気が付かないうちに、BTJ/HEADLINE/NEWSも1000号を迎えました。
 書いた方も書いた方ですが、1000回も読んでいただいた読者が5万人もいることに深く感謝します。皆さんのおかげで何とかここまで来ました。次の高みも、皆さんと一緒に見たいと思っております。これからのご愛顧もどうぞよろしく願います。
 なんとか、レアルマドリードが逆転で、リーガエスパニョーラの優勝を久々にもぎ取りました。ファビオ・カペッロ監督の首がなんとか繋がったという訳です。その代わり、ベッカムとロベルトカルロスという看板選手が離脱します。銀河系軍団と綽名されたチームの崩壊は存外早かった。やっぱり傭兵だけではまとまりません、ジュニアからの選手養成がどうしても必要です。
 さて、バイオです。
 バイオでも、脚光を浴びるテーマは有為転変します。オミックス、標的医薬、一分子イメージング、トランスレーショナルリサーチなど、今では懐かしい言葉も数多あります。こうした流行は、ウェブなどによる情報共有の加速と政府、ベンチャーキャピタル、そして企業による膨大な研究開発投入により形作られます。
 中でも悪名高い流行のエンジンは、政府予算です。
 中身が分からぬ財務省の担当者のために、キーワードと漫画が必要となります。そのためどうしてもキャッチーなコピーを毎年作らざるを得ない悪循環に陥ります。「プロテオームは去年のキーワード、今年は融合研究だ」といった具合です。その結果、何の思想的な連続性もないプロジェクトが、今年の研究予算の目玉として打ち上げられることになります。そして欧米にちょっと遅れた流行に乗った研究者やプロジェクトに資金が短期投入される、わが国の科学研究費の欠陥を形成します。
 まるで欧米からの傭兵のように、テーマを雇ってきた格好です。
 当たり前のことですが、どんな科学研究でもくるくるテーマを生み出すほど簡単ではありません。それに基盤の無い借り物のテーマで厳しい国際競争力を生き抜ける訳もありません。
 ホワイトバイオ。これが間違いなく2008年度のわが国のバイオ予算の目玉となることは確実です。Bush大統領が2006年年頭教書で、セルロースバイオ戦略を打ち出して依頼、欧米では猛烈なドライブがバイオエタノールの研究開発と商業化にかかりました。わが国でのブームは、国際的に見れば2年遅れなのです。
 しかも、技術の核を本当に判断して予算申請が行われているのか? 極めて疑問です。この研究開発予選はローカルエネルギー開発のためなのか? それとも海外で実用化し、わが国のエネルギーセキュリティを確保するためのグローバルエネルギー開発なのか? まったく定かではないプログラムが、来年度の予算の目玉として議論されています。もし、ローカルエネルギー狙いならば、技術開発も必要ですが、むしろ社会システムとしての革新が必要です。
 ではホワイトバイオ、中でもグローバルエネルギーやグローバルな基礎化学製品開発に、技術革新のネタはないのか?
 実はこれが沢山あるのです。中でも、化学技術とバイオマテリアルの融合にチャンスが転がっていました。
 本日報道した、米エネルギー省(DOE)Pacific Northwest国立研究所(PNNL)がグルコースを石油製品の基本的な構成要素であるヒドロキシメチル・フルフラール(HMF)に高効率で変換する触媒手法を開発したニュースは注目に値します。これはグルコースを基本物質として幅広い化学物質を製造する技術突破となる可能性があるためです。
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2004/4873/
 まさに、石油産業が原油からエチレンを生成するシステム開発、そのエチレンを基本合成単位として、多種類の一般化学製品をコンビナートで製造する産業体系を創造し、臨海工業地帯がわが国で繁栄する一因となりましたが、ひょっとしたら今回の技術突破は、石油産業のエチレンに匹敵します。バイオマスコンビナートの鍵となる物質の製造法を手に入れたのかもしれないのです。
 今後、ホワイトバイオの死命を制する鍵は、エネルギー植物の開発と、バイオマス由来の物質を基盤とした新規化学合成技術となります。米Cargil社は穀物メジャーの会社ですが、既にホワイトバイオにおける新規化学合成技術の重要性を完全に把握していました。同社の化学合成技術を応用して、来年、欧州にバイオディーゼルの副生物であるグリセリンを、プロピレングリコール(PG、1、2プロパンジオール)に転換する工場を稼働させる計画です。同社は2005年のノーベル化学賞受賞技術、有機合成におけるメタセシス法を技術導入し、バイオマス由来の生体分子を基に、多様な有機化合物を合成する工業技術を開発しつつあります。
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2004/3835/
 もはやCargil社はわが国の全農とは雲泥の差であり、総合アグロ・エネルギー企業へとビジネスモデルを転換していました。この垂直統合はまさに石油エネルギー企業そのもの。将来のホワイトバイオ事業化の戦いが、穀物メジャー、石油エネルギー企業、そしてベンチャー企業の三つ巴で展開されることは間違いないでしょう。
 わが国は何をすべきか?
 単なるブームではなく、わが国の化学企業の強みをどうホワイトバイオに展開するか、今こそ総合戦略を展開する時だと確信しております。皆さんはどうお思いでしょうか?
 さて、お陰様で7月12日の抗体医薬のセミナーは残席些少となりました。まだ、何とかなりますので、下記からお急ぎ下さい。
http://bio.nikkeibp.co.jp/bio/seminar/070712/
 また、7月4日のsiRNA創薬のセミナーも順調にお申し込みをいただいております。この分野の進展は異常に早く、siRNA製剤の臨床開発に迫るわが国企業、2社とドイツのSilence Pharmaceuticals社を招き、とことのリアルにsiRNAを医薬品にするためにはどうしたら良いかを議論します。
 抗体より、今からならsiRNA製剤を開発すべきだと私は確信しております。
 どうぞ下記より詳細にアクセスお申し込み願います。
http://bio.nikkeibp.co.jp/bio/seminar/070704/
 ややしつこいですが、重要な問題です。
 5月号のBTJジャーナルはもうダウンロードなさいましたか?
 今回も最先端の話題をキーマンから直接取材しました。
 しかも、今月号から国立大学法人化の意味を問う連載特集を開始します。
 九州大学で何が起こったのか? これは皆さんにとっても重要な問題を提起しております。
 今は関係ないという方も、是非とも下記よりダウンロード願います。
 今なら無料で提供しております。
http://biotech.nikkeibp.co.jp/btjjn/#btjj0705
 蒸し暑くなりそうですが、今週もどうぞお元気で。