昨日の雪が嘘のような快晴の下、新幹線に乗り、西上しております。 さて、皆さんは高齢化という問題を肉体感覚として感じているでしょうか? BTJ/HEADLINE/NEWSの読者の平均年齢は30歳半ばですから、自らの肉体感覚としてはまだまだ実感にかける状況ではないでしょう。私も物理的老いたりといえ、未熟、あほなことを好んでする好奇心のためまだまだ、青い。しかし、今朝は高齢化問題を実感しました。町自体が高齢化していたのです。
 記者ですから、24時間働くために、都心に住むことは一種の義務だと考えております。下町の風情を残しつつ、東京、銀座、新宿、原宿、霞ヶ関、渋谷にも無理すれば歩ける四谷は至便の場所です。律儀にお祭りも絶やさないのも嬉しい限りです。
 昨日の雪を受けて、何が起こったか? 私の住む町内で夜半に雪が止むや、早朝から雪かきが始まったのです。往来で雪で滑るような人が出たら、我が家の恥というのが伝統です。誰が言うともなく、雪かきが行われます。私も新幹線に跳び乗る前に、無言の圧力を受け、ありがたく雪かきをしてまいりました。
 問題は毎年どうもうちの町内の雪かき開始の時間が早くなる傾向にあるのです。今朝も6時には周囲の雪かきは終わっていたようです。ほぼ2ヶ月に一度、町内の葬式の告知が掲示板に張られるほど町全体が老齢化した都心のこの町では、とうとう朝寝坊も許されない厳しい状況が出来しております。朝遅いことだけが、利権だと思っている記者には厳しい現実です。 高齢化社会解決の切り札の一つはiPS細胞などによる再生医療であることは間違いありません。TVでは決して書きませんが、とうとう研究者からiPS細胞の過熱報道にあり方に対して、いい加減にしろという意見があがりました。発言の主は正論の徒です。極めて妥当であり、当然のことです。私達も研究の邪魔をするだけの存在に成り下がらぬよう、襟を正さなくてはなりません。
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2005/0159/
 このメールでも、iPS細胞のメディアの取り上げ方は過剰であり、肝心の研究を進める上でも京都大学の山中教授以下関係者の取材はほどほどにすべきだと書きました。マスメディアの特徴ですが、皆殺到し、同じ質問をし、ほんのちょっとの内容の違いに自己満足に浸ります。読者から見れば、多数のメディアに似たような内容の記事が載り、しかも雑誌の表紙にまで山中教授が無理な表情で笑わされているのを見させられることが、iPS細胞が自分達の生活、中でも高齢化社会に向う私達の社会をどう変えるか? や、今まで、凄いとは思っていたが倫理的に問題があるかも知れないと漠然と考えていたES細胞やヒトクローン化ES細胞などの問題を考える起点になるかは極めて疑問です。
 共産主義が倒れ、イズベスチャや人民日報も部数を減らしている今、まだ部数1000万部の新聞を成立させ、皆が似たような事を知りたがるはずだという我が国のマスメディアの前提も本当は崩れているのではないでしょうか? 既に、若者は新聞を読んでいないし、ここ2年間、インターネットの利用時間がTVの視聴時間を我が国でも上回っています。マスより個へメディアに対する読者の期待は拡散しています。
 私達はマニアックな皆さんのため、さらにはiPS細胞の研究を支援するためにも、現在起こっているiPS細胞の研究開発、支援体制などをどこのメディアよりも詳細にお伝えしたいと努力しています。また、iPS細胞が実用化する時には、ヒトES細胞で培ってきた細胞培養技術、分化誘導技術、細胞の品質管理技術、移植技術、疾病の選択技術、移植した細胞のトラッキング技術、臨床効果の評価技術など、ES細胞による再生医療のプラットフォームと知財をそのまま利用することになるため、ES細胞の研究開発の目配りも必要だと考えています。
 要は、我が国の高齢化社会に必要な再生医療を実現するため、総ての技術や企業活動を包括的に取材対象とすべきだと考えています。今のマスメディアの取材体制では、時間と空間的に大きな見通しに立って取材することはほとんど不可能で、競走馬の如く、0.1秒差の速報を追うために、目の前に提示された”テーマ”を猛烈に大げさに、皆で報道することができるだけです。そして3ヵ月後には忘れてしまうのです。こうした欠陥を補うのも、Biotechnogy Japanの使命だと思っております。
