昨日から沖縄入りしており、沖縄のベンチャー企業の取材と沖縄振興公社を訪問しております。
 日本全体が厳冬であり、沖縄も例年に比べ5度程度低い、寒い冬を迎えています。とはいっても、20度は超えない程度、東京からいえば春の雰囲気がなんともよろしい。
 内閣府の肝入りで、沖縄振興のために実はかなりの予算が現在も尚投入されています。第二次世界大戦で戦場となった上、我が国に駐留する米軍基地の過半以上を、沖縄に押し付けて、私達の安寧を確保しているため、当然の費用負担だと考えます。
 先週も米軍による女子中学生の暴行問題が発生、基地を抱える沖縄の苦しみが露わとなりました。現在、首都圏にも配備が進められているパトリオットミサイルも、沖縄にはすでに配備済みです。つまり、北朝鮮などからのミサイル攻撃に基地を持つが故に曝されていることも忘れてはなりません。
 問題は内閣府が投入している膨大な資金の使い道です。かつては沖縄の高速道路の料金を引き下げるために投入されるなど、薄く広く配ることや、基地問題や基地移転などの慰撫のために、市町村にばら撒かれるなど、その場しのぎの政策に偏っていたのです。基地に土地を貸している地代収入に関しても、実は実勢価格よりかなり有利な条件で地主と契約しており、働かなくても収入を確保できる人たちも多いのです。
 国家資金のばら撒きは何が悪いのか?
 最大の悪は、国民から創意工夫と勤勉の美徳を奪うことです。戦後60年、約2世代にもわたってこの状況が続けばどうなるのか。亜熱帯に属する恵まれた気候風土にも起因しておりますが、皆のんびりしてしまうのです。ただ、金銭を稼ぐためにがりがりと仕事をするのも間違っておりますが、沖縄ののんびりが許容される背景には、自分達や先祖の努力以外の要因があることを忘れてはいけません。
 そのために、沖縄に投入される資金の半分は、沖縄で努力を重ね、他の日本の地域にない特徴を持った自立する経済圏を樹立する人々に投入されるべきだろうと思います。沖縄はゆったりとした時間や美しい風土に誘引されて都会からの人口流入が続いています。ゆったりと美しい風土を維持しながら、世界に発信できる産業を育てるべきだろうと思います。
 その意味では、バイオが沖縄振興の切り札になることは間違いありません。
 労働賃金の安さだけで誘致したコールセンターやIT産業群もそこそこの成長を示しましたが、中国の黒龍江省やインドなどに押され始めています。付加価値が低いため、沖縄ののんびりがこうした産業では駆逐される可能性もあるのです。いらいらしなければ、利益を確保できないビジネスモデルは沖縄らしくありません。
 バイオは知識資本主義です。もし、有力な知的財産や知識を確保、独占することができれば、せこせこする必要はないのです。しかも、エネルギーや資源を大量に消費する産業でもありません。沖縄の美しい風土を損なわず、経済発展を遂げ可能性があります。
 こうした背景から、沖縄では現在、バイオベンチャー企業やバイオ事業に対して、沖縄県や沖縄振興公社を通じて資金が04年から投入されています。当初は内地のベンチャー企業を誘致するプロジェクトとして始まりましたが、今では沖縄の企業がどんどん新規プロジェクトを立ち上げたり、ベンチャー企業を創設するように変わりつつあります。
 内地の企業では、メビオールが独自の親水性ゲルフィルムを活用し、細菌感染などが起こらず、水分や養分の管理が容易な、植物工場システムを沖縄で大規模実証試験に成功、実用化に向っています。また、ハプロファーマは沖縄の健康診断機関と提携、DNAと健康情報を収集、疾患遺伝子探索に不可欠なコホートを形成しつつあります。沖縄の女性は我が国で最も長寿であり、このコホートはひょっとすると、長寿遺伝子に関する手がかりを与えてくれるかも知れません。アクシオヘリックスはスリランカ出身の社長が東京で起業したベンチャー企業ですが、今や20人を超える雇用を沖縄で生んでいます。
 沖縄のベンチャー企業ではオーピーバイオファクトリーが、世界でも有数な海洋生物の多様性を誇る沖縄近海から、医薬品や農薬などのスクリーニングのための、海綿や藻類、微生物など海洋生物の収集とバイオバンク化を行っています。また、先端医学生物科学研究所は、昨年10月、GMP準拠でプラスミッドを製造する施設を開設し、医薬品製造業の認定を厚労省から受けました。同社は08年よりDNAプラスミドを活用した遺伝子治療やDNAワクチンの創薬支援を開始しました。
 このほか、アールバイオは、沖縄で伝統的に利用されている健康増進作用のある植物を収集、安全性の証明とデータベース化を進めています。春ウコンや沖縄のノニなど既に有名になっている健康食品素材以外にも、多数の沖縄本島や島嶼部に独特な素材を集めています。いずれこれらの中から、またブームを巻き起こす食品素材が誕生するかも知れません。いずれにせよ、沖縄本島とその島嶼部が今まではぐくんできた生物の多様性と人々の暮らしの多様性が、新しいバイオ産業の宝物として生かされる動きが出てきたことは、歓迎しなくてはならないと思います。
 3月7日にこの事業の成果を発表する成果発表会が東京で開催されます。ご興味のある方はどうぞ下記を参照の上、ご参加願います。
http://www.bio-portal.jp/2008/02/post_44.html
 この他、昨年末から先月までBiotechnology Japanで募集バナー広告を掲載していましたが、別の事業として沖縄イノベーション創出事業もあり、バイオだけではないですが、幅広い分野のベンチャー企業や企業に対して、沖縄で研究開発をすることを条件に、資金支援する事業も展開されています。お蔭様で説明会の参加者は300人を越える応募があったと聞いています。
 どうぞ、バイオアイランド沖縄に注目いただきたいと思います。
 取材した記事は、Biotechnology Japanに掲載いたしますので、ご期待願います。
http://biotech.nikkeibp.co.jp/ 
 さて、07年2月21日終日、東京の品川で開催するBTJプロフェッショナルセミナーWITH KOBE、皆さんから多数のご応募をいただき、満員札止めとなりました。今年も多数のセミナーを開催いたしますので、今後もどうぞ宜しく願います。
http://ac.nikkeibp.co.jp/bio/kobe/
 今週も元気で参りましょう。
 ps
 最後に第7期のバイオファイナンスギルドも、08年7月から開始することが決まりました。150万円と高額の教育プログラムですが、実はあります。バイオベンチャーやバイオの政策決定者、バイオ投資家など、バイオのキーマンとのネットワークを形成する機会に溢れております。最近では製薬企業のライセンス担当者の参加も増えております。是非とも読者の中で志のある方は、予算化を願います。詳細資料は、miyata@nikkeibp.co.jpまでご請求願います。