この連休は世界13カ国から43人の若者を集め、バイオベンチャー創業のビジネスモデルを作製しつつ、多国籍・多言語でのリーダーシップを寛容するBioCamp2007 (スイスNovartis社、ノバルティス科学振興財団共催)にかかりっきりでした。
 アジア諸国を中心にMBAと生命科学の大学院生が国籍を問わず8つのチームを編成、Novartis社の研究所のトップ、ノーベル賞受賞者のMITのHorvitz教授、我が国のキャンバス、ナノキャリアといったベンチャー企業、バイオ専門のベンチャーキャピタリスト(Novartis Venture Fund)、Novartis社の人事担当トップや広報のトップなどボードメンバーが3人が参加するという豪華な講師陣を迎え、現在起こっている生命科学の革命と製薬産業の実態、そしてベンチャー投資の実態などを、徹底的に直接、若き参加者にインプット。
 それを素材に3日間、あまり寝ずにチームで議論を進め、3日の朝には、研究開発戦略、臨床開発戦略、知財戦略、マーケティング戦略、資本調達戦略、リスク分析、キャッシュフローの計画など、総合的なビジネスプランをわずか12分でプレゼンするまで完成させました。8チームともお見事としかいいようがない。我が国の大學発ベンチャーでは期待できない、完成度でした。
 各チームには分子生物学の学生とMBAの学生を国籍によらず配置、その異文化・異分野のコミュニケーションを苦労して突破した結果が、あのような素晴らしい成果とそれを実現するチームワークを誕生させました。
 誰もが目をきらきらさせて、タフですがこの得難い経験が、自分の人生のステップ・アップに繋がると確信、別れを惜しんで全世界に散らばっていきました。
 私自身としては、3日間を通じて、審査員を務めましたが、審査結果を巡って、楽屋裏で多国籍・他分野の審査員と知的格闘を行い、しかも、その結果の講評を行うという得難い試練をいただきました。しかも、いずれも英語です。
 彼らの努力と献身を知っていると、これを審査をすること自体が犯罪だと、スピーチで述べましたが、敢えて5人の個人賞(卓越したパフォーマー)を選んだのは、5人を称えることも重要ですが、残りの38人を励ますことが目的でした。過去3回のBioCampの歴史の中で初めて、日本から二人(一人はインド国籍)が選抜されました。
 「この個人賞は、磨かざる宝石の原石の段階での選抜結果に過ぎない。結果はまったく気にすることはない。むしろ今回の評価は、始まりの終わりに過ぎない。これからが本番だ。皆さんが故国に入って、自分を磨き、明るい未来を拓き、是非人類の幸福を招くべく努力をして欲しい」とスピーチをいたしましたが、これで真意は通じたのでしょうか? スピーチの前に、原石の英訳をinfoseekで調べていた私が情けない。読者の皆さんも是非とも、最低限、英語で自分を表現する技術を磨くべきだと考えます。そのためにはBioCampのような機会に是非ともどんどん参加いただきたい。私たちの学生時代にはBioCampなど考えられませんでした。
 来年、国際大会を香港で開催します。国内選抜大会を開催しますので、どうぞ皆さんご参加願います。BTJやBTJ/HEADLINE/NEWSで募集を告知いたします。
http://www.novartisbiocamp.com/
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2004/7460/
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2004/7450/
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2004/7448/
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2004/7447/
 さて、10月8日にノーベル医学生理学賞が発表されました。
 ジーンターゲティング技術に対して授与されました。マウスの幹細胞の株化だけではなく、相同組み換え技術と幹細胞を組み合わせて、目的の遺伝子をゲノム上にある相同遺伝子と交換したり、破壊する、ジーンターゲティング技術に与えたところが味噌です。
 これによってヒト胚性幹細胞も単純に株化できただけでは受賞は難しくなったと思います。これに核移植技術を組み合わせたてセラピューティッククローニング技術として受賞する可能性が出てきたのではないでしょうか? あるいは成人性幹細胞と組み合わせて、再生医療という概念での受賞となるのかも知れません。
