写真:豪雪の鶴岡から温泉宿から防風林を抜け空港へ
 鶴岡は雪。やっと東京から飛行機が到着、これで帰れると胸を撫で下ろしております。
 砂の女の小説で有名となった庄内砂丘は今や防風林に埋め尽くされ、メロンなどの畑と庄内空港に様変わりしています。数年前に急行が鉄橋から吹き飛ばされたこともあったほど、冬は天候が荒れるので、飛行機が着くかいつもどきどきしています。但し、乗ってしまえばわずか45分で羽田ですから、通勤も理論的には可能です。高速移動網の整備が今までの地方を違う姿に変えています。国会議事堂からの時間で地図を描くならば、日本地図はそうとう歪むことになります。物理的な距離は長いが、時間的距離が東京に近い地域こそ、クラスター形成の可能性ありと考えています。
 鶴岡も庄内空港のおかげで、世界から才能とビジネスチャンスを吸引するメタボロームクラスター形成の基盤ができたと考えています。
 さて本日も東奔西走。東京に着いたらiPS細胞誘導に不可欠な3因子(Sox2、Oct3/4、Klf4)の内、誰もが予測しなかったKlf4が属するklf遺伝子ファミリーに関するシンポジウムとマイクロエネルギー研究会に顔を出します。Sox2やOct3/4は世界中の研究者がES細胞の維持に必要な因子として研究を進めていましたが、転写調節因子のKlf4はES細胞で高発現していることは知られていたものの、前二者の因子と組み合わせ、成人の分化した細胞に入れるとES細胞様に初期化され、多分化能を回復するとは誰も予測していませんでした。
 理化学研究所の発生・分化・再生研究センターの丹羽氏らがKlf4の機能に肉薄していたのが唯一の例外でした。現在、京都大学の山中教授が遺伝子セットの導入によってES細胞化に挑戦した時、klf4は「先生これも組み合わせに入れておきましょう」という実際に手を動かした若手研究者の一言を、「ほなら入れといて」と軽い気持ちで受け入れたためです。iPS細胞はKlf4なしには誕生しません。
 まさに幸運の女神が微笑んだ瞬間でした。
 今回のシンポジウムではKLFファミリーの機能にどこまで迫ることができるか?楽しみです。私はこのままでは午後に顔を出すことになりそうです。優秀な若手スタッフが取材しているはずですので、ニュースを期待下さい。
http://biotech.nikkeibp.co.jp/bionewsn/
● 第1回KLF国際シンポ
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2004/9894/
 マイクロエネルギー研究会もとにかく第1回ということが気に入り取材を決めました。初物はとにかく大好きなのが、ジャーナリストの性です。総てのイノベーションが技術融合から始まることが正しければ、今後、バイオの一つの発展方向はエレクトロニクスとの結合にあります。人体に埋め込んだり、装着したバイオセンサーを駆動する電源が、今の私の最大の関心です。体液にある有機酸やブドウ糖で発電できないか?ちょっとクレージーですが、それだけに面白い。
いずれも未来のシーズを嗅ぐことができるシンポとなりそうで、期待しています。2つとも東大構内で開催されます。
 飛行機はちょうど安達太良山を過ぎるところです。山の色は濃くなり春は訪れていますが、山の頂と沢にはまだ雪が残っています。視界は一転し、遠く、白い富士山を望むところまで広がりました。きっと東京は晴れでしょう。
 本日もどうぞお元気で。
                                   宮田 満