写真:滞在中の千里阪急ホテルの庭。万博と道路と人工的な都市化ですっかり破壊された千里中央ですが、ここの庭だけは別世界。
 昨夜から大阪に滞在中です。大阪は快晴、緑が目に優しい季節となりました。
 ニュースが頻発する時には本当に集中します。本日はまさにそれ。
 最大のニュースは、大腸菌で遺伝子組み換えして製造した第2世代抗体医薬「Cimizia」がクローン病の治療薬として米国で販売認可を08年4月22日に獲得しました。ベルギーのUCB社が明日にも発売します。第2世代交代の世界初の商業化となりました。詳細は下記の記事をご覧願います。
https://biotech.nikkeibp.co.jp/bionewsn/detail.jsp?newsid=SPC2008042254664
 従来抗体医薬はマウス抗体→キメラ抗体→ヒト化抗体→ヒト抗体という発展を示していました。これら第1世代の抗体医薬はひたすらヒト抗体分子と同じものをいかに創るか、をテーマに研究開発が進みました。
 しかし、Cimiziaは異なります。抗体断片をポリエチレングリコールで結合した人工抗体は、抗体の特異的な結合力を保持したまま、コストの削減と低分子化を実現しようという意思で創造されました。低分子化によって使い易い皮下注射製剤とバイオアベイラビリティの改善が期待でき、自己注射や投与間隔延長という患者さんのQOL改善に繋がります。また抗体医薬のもっとも深刻な副作用である高価格にもメスが入る可能性があります。
 今後、激しさを増すであろう第2世代の抗体医薬の開発が更に、第一世代の抗体医薬の市場をバイオシミラー抗体医薬との競争通じて蚕食するだけでなく、抗体医薬の適応範囲を拡大する可能性を無視してはなりません。

写真:京都大学が開催したiPS細胞研究産業応用懇話会のパーティ会場。マスメディアをシャットアウトして産業化が話し合われたはず。但し、多くの企業が現在のヒトES細胞指針がある以上、事実上、企業ではヒトES細胞やヒトiPS細胞の研究は困難であると恨み節をうなっておりました。
 もう一つのニュースはいよいよヒトES細胞の使用にも機関内の倫理委員会と政府の委員会の2重の承認が必要という世界でも唯一、そしてその結果、事実上ヒトES研究が行えないという馬鹿げた研究指針の改定が動きだしたことです。このブログでも前々から主張していましたが、是非ともこれは早急に実現していただきたいと思います。
http://blog.nikkeibp.co.jp/bio/miyata/2007/12/160420.html
 但し、頭痛いのは、社会に理解されるヒトES細胞研究やiPS細胞研究を進めるためには、大学や病院に存在する機関内倫理委員会を強化しなくてはならない点です。規制の緩和と機関内倫理委員会の強化の両面を同時に進めなければ、社会から反発をくらうことは避けられません。ここまで考えて、総合科学技術会議は議論を進めるべきでしょう。英国のヒトES細胞のバイオバンクの分譲のやり方や倫理委員会の仕組みを勉強すべきだと思います。
 今日もお元気で。これから東京に戻ります。
        Biotechnology Japan Webmaster 宮田 満