 あるいは京大山中教授の遺伝子導入による幹細胞化(iPS細胞)などのように、初期化による細胞の全能性の解明などになるのかも知れません。いずれにせよ。幹細胞の株化だけでは、インパクトに欠けるという判断でしょう。
 さて、相同組み換えで遺伝子を破壊することに最初に成功した米Utah大学のMario Cappecchi教授には思い出があります。彼がこの技術をNatureか、ScieceのArticle に発表したのを一読後、直ちにCappecchi教授に取材を申し入れ、Salt Lake City まで飛んだことがあったためです。当時、直感的に「ノーベル賞は取れる」と思いましたが、20年以上経ってそれが実現することまで報道できる幸福を味わえるとは思いませんでした。
 しかし、遠路はるばる飛んでったUtah大学のCappecci教授の研究室は日本の大学と殆ど変わらず、窓から見る景色は見事な田舎でありました。実際、同氏が開発した技術も2つの抗生物質耐性マーカーを使い、相同組み換えでゲノムの遺伝子の中に抗生物質耐性遺伝子を破壊した細胞を選抜するという、極めて伝統的な技術や考えの寄せ集めであったという印象を持っています。
 おまけにCappecchi教授も純朴な人柄で、この技術は凄いと連発する私に向かって「それで本当に東京から飛んできたの?」と聞くほどでした。20数年経ってやっと、私の興奮が正しかったことが証明された気分です。まんざらでもありません。
 しかし、ジーンターゲティング技術はマウスの幹細胞株さえ手に入っていれば、今でも我が国でも開発できたはずだと思っています。
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2004/7459/
 さて、皆さんはもう既に、ほとんどの製薬企業で早期の副作用や毒性評価のために、メタボローム分析が活用されていることをご存知でしょうか?
 メタボロームの工業化は私たちの創造を超えたスピードで始まっているのです。
 メタボロームは、医学、食品、農業、発酵産業(食品、化学、エネルギー)にまで、大きな影響を与える基盤技術です。今回のセミナーでは産業界で実際にメタボロームを応用して成果を上げつつある現場の研究者の講演とパネルディスカッションを注目していただきたいと思います。
 皆さんが思いもつかないような、技術飛躍が起こっています。
 実はメタボロームの解析で得られるデータ量は、第二世代のDNAシーケンサに匹敵するサブテラからテラバイト規模です。勿論、ITも不可欠です。
 生命が関与するあらゆる産業に影響を与えるメタボロームの実力を是非とも体感いただきたい。だいぶお申し込みが増えてきました。どうぞ下記より詳細をアクセスの上、お早めにお申し込み願います。
http://bio.nikkeibp.co.jp/bio/seminar/071107/
 助教以下の大学院生・学生はスポンサーの厚意により、無料招待枠を用意しております。募集開始は改めてこのメールで告知いたしますので、どうぞ11月9日午後の時間をお空けになって、お待ち願います。
 会場でお会いいたしましょう。
 PS1
 皆さん、もう登録なさいましたか?1週間にして1000人突破いたしました。
 環境資源エネルギー、そして農業に関係するバイオリーダーがそれぞれのビジョンを皆さんに直接お届けいたします。合わせて、BTJで報道された関連ニュースの見出しも提供、重要情報の見落としを、これで防ぐことができます。最近のホワイトバイオの動きは極めて急です。石油文明一辺倒だった世界が変わろうとしています。ご関心のある方はどうぞ下記からご登録をお急ぎ願います。
http://passport.nikkeibp.co.jp/bizmail/green/index.html
 PS2
 ところで、そろそろ秋から冬にかけて学会シーズンを迎えますが、ランチョンセミナーを開催予定の企業関係者に提案です。Biotechnology Japanでは、皆さんが苦労して面白いセミナーを展開していることに注目しています。会場の成約でせっかくのセミナーをご覧になれる方はせいぜい200人止まり、しかもその半数はお弁当目当てというのは、いかにももったいない。
 Biotechnology Japanが提供するWeBridgeを使えば、会場に来れなかった研究者に、セミナー資料をもれなくお届けすることが可能です。現在までの実績では、平均400人以上のバイオ研究者がダウンロードしています。大手製薬企業や主要大学の意識の高い研究者や関係者がアクセスいたします。講師との調整などにも対応します。
 詳細は、btj-ad@nikkeibp.co.jp までお申し込み願います。