まずは、オープンイノベーションへの誘いです。
 当社の産学連携事務局と共同で、大学、公的研究機関の技術シーズを流通する事業、技術シーズレターを発行いたします。ここに皆さんの貴重なシーズを掲載し、開発する企業に手を挙げてもらう試みです。今回で3回目、既に多数の共同研究を実現しています。どうぞ下記より詳細にアクセスして、ふるってご参加願います。
http://innovation.nikkeibp.co.jp/etb/20070704-00.html
 バリバリ、ドッカーン。
 東京では昨日午後2時頃から雷が発生。テニスコートの近くに落雷し、命からがら屋内に逃げ込むという酷い目に遭いました。何か大きな変化に、私たちが直面している感じがしました。中国で易性革命、つまり王朝の交代の時に天変地異が起こりますが、その小規模なものに遭遇した感覚です。
 しかし不思議なことに、TVではこの雷を天の怒りという陳腐な表現で取り上げることはなかったように思います。そんなブローアップをする必要もないほど、2007年の参議院議員選挙は自民党と公明党の大敗でした。
 先週の土曜日に滞在していた保守王国、愛媛も民主党の支援を受けた、J2のサッカーチームのキャプテンだった青年が、自民党から議席を奪還しました。松山空港までのタクシーが「世の中変わらないといけない」という熱弁に、見えない世論が動き始めたことを感じましたが、ここまで大きな渦になるとは与党も野党も考えていなかったのではないでしょうか。投票率は前回よりたった2%しか増えておらず、浮動票が世の中を動かした小泉前首相型の選挙の結果ではなく、今までの組織票が意志をもって、与党離れをした結果であると思います。
 今回の選挙の日本のバイオ産業に与える影響はまだ完全には読み切れません。
 上場中のベンチャー企業の株価も、半数は上昇、半数は下落です。日経平均がNYの株安と与党大敗を受けて下落したこととは好対照を示しました。
 「影響はまだ分からん」というのが正直な市場の反応です。
 ではまったく影響は無いのか?
 私は2つの影響があると思っています。
 第一は直接的な影響です。与党大敗を受けて、バイオ関連議員が落選しました。一番影響があるのは、自民党の藤井基之議員だと思います。同氏は元厚生労働省の官僚で、現役の時はバイオ技術の振興などに辣腕をふるいました。6年前から薬剤師会などの支援を受け、参議院の比例区で前回当選、ライフサイエンス議員連盟でも活動していました。今回は非改選であった公明党の浜田昌良参議院議員(元経産省生物化学産業課長)と並び、バイオ産業に土地勘を持つ数少ない議員でした。バイオ産業に影響力を持つ議員の多くは衆参両院を通じて、医系議員が多く、バイオ産業振興にはやや土地勘が無い情況を補う役割を果たしていました。また、伝説的な日本医師元会長武見氏の子供であった武見敬三議員も落選、医師、なかでも開業医の利益代表である日本医師会の勢力減退を象徴しました。スキャンダルで組織の危機感を抱いた日本歯科医師会が支援した自民党候補が、比例区で当選しており、日本医師会の巻き返しも当然考えられますが、しかし、大きな歴史的トレンドから観れば、医療や健康分野で供給者である医師や歯科医師の力が後退し、患者や消費者、保険者が力を増すことは間違いありません。先端医療の実用化のためには、混合診療や自由診療がどうしても必要ですが、これに反対する急先鋒の日本医師会であることは忘れてはなりません。いつまでも、技術革新を阻んでいるだけでは時代から取り残されます。今回の選挙結果が、日本医師会の覚醒に繋がることを期待したいと思います。
 第二の影響は間接的ですが、一種のボディーブローとなるものです。
 「安倍政権が倒れたら、”イノベーション”という言葉自体がタブーになりかねない」という懸念が、若手官僚の中で膨らんでいます。戦後レジームからの脱却を宣言、教育、公務員、そして医療などの改革に取り組んできた安倍政権の先進的な改革はまずスローダウンすることは間違いないと心配します。むしろ、官僚側の萎縮や自主規制が進むことの方がさらに危険です。
 首相の所信表明演説の中で、医薬品産業を取り上げた首相は安倍首相が国政の歴史以来初めてだったと思います。実際、医薬品医療器機総合機構の定員を3年で倍増するという、独立行政法人としては未曾有の変革を行い、更に官民対話を実現し、医療分野でのベンチャー振興を打ち出しました。少なくともバイオ産業の振興だけに限定すれば、就任1年に満たない間に大きく世の中を進めた実績は認めなくてはなりません。
 ”イノベーション25”をぶち上げ、この計画の中身はともかく、国民にイノベーションの重要さを認識させ、そして現在、わが国の諸制度がイノベーションを阻むしがらみでがんじがらめにされていることを指摘したことも意味があったと考えます。
 大敗で事実上、政治的な争点は次の衆議院選挙がいつあるかに移りました。これから衆議院選挙までの安倍内閣は選挙管理内閣的にならざるを得ないという指摘もあります。前国会であれだけ強行採決して通した戦後レジームから脱却を目指した基本法案を実効力のあるためには、次の国会でまだまだ法案を通さなくてはならないのですが、本当に可能なのか? 大部分の官僚達は大きな猜疑心を抱いています。
 今回の選挙結果に現れた公明党の退潮は、二大政党制にわが国も外見上は近づきつつあることを示しています。勝敗を分けたのは一人区でした。一人区こそ、二大政党制を生むエンジンである、つまり争点を鮮明にせざるを得ない政治状況を創り出す仕組みです。既に衆議院は小選挙区制が導入されており、次の衆議院選挙では二大政党が激突せざるを得ない舞台が用意されています。
 しかし、実は政治的な主張や支援団体を見ると、自民党も民社党もまだ雑多な混成集団であります。
 大きい政府が良いのか、小さい政府が良いのか?
 この2大争点で、もう一度、与党も野党もガラぽんして、それぞれが鮮明な主張を持つ、2大政党を早急に作らなくてはならないと思います。次の選挙はそうした政界の大再編成の幕開けを告げる選挙であります。米国経済の行き詰まりが鮮明となってきた今、あんまり悠長に先延ばしする時間は残っていないのではないでしょうか。
 いずれにせよ、昨夜は日本の歴史が創られた晩であったと思います。
 皆さんは投票しましたか? 本来ならばもう10%投票率が上がって欲しかったと思っています。
 さて、そんなことを書いていると、米国で遺伝子治療の臨床試験が副作用のため、中断されたというニュースが入ってきました。今や遺伝子治療のベクターとして、最も臨床試験に利用可能であると期待されていたアデノ随伴ウイルス(AAV)による遺伝子治療の副作用であることも分かり、呆然としております。遺伝子治療の実用化までには、尚、厳しい道のりが残されていました。
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2004/5916/
 勿論、悪いことばかりではありません。
 「8月15日で、製造承認申請10周年記念となる」というブラックジョークの的となっていた組み換えアルブミンをいよいよ認可に近づきました。これこそ、わが国の物づくりの伝統とバイオが融合して初めて商品化が可能だった血液製剤です。献血事業の適正化にもつながる正にイノベーションであると評価しております。関係者の方には、本当におめでとうと申し上げたいと思います。
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2004/5827/
 今週も皆さん、お元気で。
 
 PS
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