写真:熱田神宮で見た神様。もうアジアの神様と混交しております。我々はアジアに根があることを再認識。
 UEFAチャンピョンズリーグもいよいよ準決勝が始まりました。
 1分も目を離せない試合がこれから続くことになります。リバプールは終始、宿敵チェルシーを押し捲りましたが、後半のロスタイムの最後の最後の本当のラストプレーで、クロスボールをディフェンスが見事なオウンゴールを決め、1対1で引き分けました。これだからサッカーは止められない。アウェイでの1点を得たチェルシーは、30日のホームゲームに決勝進出を賭けます。俄然優位となりました。今晩はバルセロナVSマンチェスターユナイテッドです。
http://jp.uefa.com/competitions/ucl/index.html
 さて現在、大阪から東京に戻るのぞみ号の車中です。
 今週の個の医療のトピックスは、アジアでの協業です。東京大学医科学研究所の中村教授も参加した国際共同研究HapMapプログラムでは、日本人と漢民族は極めて、ハプロタイプ(遺伝型)が極めて類似していました。だから、韓国、台湾、そして中国となら遺伝的背景を共有して、医薬品の個別化が検討できるのではないかという期待が膨らみました。また、これらの国と共同で医薬品の有効性と安全性を評価する国際臨床試験を行えば、人種による遺伝型の多様性の影響をかなり排除でき、効率よく国際共同治験が遂行できるのではないか、という期待もまた膨らんでいました。
 実際に抗体医薬「ハーセプチン」の胃がんに対する適応拡大の臨床試験は、国立がんセンター東病院を中核に、アジア諸国と国際共同治験が始まっています。勿論、胃がんがアジア地域に多いという事情もありました。
 こうした点に注目して、日本、中国、韓国は、2008年4月14日、医薬品規制当局の局長級会合を開き、国際共同治験での協力や治験データの相互利用に向け、民族差について共同研究プロジェクトを立ち上げることなどで合意したのです。もしこの3カ国間の民族差、つまり遺伝的背景がどの程度共通で何が違うかを科学的に検証できれば、治験データの相互利用やそれを解釈することが可能となり、臨床開発が効率よく進む可能性があります。いよいよ個の医療も、アジアとの協業を考える時が来たのです。
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2005/2016/
 これはまた、我が国で発見された遺伝学的なマーカーをアジア諸国で活用する道を拓くことになります。個別化が、国際化に繋がる可能性もあるのです。
 但し、総論は正しいが、各論となると日韓と中国の間にはファーマコゲノミックスに関して微妙な差異があることも分かってきました。08年4月14日から2日間、東京国際フォーラムで開催中された「東アジアレギュラトリーシンポジウム」で一部そのプレリミナリーな結果が発表されました。今後も詳細な研究が必要でしょう。特にどのゲノム領域に微妙な差異が多いのか、興味を持っています。
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2005/2054/
 オーダーメイド実現化プロジェクトの推進委員会で、生命倫理学者が、「民族ではなく、個人差だ」と主張したことがありました。確かに、最終的には個人差の集合で民族を定義せざるを得ません。しかし、実際の医薬品の許認可が日本や韓国といった国境で囲まれた地域を対象にしている以上、そこでの人間集団の遺伝型の分布が、社会として医薬品の有効性と安全性を評価するためにはどうしても考慮しなくてはなりません。その意味で民族が意味を持つと思います。
 実際、生物学的には民族のような亜種(本当でしょうか)は、生態学的に隔離された結果、遺伝型の分布が変化した結果誕生するといわれています。個の医療の民族差の起因は、医薬品の規制当局が生態学的・地政学的に隔離されている結果誕生するというのは、あまりに皮肉な見方でしょうか?
 いずれにせよ世界同時審査と共同治験の体制が整えば、歴史的な概念であり、決して生物学的とはいいかねる民族という概念も崩れざる得なくなると思います。
 UGT1A1*28民族とでも言うのでしょうか?
 今週もどうぞお元気で。
 ps
 大阪商工会議所の支援で、6月にBIO2008に参加するミッションを派遣します。今回はお隣のアリゾナ州に足を延ばし、医薬品の臨床開発を迅速化する技術やシステム開発のために米食品医薬品局も参加して創設されたCritical Path Instituteを見学するのが目玉です。どうぞご一緒いたしましょう。詳細は下記よりアクセス願います。
http://www.osaka.cci.or.jp/Seminar_Event/bio2008_mission/index.html