http://biotech.nikkeibp.co.jp/BIO.jsp
 今月からは、大学の皆さんに限定して、バイオの基礎、政府動向、大学問題、大学発ベンチャーなどに関するニュースを、破格の月額500円の定額サービスで提供するBTJアカデミックのサービスも開始いたします。どうぞ、ウェブの無料ニュースでは得られないバイオの実態と真相に触れていただきたいと思います。米国の後追いのバイオではなく、日本が世界に貢献するバイオを皆さんが創造することを支援したいと思っております。どうぞ、下記よりご一読願います。2月14日までは全文無料でお読みいただけます。
http://biotech.nikkeibp.co.jp/senmonn/btj_aca.jsp
 Ips細胞の騒動も、研究費20億円の増額という見出しが一人歩きしましたが、本当に山中教授が使える研究費は3000万円に満たないという噂もあり、検証中です。妙に国が今までの国らしくなく、迅速にあれよあれよと5省の大臣まで巻き込み、ヒトiPS細胞研究をここまで持ち上げた背景は何か? iPS細胞の重要性に、ローマ法王より遅きに失しましたが、米国のBush大統領に福田首相が先んずることが出来たのは何故か? 単に、我が国の科学行政の質が上がったと考えるのはどうも不自然です。 iPS細胞騒動の影で、科学技術振興機構(JST)と日本学術振興会(JPS)の統合問題はまったくすっ飛んだ格好です。政府の行政改革を審議し、独立行政法人の合併・再編成を議論する行政減量・効率化有識者会議で、2007年10月10日に、JST とJPSの統合が議題に上りました。また、プレベンチャー支援事業などの累積赤字問題もJSTには突き付けられていました。まさに、JSTは風前の灯だったのです。
http://www.gyoukaku.go.jp/genryoukourituka/dai36/gijigaiyou.pdf
 07年11月20日、絶好のタイミングで、JSTが支援した山中教授のヒトiPS研究の成果が発表されたのです。JSTの合併問題はこれによって消し飛び、独立機関としての存続が保証されました。まさにiPS細胞様々です。2007年12月25日、まさにクリスマスにJSTが京都で緊急シンポジウムを開催した理由が良く分かります。
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2004/8609/
 今後のiPS細胞研究に関して、それだからこそJSTの責任は大きいというべきでしょう。恩人のiPS細胞研究を進めるためにもっと資金拠出するのは当然ですが、JSTが出願の支援をしたiPS細胞の特許出願に関しても、瑣末な官僚主義と前例主義に囚われて塩漬けする愚は直ちに改めなくてはならないと思います。これは担当者ではなく、JSTのトップが決断すべきことがらです。それも出来ぬようなら、日本の科学研究の阻害要因としてやはり統廃合の憂き目は避けられないと確信しています。
 米国では、米Genentech社を創業した最強のベンチャーキャピタルが、iPS細胞の実用化を目指し、ベンチャー企業を設立、既に我が国にも知財交渉に来ています。今こそ、iPS細胞の基本特許に関しては我が国で知財をがっちり確保し、交渉体制を整える時です。JSTの官僚主義による1秒の遅れも許されない状況なのです。
 さて、もうそろそろ新神戸です。これから神戸市と07年2月21日終日、東京の品川で開催するBTJプロフェッショナルセミナーWITH KOBEのパネルディスカッションの打ち合わせです。今回のテーマは午前中が再生医療、午後がクラスター形成です。両方とも面白いパネルすべく、努力しています。どうぞ一家言ある皆さんも会場からご参加願います。
 お蔭様で、今週中にも満員札止めとなる勢いです。どうぞ、下記よりお早めにお申し込み願います。
http://ac.nikkeibp.co.jp/bio/kobe/
 会場でお会いいたいましょう。