写真:米エネルギー省Joint Bioenergy InstituteのBlake Simmon副部長。エネルギッシュにセルロース・エタノール研究を語る。
  2008年6月18日に早朝のセッションは、米国エネルギー省のセルロース・エタノールを開発している3つの研究所の講演で始まりました。この分野で3つも研究所があること自体が驚きですが、その研究内容たる、ゲノム、プロテオーム、メタボロームを総動員して、尚且つシステム生物学的なアプローチで、セルロース・エタノール生産に最適なエネルギー作物とバイオマス・セルロースを処理する微生物と酵素群を遺伝子操作でデザインするという戦略でした。
 MEMS技術を活用した、ハイスループットスクリーニングによって、酵素を選抜、一方、人為的に突然変異を導入したモデル植物のセルロースの構造をやはりハイスループットスクリーニングして、セルロースやリグニンの修飾に必要な酵素どどんどん解明しています。
 まさに、ヒトの医薬品開発で活用されたオミックス技術とハイスループット技術をためらいもなく転用しています。本当に力技で、セルロースの分解プロセス、リグニンの分解・合成プロセスのパスウェイを明らかにして、デザインする戦略です。
 突然変異技術とスクリーニングに胡坐をかいていた我が国の発酵工業は大きな遅れをとってしまいました。DOEは本気で「植物の細胞壁の合成に関する遺伝子は2000から4000、その内半分がリグニンやヘミセルロースなど、セルロース・エタノール生産の難敵の合成に関係している。それらを包括的に解析する」と主張しています。微生物や植物を丸裸にしてリデザインする戦略を取ろうとしているのです。
 我が国もそろそろ微生物の育種をアートから解放して、工学的にデザインする戦略を取る必要があります。このためには、物量が必要ですから、我が国に一つだけ、大きなバイオマス研究所を創設すべきだと深刻に思うまでにいたりました。
 詳細は、日経バイオテクオンラインで報道しますので、ご期待願います。
          Biotechnology Japan Webmaster 宮田満@San Diego