写真:米国製薬工業会会長の米国Merck社の経営最高責任者、Richard T. Clark氏、「FDAはオーバーワークだ。次の大統領の新体制に期待している」という。
 昨日、米国製薬工業協会のセミナーが東京のホテルオークラでありました。会長の米国Merck社の経営最高責任者、Richard T. Clark氏や、米Texas A&MのHealth Science CenterのNancy W.Dickey所長が来日し、講演する豪華な顔ぶれでした。
 しかし、会場で目立つのは日本の政治家ばかりで、メディアも製薬企業も、患者団体も日本の医療関係者も少ないという、誠にもったいない会でした。テーマは技術革新をどう医療・医療保険システムの中に取り込むべきか。我が国では医療費高騰を恐れるあまり、萎縮医療が起こり、これだけ長寿社会に突入しているのに、OECD諸国最低レベル、GDP比たったの8%しか国家が投資していない状況が生まれています。ドラッグギャップに加え、今や勤務医を中心に医療崩壊が、地方から大都市まで波及しつつあります。
 医療分野の技術革新を忌避するのではなく、積極的に取り込み、国民の幸福と医療の効率化を図らなくては、我が国は内部から崩れてしまします。今回のテーマは、我が国にとっても真摯に、しかも早急に議論しなくてはならないものです。
 何故か、私もこの会に紛れ込んでいたのですが、他のメディアはほとんどいなかったのではないでしょうか。
 こうしたボタンの掛け違いが起こったのも、この会を設定したのが米国の医療ロビーストであるためです。米国の医療問題の意思決定システムと、日本にもしそういうものがあるなら、日本の医療問題の意思決定システムに参画する人材が全く異なることを実感させました。

写真:米Texas A&MのHealth Science CenterのNancy W.Dickey所長、「6月に米国医師会会長に女性が就任するが、女性会長は長い歴史の中で二人目に過ぎない。米国では女性医師の収入も男性と比べて10%程度低い。こうした状況を打破して、今のポストを手に入れる秘訣?それはpersist ,persist and persistよ」。強烈ですが憎めない、これが本当の秘訣だと私は一人合点です。
 米国の医療は間違いなくパフォーマンスに基づいた支払いに急速に変わりつつあります。国営の医療支援制度であるMedicareはこの方針を打ち出しました。EVIDENCE BASED MEDICINE(EBM)で、それぞれの医師に対する報酬も変えようというのです。
 これに対して、数少ない医療関係者であったNTT東日本の病院長が提起した問題は極めて重要でした。
 「EBMでは、個々の患者の多様性に応えることができない。ここの患者の満足と乖離が進むだけではないか。これに対する対策はあるのか」という疑問です。
 簡単に言うと、「実に悩ましい問題」であり、まだ解決策はないというのが結論です。それでも「Medicareは、パフォーマンスベースの支払いに向う」とDickey 所長は断言しました。
 こうしたジレンマは、最終的には個の医療でしか解決できないと、確信しています。EBMから個の医療への流れは、国際的に急速に進展するとの体感を得ました。
 皆さんの目指す方向は、絶対間違っていません。
 今週もどうぞお元気で。
 ps
 大阪商工会議所の支援で、6月にBIO2008に参加するミッションを派遣します。今回はお隣のアリゾナ州に足を延ばし、医薬品の臨床開発を迅速化する技術やシステム開発のために米食品医薬品局も参加して創設されたCritical Path Instituteを見学するのが目玉です。どうぞご一緒いたしましょう。詳細は下記よりアクセス願います。
http://www.osaka.cci.or.jp/Seminar_Event/bio2008_mission/index.html