さてまずは皆さんに朗報です。
 12月6日午後東京で開催を予定している秋のBTJプロフェッショナルセミナー第3弾「次世代抗体医薬の実用化の夢と現実」で、新たにパネリストとして中外製薬の抗体開発のキーマンが参加することが決定しました。これによって、ファージディスプレイなど次世代抗体が本当に医薬品として使えるのか、創薬と臨床開発の両面で議論を深めることが可能となりました。また、今回ケースとして取り上げた、リウマチ治療薬に関しても、抗TNF抗体を急追する抗IL6受容体抗体の開発まで網羅できることになりました。どうぞ、下記のサイトにアクセスして、どうぞお早めにお申し込み願います。
http://bio.nikkeibp.co.jp/bio/seminar/071206/
 さらに、科研費の申請が完了したら、どうぞバイオビジネスコンペジャパンの応募も宜しく願います。今年は2ヶ月ほど募集を伸ばし、科研費申請が忙しいあなたのご応募も受け付けるよう、配慮いたしました。どうぞ、我が国最大最良のバイオビジネスコンペで、皆さんのアイデアの価値を試していただきたい。 下記を参照の上、どうぞお申し込み願います。
http://www.biocompe.jp/
 さてオシム監督の様態は本当に心配です。折角、速くて賢いサッカーを実現するナショナルチームに熟成しつつあるところだったのですが、ワールドカップの予選で彼がもう一段どんなアクセルを踏もうとしたのか? 今となっては、選手と関係者が自ら答えを出すしかありません。オシム監督は「日本化」を最大の課題にしており、それを日本人が懸命に、一体それは何なのか? 知恵を絞らなくてはならない情況です。
 東京は大分冷え込んで参りました。
 昨日も四ッ谷の迎賓館の通りの道路が一面、枯葉で覆われ、車で通ると、カシャカシャ、サクサク、美味しそうな音がしました。一部の銀杏は既に黄色く変じていますが、これから本格的に街路が黄色くなる季節を迎えます。
 世の中にはたった二つの見方しかない、という人もいます。
 変化を好むか、変化を恐れるか。
 幸い四季に恵まれた日本はいやが応でも、変化に直面せざるを得ません。本来なら最も変化を楽しむべき国民が、今、変化を恐れるようになったことが、最大の不幸と言えるかもしれません。
 勿論、変化は物まねや迎合ではあってはありません。
 病床のオシム監督が残した「日本化」の問いは、バイオ産業や生命科学者に対する問いかけでもあると、私は思います。日本のバイオは世界にどんな貢献をするのか? 経済、科学・哲学、そしてなによりも、バイオが明らかにする膨大な情報に基づき、どんな生命観を情報発信するのか? 皆さんに課された課題は大きいと思います。
 その意味でも、来週の火曜日と水曜日(12月27日から28日)、東京で開催される第7回国際ゲノム会議(WAG)は、世界中の最先端のゲノム科学の研究者が集結し、一体、どんな生命像を提唱するのか? 興味があるところです。
http://www.bioweb.ne.jp/agw/
 BTJプロフェッショナルセミナー第2弾として「次世代シーケンサーが変えるバイオ産業」を11月29日に東京でBTJが開催、産業的側面で次世代シーケンサーの衝撃を議論する予定です。残席わずかですので、どうぞ下記よりお申し込みをお急ぎ願います。
http://bio.nikkeibp.co.jp/bio/seminar/071129/
 お陰様で大好評で、どうやら学生無料招待枠を設定するのが困難な情況です。是非とも、基礎研究分野に興味がある研究者や学生はWAGに積極的にご参加願います。WAGの参加申し込みは下記のサイトをご参照願います。
http://www.bioweb.ne.jp/agw/japanese/entry/index.html
 「DNAシーケンスは終わった」と考えているのは、我が国だけといっても過言ではないでしょう。今や中国も次世代シーケンスに膨大な投資を始めました。欧米のヒトゲノム解析を担ったゲノムセンター群も、次世代シーケンサーをラインアップに加え、その解析能力を数万から数10万倍に増加させつつあります。ゲノム解析や転写解析、ncRNAの解析の研究効率は量子的飛躍に直面しているのです。
 WAGではこうした次世代シーケンサーが生命科学にどのような影響を与えつつあるのか? 最先端の研究者から発表が行われます。ゲノム解析の第二世代の威力を考える絶好の機会となるでしょう。
