赤坂の清水谷の八重桜が満開です。
 今年は気候変動のためか、葉が目立ち、しかも花弁の色は沈んでいます。やや疲れたような八重桜は、なんとなく場末の雰囲気をかもし出すから不思議です。この谷に面しているホテルに先週宿泊していた中国の首相にエネルギーを吸い取られてしまったのかと危惧しましたが、銀座一丁目の八重桜も似たようなものでした。今年はどうも鮮やかな八重桜は期待できないようです。皆さんのところはいかがでしょうか?
 科学に発展にも環境(周囲の状況)が重要です。
 安倍内閣のイノベーションの掛け声に乗っかり、目に見える成果を早急に総合科学技術会議は求めています。イノベーションと早急な経済的成果とは必ずしも一致せず、むしろ逆相関にあると思いますが、「何も役に立たなかったではないか」と、科学研究費の削減を主張する財務省に対して抵抗するには、一方で創造性を追求しながら、成果も追うという苦しい二兎を追う愚策を取らなくてはならなかった矛盾を抱えてしまったのです。
 第3期科学技術基本計画では、一見5年間に投入する科学研究費の総額は25兆円を確保したと公言しておりますが、本当にその中身はどうなのか? 純粋研究費は増えているのか? を精査しなくてはなりません。
 私が現場で聞く限り、純研究費は一部の花形研究者を除き、圧倒的に縮小しているのではないかという印象を抱きます。
 国立大学法人や研究機関の独立行政法人化に伴い、運営費交付金は毎年1~5%削減されています。代わって競争的資金が増額していますが、その30%を事務経費や機関経費として召し上げる仕組みによって、純研究費は削減されています。また、今まで大学が自分たちの経費として意識してこなかった退職金の支払いによって100億円程度の経費が我が国の国立大学法人の事業費から捻出されています。
 また国立大学法人化によって、一般の企業と同じ扱い(つまり国家機関ではない)となったため、労働基準監督局の指導から消防署による防火設備、更には建物や購入した装置の減価償却費用まで、今まで顕在化されていなかった諸費用が一挙に、大学の懐から支出されるようになりました。この結果、5年間で1兆円程度、科学研究費を増額したからといって、皆さんが研究に投資できる純研究費は増えることは難しい状況です。しかも国家財政は、これだけ景気回復があっても大赤字であります。
 現在、国立大学法人と独立行政法人の問題点をBTJジャーナルで取材中であり、もう少し詳細な独立法人化の収支決算を皆さんに近くご報告できるはずですが、現在までの結果では、国が景気対策にジャブジャブに突っ込んできた資金の債務、少子化による学生数の減少、人口の減少などによって、国立大学法人の教官や研究者の数を維持することは難しいことは明白です。しかも、科学技術立国の美名の下に実際は、国家公務員の名目的な削減を目的とし、本来なら科学技術研究に振り向けるべき研究費で、退職金や法人化に伴う諸費用に転用している姿が見え隠れします。
 大学にとって命の綱とも言うべき研究と教育に振り向ける資金の確保を大学人は声高に訴えるべきだと思います。そのためには、まずは事務経費の削減が不可欠です。いずれ大学の合併は止むを得ないのではないでしょうか? 特に首都圏や関西圏に濃密に分布する国公立大学の整理再編成は重要です。地方の産業や文化を興す核として大学は一つは死守すべきでしょうが、いまや会計処理や労務管理はインターネット上で可能になっており、事務経費の削減のため、バーチャルな広域大学として再編成することも研究しなくてはなりません。
 大学を護るか、科学や学問を護るか?
 議論する時にはその主題を明確にしなくてはなりません。
 このまま研究費不足という国立大学法人の空洞化が進めば、皆さんは建物や塀を後生大事に護るために汲々とした結果、人材の国外流出が起こり、学問の廃墟を造ってしまうことになります。
 「あの時は皆が訳が分からず走った。今になって国立大学法人化の弊害が明かになってきた」(某国立大学法人関係者)
 国立大学法人になって4年目になり、その実態が明らかになった今、もう一度、国立大学法人や独立行政法人を作り変え、本来の目的の研究と教育の振興というミッションに戻る必要があるのです。
 このメールで何回も言っておりますが、1991年から私たちがいやおうもなく、突入した知識経済の最大の競争力は創造性に溢れた人材に他なりません。創造性を生み出す研究と人材を陶冶する教育のエンジンである大学や研究機関をやせ細らせては、私たちに未来が無いことを知るべきです。
 さて、最後に皆さんはオープンイノベーションという言葉を知っていますか?
 この言葉は皆さんの苦境を救う一つの鍵となるものです。
 学会や研究仲間、一つの研究室や大学の枠を越えたオープンな研究者の協業によって、異分野融合やイノベーションを促進しようという試みです。
 Biotechnology Japanは毎月8万人ものバイオ研究者が訪問するバイオのポータルサイトです。どの学会よりも大きく、若く、そして多様性に富んでいます。
 本日からBTJ上で塩野義製薬がオープンイノベーションに参加する研究者を募集いたします。同社のニーズとマッチした研究者のアイデアを募集するコンテスト、シオノギ創薬イノベーションコンペ(FINDS)を開始します。
 皆さんのアイデアが、塩野義製薬のノウハウと企業力によって画期的な新薬を生み出すかも知れません。 皆さん、どうぞ下記より詳細をご覧の上、どうぞふるってご応募願います。
http://www.shionogi.co.jp/finds/
 
 皆さん、どうぞ今週もお元気で。
PS
 最後のお願いです。4月20日午後、千里ライフセンターに集合。 バイオビジネスコンペJAPAN最終選考会は見逃せません。全国から選りすぐりのビジネスプランの格闘、そして最終的な勝者は誰か?
 更には、ノバルティスのライセンストップが皆さんとのコラボを熱く語ります。
 入場無料、詳細は下記よりアクセスして、お申し込み願います。
http://www.biocompe.jp/