(2014.12.17 16:13)

癌患者の治療を目的に使用される薬剤には、代謝拮抗剤のような細胞傷害型抗癌剤(cytotoxic agent、狭義の抗癌剤)、癌細胞の中で特に増強され、増殖・浸潤・転移に関わるシグナル伝達経路を阻害する分子標的治療薬、乳癌や前立腺癌などのホルモン依存性の癌の治療に使われるホルモン薬がある。さらに癌の増殖による諸症状の緩和や薬剤の副作用のマネジメントに使われる痛み止め、制吐剤などがある。

 抗癌剤や分子標的治療薬、ホルモン剤は、大規模な第III相試験が実施され、対照とした既存薬(レジメン)に対する非劣性、優越性が検証されて、広く使われる標準治療の検証が行われてきた。しかし、近年こうした手法は大きな壁に突き当たっている。期待された大規模試験に、非劣性や優越性を検証できない、いわゆるネガティブ試験が目立っている。

 そこで、癌細胞の増殖・浸潤・転移にきわだって大きく寄与する遺伝子(ドライバー遺伝子)を割り出し、それらに対する分子標的治療薬を治療薬候補として開発する方法も提案されている。この手法は、非小細胞肺癌のEML-ALK融合遺伝子の発見とその知見をもとにしたクルゾチニブの実用化で一定の評価を得ている。しかし、こうしたドライバー遺伝子が関与する癌は全体の20%程度とみられており、残り80%の癌についてはなお、新たな対策を模索していく必要がある。

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