誘導だけでなく、酵母にマウスの嗅覚を、受容体とシグナル伝達関連たんぱくの遺伝子群を導入して再構成していました。生体のパスウェイをもはや移植することができるのです。とにかくびっくり。これは細胞生物学や医薬品のスクリーニング、再生医療を革命的に変えるでしょう。
 見逃した方には、講演ファイルのダウンロードも計画しておりますので、どうぞご期待願います。また、来年も細胞生物学の技術革新を見据えたセミナーを企画しますので、どうぞ宜しく願います。
 秋は学びの季節です。BTJプロフェッショナルも更に2つ予定しております。
 いずれも、皆さんきっとびっくりして、今までのバイオのイメージを一新なさる企画です。
 次世代シーケンスと抗体医薬(All about 協和発酵キリン)
 いずれも刻々と技術革新が進展し、バイオ産業自体に変容を迫る技術です。
 これらを見逃しては、到底、バイオ産業の勝ち組には残れない。
 さすがに皆さんはお目が高い。告知後、たちまち残席は半分以下です。
 下記にアクセスして、どうぞお早めにお申し込み願います。
http://bio.nikkeibp.co.jp/bio/seminar/080918/ 
http://bio.nikkeibp.co.jp/bio/seminar/081003/
 本日は久しぶりに編集部で原稿を書いております。もっとも、もうすぐ名古屋に発ちますが。
 全米オープンの錦織選手はさすがに心身ともに疲労してベスト8には残れませんでしたが、彼の才能が十分、世界のトップ10に入れるものであることを見せつけました。残る問題は、くれぐれも読者の皆さんが、エアケイの真似だけはなさらぬことだけです。
 先月の週末はほとんど学会の取材でつぶれました。いくつか個の医療に関係する学会を取材しましたが、そこで妙な噂を聞きました。
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2005/5698/
 イリノテカンの解毒酵素、UDPグルクロン酸転移酵素(UGT1A1)の遺伝型を測定する「インベーダーUGT1A1 アッセイ」の保険収載は見送られ、その代わり患者が自己負担で行う先進医療に申請することを勧められているという噂です。積水メディカルは「保険収載の詳細はまだ、お話できない」とノーコメントです。
 この診断薬は積水メディカルが2008年6月16日に販売認可を獲得していますが、まだ、保険収載は決まっていません。60種以上あるUGT1A1の遺伝型から、日本人のイリノテカンによる副作用発生と関連する遺伝型、*28と*6を測定するきっとです。これによって、重度の下痢や腸炎、骨髄抑制による感染症や貧血など極めて重い副作用があり、時には副作用で死に至るイリノテカンの初回投薬量をさじ加減することができます。
 イリノテカンは大腸がんなど幅広いがんに投薬されています。効果もありますが、患者毎に副作用が異なり、使い方の難しい薬でした。遺伝型*28と*6を持つ患者は代謝活性が低く、遺伝子検査によって、副作用を推定できます。より安全にイリノテカンでがんの治療が可能となるのです。そして遺伝型による個の医療の実用化は「インベーダーUGT1A1アッセイ」が嚆矢でありました。
 米国では2005年7月に販売が認可されています。イリノテカンはヤクルト本社が開発した医薬品です。加えて、UGT1A1の遺伝型がイリノテカンの副作用に関係することを突き止めたのは、名古屋大学の研究者です。いずれもわが国の研究成果ですが、米国の患者の方が3年も早く、より安全でより有効なイリノテカンの治療を受けていました。
 3年も認可が遅れたことに加えて、健康保険で負担したくないとは一体どういうことなのか?
 どうやら厚労省は、わが国初の個の医療の診断薬の実用化を恐れているように見えます。技術革新なんてとんでもない。何事も新しいことはやらない、やりたくないという官僚主義が、わが国の患者の安全を脅かしているとしたら、これは国家の犯罪とも言えるでしょう。たった1年で前の前の内閣になってしまいましたが、安倍内閣時代にドラッグラグが政治課題になり、07年4月に策定した「革新的医薬品・医療機器創出のための5か年戦略」は本気だったのか?
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2004/3599/
 「もう前の前の内閣のことだから」では、国民が救われません。
 また、仮に医療費の増大を抑止使用という経済的な理由ならば、明白な副作用という無駄な医療費の削減を実現し、なおかつ患者のQOLの増大、ひいてはがん患者の治療成績向上にも結びつく、UGT1A1遺伝子の遺伝型検査を自己負担とする道理は通りません。
 「抗がん剤は結局、個の医療にならざるを得ない」(英AstraZeneca社)。
 世界のビッグファーマは既に、ブロックバスターから個の医療にビジネスモデルを急速に変えています。わが国の製薬企業もこの潮流にまろびつころびつ付いていこうとしております。米国食品医薬品局がその動きを強力に支援しています。
 もう世界は回っています。わが国の企業もそして患者も、個の医療を望み始めています。厚労省だけが一人、取り残されているのです。一秒でも早く、蛸壺から這い出し、世界を理解すべきです。また、個の医療でも、不作為が再び問われる愚だけは決して犯してはなりません。 今週も皆さん、お元気で。
PS 
 東京女子医大の鎌谷教授は何故、定年前に辞めて、ベンチャーに参画したのか?
この謎を解明するインタビュー記事をBTJジャーナル8月号に掲載しました。どうぞ下記より無料でダウンロード願います。 
http://biotech.nikkeibp.co.jp/btjjn/ 
 
 より肉声に迫るLIVEインタビューは本日と明日、BTJのHOTNEWSに掲載します。