 問題は、これから得られる膨大なシーケンスデータをどう活用したり、解釈したりして、動的な新しい生命像を提唱するのか? ここが、学者の知恵の絞りどころです。我が国の研究は残念ながら、ここが弱い。
 大学が工学部と理学部・医学部が混在しているためか、量的に計測し易い、シーケンスデータ量やその正確性など工学的な研究は、日本人の丁寧さと粘りによって世界をリードしていますが、バイオ研究者の博士号はPhD、つまり直訳すると哲学博士であることを忘れてはなりません。新しい思考を社会に還元しなくてはならないのです。
 単なるゲノムデータの羅列に終わらず、ヒトのゲノム構造学、そしてそれが生命活動や発生、そして進化に結びつくのか? そして最大の疑問である人間とは何か? に対する回答を、是非とも一部でも良いから今回のWAGでは期待したいと思います。むしろ、ゲノムに直接関係ない生命科学者が参加することによって、大いにご自分の研究領域に対する刺激を受けていただきたい。
 その意味で大変面白いのは、米Stanfrod大学のAtul Butte教授の講演、 「Exploring Genomic Medicine Using Translational Bioinformatics 」です。元Microsoft社の研究者だったButte教授は、バイオインフォマティックスに転じ、現在、私たちの病気という概念を根底から覆そうとしています。
 病理組織や疾患臓器別の疾病概念を、遺伝子発現プロファイルによって再分類しようという試みです。現在、とても近縁な病気とは考えられていない、例えば脊髄損傷と糖尿病性の腎障害は遺伝子発現によるクラスター分析を行うとお隣に分類されます。病態に関与する遺伝子群が似ているという解析結果です。今までの形態学的分類では想像もできなかった類縁関係です。
 具体的には是非とも、WAGの会場でご覧になっていただきたいが、公的なデータベースにあるデータから、各疾患の遺伝子発現の平均的プロファイルを計算し比較する荒削りな手法ですが、この方法で類縁と名指しされた疾患で片方の治療薬が効果があるなど、今までには考えられなかった展開もあると聞いています。
 既存の医薬品の適応拡大も、新しい遺伝子発現プロファイルによる疾病概念によって可能となるかも知れません。次世代シーケンサーによって、今まで観測できなかった微量な遺伝子発現の変化を定量できる期待も膨れあがってきました。
 ヒトゲノム解読でも、生命観が大きく変わりましたが、次世代にシーケンサーの実用化は、これに加えて、ヒトの多様性に対して新しい生命像を提供するだろうと期待しています。こうした生命像は、「生活習慣がだらしない」の一言で、健康指導と健康検診を一律に受けさせようとしている我が国の”メタボリックシンドローム”シンドロームの正す情報を与えるようになるだろうと思います。それぞれの多様性を認識できれば、社会の窮屈さは緩和され、皆伸び伸びとするはずです。
 さて、最後にこれも面白く、重要なシンポジウムのご案内です。
 アグリビジネス創出フェア2007が11月27日から28日、東京国際フォーラムで開催されます。私も年鑑を早く書き上げて、参加したいと熱望しています。欧米の取材で嫌というほど認識したことは、農業こそ先端産業だということです。しかも、食糧と環境に貢献する、国の柱でもあります。問題は今まで農水省が、主食の分野を中心にがっちりと保護して企業の参入などが困難だった点です。しかし、急速に進む国の規制緩和の波は農業をも巻き込みつつあります。今回のアグリビジネス創出フェアは、新しいビジネスチャンスとして突如登場した、我が国の農業をもう一度、皆さんが見直す格好に機会を提供すると考えます。
 企業の未来を考えるなら、農業のことを考えなくてはなりません。
 どうぞ下記より詳細の上、お越し願います。
http://agribiz.jp/
 私はインフルエンザワクチンを打ちました。今年は流行が前倒しにやって来そうです。どうぞ皆さんもご自愛願います。
 PS
 12月14日まる1日、医薬品研究開発の価値最大化戦略について、議論いたしませんか? 詳細は下記をご参照願います。年末に一考することは重要だと思います。
http://bio.nikkeibp.co.jp/bio/seminar/071214/