ウィンブルドンは変わりやすい天気に祟られながらも無事終了しました。
 
 フェデラーが5連勝、しかしナダルの追い上げは急で、6連勝は必ずしも万全ではないと実感しました。女子はビーナスが復活、圧勝で優勝しました。後1ゲームでビーナスを打倒できた森上選手も今年は大いに期待できそうです。杉山は相変わらず惜しい準優勝でした。このほか、サッカーでもアンダー20が大活躍で、本当に忙しい週末でした。皆さんはいかがだったでしょうか?
 さて本日は、文部科学省の「科学技術関係人材のキャリアパス多様化促進事業」の第二回の連絡協議会に参加しています。今年は三田の共用会議室3階の大会議室で、06年度採択7大学と理化学研究所、97年度採択の2大学、日本物理学会、産業技術総合研究所が参加して、経験や情報を共有しようという試みです。今年は、傍聴席も満杯で、ポスドク問題に対する関心の高まりを感じさせます。
 
 今までおっとり刀で構えていた、大学や公的研究機関も、実は理系の大学院進学率の急落で、さすがに危機感を持ったようです。やはりキャリアに未来を感じさせなくては、頭の良い人材ほど、大学から逃げてしまうことは避けられません。そこまでが大学や任期制の研究員を預かった公的研究機関の責任であることを、忘れてはなりません。
 
 但し、大学院生やポスドクも良い大人ですから、自分のキャリアは自分の責任で切り開くのがまずは大前提であることも忘れてはなりません。この相互の責任に認識に基づき、自主的にキャリア開発は進めるべきだと思います。
 
 大学や公的機関の責任は何か?
 
 それはポスドクや大学院にろくな教育指導も行わず、奴隷として拘束しても良いのだという、教授や研究リーダーの認識をまず変える必要があると思います。この件に関しては、まだ遅々として現状は変化していないのではないでしょうか?
 
 私が耳にしている実態は、キャリアセミナーを開催しても肝心のポスドク達が参加することを嫌い、研究が大事だと参加を許さない教授や主任研究者はまだまだ大勢おります。そのくせ、彼らは次のキャリアに対して何の保障もしない無責任な態度です。かつて教授の威光があったのは、学問、人間的に卓越していることに加え、先生の言うことを聞けば、キャリアが保障されたという事情もあったのです。このアフターケアが出来なくなった以上、先生と学生の関係は変わらざるを得ない、つまり言葉は悪いですが、言うことを聞く研究員や学生ではなく、自分で自主的に研究を進め、自らキャリアを切り開く実力を持つ研究者を育てる必要があるのです。その力を教授や主任研究員に求められるようになったのです。
 
 いわば、大学院生やポスドクの奴隷解放です。あるいは、大学院教育の復権が重要だという当たり前の結論です。大講座制導入によって教官一人当たりの大学院生の数はここ5年に約倍増しました。つまり教育の場としては、大きな手抜きが行われているのです。ポスドク1万人計画の後遺症によるキャリアのミスマッチが終息した後にも、きちっと独立できる研究者として大学院で教育できない問題は残ります。この問題は文部科学省と安易に大学院重点化を受け入れた教授会に、大きな責任があると思います。
 
 やはり大学教授、主任研究員の再教育がどうしても必要です。また、文部科学省も将来のなーんちゃって大学院生の輩出を防ぐためにも予算措置を検討すべきだと思います。任期制が浸透すればするほど、良い研究者、そして良き社会人の供給がキャリアの多様化・柔軟化のためにも重要ではないかと痛切に感じました。こうした大学や公的機関の責務をきちっと認識した、教授や主任研究員の養成が喫緊の課題です。
 
 こうしたことを議論したら「そういう認識を持っていない先生ほど、キャリアパスなどのセミナーには出席しない」という声も聞こえて来ました。国立大学法人化して唯一良いことは、形式上、大学と教官は雇用契約を結んだことです。教官の研修への参加や教官の責務に社会に通用する人材の教育を職務規定の中に盛り込み、大学院生やポスドクからの訴えを受け止める機関を大学や研究所の中に設置し、さらに大学教授や主任研究員の教育に対する評価も大学院生やポスドクが行う体制も敷く必要があると考えます。
 
 もはや大学教授や主任研究員を、お山の大将に祭り上げては、根本的な問題は解決しないと深く思いました。
 
 今回の会議で、理研が明らかにしましたが、たんぱく質3000プロジェクト終了(07年3月)して今までに、職を見つけられていないポスドクが30人以上存在しています。客員研究員として理研は身分は保証していますが、無給であり、かなり厳しい状況です。プロジェクト終了の結果、240から250人のポスドクを含め、研究リーダまで全員解雇されました。今年度末にはゲノム科学総合研究センター改組によって、全員解雇が予定されています。ゲノムバブル崩壊、学生の減少、任期制浸透までの混乱などの皺寄せがポスドク人材に一挙に押し寄せています。
 
 こうした不幸な、長期的に配慮がない事例が重なった結果、理系の大学院進学率低下を招き、知識資本主義で我が国が競争力を失う結果を招くのです。今、ポスドク問題を解決し、優秀な学生を理系大学院に進学させることを誘引する手を打たないと、10年後には円の貨幣価値がさらに下がり、物価上昇と生活の劣化が起こると思います。
 
 まさに学生だけではなく、私たちの問題でもあるのです。
 
 さて、次のバイオの革命のエンジンとなるmiRNA研究の我が国のトップを集結したセミナーを7月26日、東京で開催します。
 
 お蔭様で、現在、残席半分になりました。どうぞ下記からお申し込みをお急ぎ願います。
 
 スポンサーのご厚意で、助教までの若手研究者を締め切り1週間前から無料招待しようと思っております。若手研究者は今しばらくお待ち願います。
 
 企業関係者、准教以上の教官、公的研究機関の研究者は席がなくなる前に、今すぐ、お申し込み願います。
http://bio.nikkeibp.co.jp/bio/seminar/070726/
 
 今回のセミナーでは、高感度次世代DNAアレイのデータも発表されます。このアレイを使えば今まで解析できなかった、レアな遺伝子発現を測定可能です。miRNAは格好のターゲットです。多分、今年の広範には生物学を大きく変える道具として認識されるでしょう。詳細は下記より、どうぞお早めにお申し込み願います。
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 ところで、何故、国立大学法人が窮乏化し、研究者が貧窮問答歌を歌うようになったのか?その謎の一端を、BTJジャーナル6月号が解明しました。まだ、ダウンロードしていない読者はどうぞ下記からダウンロード願います。今回はファイルを相当軽くしました。どうぞ宜しく願います。
http://biotech.nikkeibp.co.jp/btjjn/
 
 九州は大豪雨のようですが、皆さんお気をつけ願います。
 
 今週もお元気で。